前回は「日本海軍の軍神・山本長官の出陣〜日本海海戦以来の出撃・戦艦大和の初陣・「日本海軍の象徴」と軍神の最強コンビ・二兎追うものへ・目標が不明瞭なミッドウェー作戦〜」の話でした。
軍令部のメンツ:山本長官に振り回された軍令部
本来、日本海軍の作戦命令を下す役割の軍令部。
ところが、真珠湾奇襲攻撃以来、山本連合艦隊司令長官に振り回され続けます。
軍令部は、南方資源確保を
指令していたのだが・・・
またもや山本に
押し切られてしまった・・・
これでは、我らは「いなくても良い」存在
ではないか。
軍令部総長は、
山本ではない!
ワシだ!
海軍兵学校卒業期 | 名前 | 役職 |
28 | 永野 修身 | 軍令部総長 |
32 | 山本 五十六 | 連合艦隊司令長官 |
32 | 嶋田 繁太郎 | 海軍大臣 |
39 | 伊藤 整一 | 軍令部次長 |
40 | 山口 多聞 | 第二航空戦隊司令官 |
山本長官の4歳年上の永野軍令部総長は、憮然とします。
「二兎追うもの」から「三兎追うもの」へ
帝都空襲もあったし、
山本のミッドウェー攻撃は認めよう。
その代わりに、軍令部として、
北方の米領土「アリューシャン攻撃」を追加してもらおう!
それで、我らの「作戦指導する立場」としての
メンツが保てる。
なんと、「作戦上の考え」ではなく、単なる「メンツ保持」のために新たな攻撃先を追加します。
山本は日本海海戦で
活躍したのは知っている・・・
ワシは当時すでに中堅で、
ロシア海軍相手に戦ったんだ!
元々、主目標が「米空母なのか、ミッドウェー島なのか曖昧」で「二兎追う」作戦だった計画。
さらに、ほとんど意味のない作戦が追加され、「三兎追うもの」となりました。
いわば、「作戦を立案する立場」という縄張りを荒らされた気持ちになっていた永野総長。
これでよし!
我が軍令部の存在意義がある!
なんと言っても、
ワシは天才だからな!
この「自称天才」という永野総長は、ご満悦でミッドウェー作戦の大方針を崩したのでした。
この永野総長の決定を聞いた、軍令部のある中堅の若手は、
一体
なんなんだ!
ちっくしょう!
「涙を流して、嘆いた」と伝わっています。
少ない空母と小さな打撃力を問題視した山口多聞:空母分散の結果
ミッドウェー島を攻撃する機動部隊は、空母:赤城・加賀・飛龍・蒼龍の四隻となります。
なぜ、「真珠湾」より、
空母が少ないのだ!
真珠湾奇襲攻撃では、更に翔鶴・瑞鶴を加えた六隻でした。
さらに、目標は敵空母とミッドウェー島両方では、
空母の打撃力が全然足りない!
五航戦
も参加させよ!
山口司令・・・
それは無理です・・・
五航戦の空母・翔鶴は、
珊瑚海海戦で大破し、修理が必要です・・・
その代わり、米空母ヨークタウンも
沈没か大破しています!
ヨークタウンが出てくる可能性は、
絶対ありません!
ならば、五航戦(第五航空戦隊)の
瑞鶴を参加させろ!
五航戦は瑞鶴・翔鶴セットなので、
難しいです・・・
しかも、軍令部の指令で、北方にも
空母を派遣する必要があります。
なんとか、
もう少し増やせないか!
この四隻が、
最大となります・・・
こんな
馬鹿な・・・
主目標は、
米空母だろう!
敵は出動空母二隻としても、ミッドウェー島があるから、
米軍は三〜四隻の空母となる。
こちらが、
四隻では心もとない!
打撃力が
不足しすぎている!
戦力は
集中するのが基本だろう!
しかし・・・
しかしです・・・
出せる空母が、
もうないのです・・・
な、なんと、
なんたること・・・
唇噛む山口司令官でした。
乾坤一擲の作戦のはずなのに、少ない空母と小さな打撃力を問題視して、はっきり主張した山口司令官。
次回は上記リンクです。