悩むニミッツ長官〜圧倒的優勢だった日本海軍・ヨークタウン修理に必要な時間・90日を3日へ・米軍の底力・莫大な溶接電力と計画停電〜｜山口多聞23・ミッドウェー・能力

前回は「少ない空母と小さな打撃力を問題視した山口多聞〜「二兎追うもの」から「三兎追うもの」へ・空母分散の結果・軍令部のメンツ・山本長官に振り回された軍令部〜」の話でした。

悩むニミッツ長官：圧倒的優勢だった日本海軍

ミッドウェー作戦計画が進む直前、日米海軍が南太平洋で激突しました。

日本海軍は空母翔鶴が大破し、修理のために戦列を離れます。

そして、同様に大破した米海軍ヨークタウン。

実は、ヨークタウンは日本側は「沈没した」と考えていました。

ヨークタウン修理に必要な時間：90日を3日へ

圧倒的に優勢だった日本海軍への対応で、ニミッツ長官が疲れ果てていること。

それは、全ての米海軍将兵が知っていました。

ここで、ニミッツ長官に「確認のため」に一応打診します。

90日から、3週間=21日は1/4以下の日数です。

この期間では、とても無理です。

「90日を3日」というのは、絶対無理な話です。

「必要な日数・時間の半分」ならば、話し合いにはなり得ます。

ところが、「必要な日数・時間の1/30」では話になりません。

軍隊では上官の命令は「絶対」です。

米軍の底力：莫大な溶接電力と計画停電

そして、本気で「90日かかる業務を3日で」という「30倍の猛烈スピード」を実施することになった米海軍。

本気で取り掛かり始めた米海軍将校。

連日1000人以上の作業班が、空母ヨークタウン修理を24時間体制で行います。

しかし、一度に大量の溶接を行うには、莫大な電力が必要です。

海軍に割り当てられている電力では、とても足りません。

そこで、修理班の責任者は、思い切った策に出ます。

「電力会社と直接交渉」することに決めた担当者。

ハワイの電力会社社長に連絡を入れた米海軍担当者。

なんと、民間の電力会社に協力させて、電力を修理工場に重点的に回させようと考えます。

電力会社社長としては、

「余剰電力で間に合わせる」と考えていた社長は、海軍からの通達書を読んで驚愕しました。

海軍の要求電力を見て、「余剰電力では全然足りない」事実に直面した電力会社社長。

ここで海軍に「出来ませんでした」とは言えません。

そして、電力会社としては「禁じ手」に踏み切ることを決意しました。

ハワイ在住の一般市民には「故障」の理由で、ハワイ全島を強引に「計画停電」させました。

つまり「民間人に嘘をついて、海軍に電力を供給した」のが電力会社社長の決断でした。

本来「許されないこと」ですが、戦争では「一般論」よりも「敵を倒すこと」が優先されます。

そして、米海軍に優先的に莫大な電力を補給したのでした。

次回は上記リンクです。