前回は「自己に強き信念持つ山口多聞〜苦悩する赤城司令部・ミッドウェー島空襲・大いに奮う若き友永隊長・米軍の反撃・全く「想定外」の米軍の万全体制〜」の話でした。
米航空隊の反撃:零戦の大活躍
猛烈な反撃を行う米軍は、Midway島で迎撃するだけではありません。
Midway島を発艦した米航空隊が、日本の空母に襲い掛かります。
日米共に、航空隊には下記の三種類があります。
爆撃機:爆弾による攻撃。主に基地攻撃。
雷撃機:魚雷による攻撃。主に艦船攻撃。
護衛機:爆撃機・雷撃機が攻撃する際に、敵攻撃から護衛。敵機の攻撃から艦船を護衛。日本の零戦。
いわゆる「戦闘機」は上記の中では、護衛(戦闘)機となり、有名な零戦があります。
爆撃機・雷撃機共に、数百キロの非常に重い爆弾・魚雷を抱えているため、飛行速度・旋回性能が劣ります。
爆撃は上から爆弾を落としてドカン!と爆発します。
急降下爆撃では、上空にいる攻撃隊が「急降下」して、敵の艦隊に爆弾を落とします。
魚雷による攻撃(雷撃)は、攻撃機から落とした魚雷が一度海に沈んで突き進みます。
そして、艦船の横腹に進んでドカン!と爆発します。
爆撃機・雷撃機を守る零戦などの戦闘機は「護衛戦闘機」とも呼ばれます。
爆撃機・雷撃機が敵から狙われるのを護衛して、敵の戦闘機を倒すのが大きな役目です。
また、味方空母などに敵の爆撃機・雷撃機が向かってきた時に、敵を倒すことも重要な役目です。
ミッドウェー島を発艦した米雷撃機が、飛龍に突っ込んできます。
米軍の雷撃隊から放たれた魚雷が、飛龍へ向かってきました。
魚雷が
飛龍に向かってきます!
取舵一杯!
加来止男飛龍艦長の巧みな操艦で、魚雷を回避できました。
魚雷を
回避したぞ!
また、敵機が
向かってきます!
そして、零戦が数多くの米軍機を撃ち落とします。
零戦が数多くの
米軍機を撃ち落としたぞ!
やったな!
零戦は最強だぜ!
ミッドウェー基地からのみ発艦したにしては、敵の航空機の数が多いように感じた山口司令官。
これは・・・
敵の爆撃機も雷撃機も数が多いのではないか・・・
すでに敵空母が
出てきているのではないか・・・
逡巡する赤城司令部:事実上No.1だった草鹿参謀長の甘い思考
おい!
敵空母の報告は?
まだ何も
報告ありません!
・・・・・
「参謀長」ですが、事実上の最高意思決定者であった草鹿参謀長。
海軍兵学校卒業期 | 名前 | 役職 |
32 | 山本 五十六 | 連合艦隊司令長官 |
36 | 南雲 忠一 | 第一航空艦隊司令長官 |
40 | 山口 多聞 | 第二航空戦隊司令官 |
41 | 草鹿 龍之介 | 第一航空艦隊参謀長 |
52 | 源田 実 | 第一航空参謀 |
52 | 淵田 美津雄 | 第一航空艦隊飛行長 |
59 | 友永 丈一 | 新任・第一航空艦隊飛行長 |
この「No.2が事実上No.1」という、いかにも日本的発想でした。
対して、米軍は「長官がNo.1」であり非常に明確でした。
草鹿参謀長の頭脳の中には、様々な現象の予想や計算が駆け巡ります。
これは一体
どういうことだ?
やはり、敵空母は
出てこないのでは・・・
もし、敵空母が出てきていたら、
敵信がもっと盛んになる・・・
そして、7機はいえ広範囲に
索敵しているから、どこかには引っかかるはずだ・・・
逡巡を続けていた草鹿参謀長。
このまま、
敵空母が出てこなければ・・・
各空母の雷撃隊は、
無駄になる・・・
その間、
爆撃機と戦闘機が戦い・・・
我が空母も、ミッドウェー島からの
攻撃隊の攻撃にさらされる・・・
唇を噛む山口多聞:禁じ手の「兵装転換」へ
ここで、草鹿参謀長は決断します。
よし、全力で
ミッドウェー島を叩こう!
南雲長官・・・
雷撃機の爆装転換指令を出します。
うむ・・・
了承する南雲司令長官。
各空母へ!
雷撃隊は、
(陸用)爆弾へ兵装転換せよ!
これを聞いた山口司令官。
ば、
馬鹿な!
今は、
戦闘中だぞ!
戦っている最中に、
丸腰になってどうする!
ええい!
赤城へ再考求める信号出せ!
ははっ!
ただちに!
敵機動部隊の
出現の公算大なり・・・
考慮
せられたし・・・
了解・・・
赤城からは「了解」の返信あるも、兵装転換の命令は発せられたままです。
こ、
これは・・・・・
これは、
まずい!
冷や汗をかくほどの大いなる危機感を持ち、唇を噛む山口多聞。
こ、
こんなことが・・・
山口司令官の悲痛なまでの思い。
その思いは、赤城司令部には届きませんでした。
兵装転換、それは戦闘中では「禁じ手」とも言われる戦略でした。
「やってはならない手段」である「禁じ手」を指示した草鹿参謀長。
これは、絶対に違う
判断なのだ・・・
あえて「禁じ手」を実行した草鹿参謀長に対して、悲痛な懸念を持った山口司令官でした。
次回は上記リンクです。