前回は「山口多聞の偉大な先見性〜優れた頭脳を活かさぬ日本の組織・「宣戦布告前」の奇襲攻撃・リメンバーパールハーバー・米海軍指揮官の見解・奇襲攻撃後の日本海軍〜」の話でした。
山口多聞の大いなる熱意:未来見据えたミッドウェー攻撃の提言
中途半端な状況で、内地(日本本土)への帰投を指示した南雲長官。
もう、
内地(日本)に帰ろう・・・
まだだ!
まだなのだ!
いや、
帰るぞ!
・・・・
ここで、へこたれる山口司令官ではありません。
まだ
余力がある!
日本へ帰る途中に、
他の米軍基地を攻撃すべき!
ミッドウェー島
などがある!
もう
いいんだ!
もう
終わり!
もう帰ろって
将兵を休ませるのだ!
そんな、
そんな馬鹿な!
山口司令官から見たら「消化不良のまま」で、真珠湾奇襲攻撃は終わってしまったのです。
約半年後に日本海軍の「致命的大敗戦」となったミッドウェー海戦。
もし、この時にミッドウェーを攻撃していたら、歴史は大きく変わったでしょう。
半年後のミッドウェー海戦を見通すのは、神ならぬ南雲長官、山口司令官には無理な話です。
山口司令官の大いなる熱意は空振りに終わってしまい、日本海軍の運命を決定づけたのでした。
論理的に検証する米海軍:徹底検証の発想
日本軍による真珠湾奇襲攻撃で、甚大な被害を受けた米海軍。
日本軍に対する反撃体制を整えることも大事ですが、米軍はこの「敗戦」をしっかり検証します。
「どのような被害を受けたか」「なぜ敗北したのか」などを実地で検証・調査しました。
この奇襲攻撃によって、キンメル米太平洋艦隊司令長官は責任を取らされて更迭されました。
そして、新たに就任したのが、ニミッツ米太平洋艦隊司令長官でした。
しっかりと
被害を調査せよ!
ははっ!
思ったより、
大した損害ではないが・・・
どのように
被害を受けているのか?
経緯も出来る限り、
明らかにせよ!
徹底的に調査して、しっかりとした報告書にまとめ上げます。
それは、「一つ一つの結果を次に活かす」ためでした。
我がUS(米国)海軍は、
次に活かす姿勢なのだ!
この姿勢は、軍・戦争に限らず、何事においても重要で基本な姿勢です。
2,000名ほどの将兵が亡くなった大打撃を受けた米海軍でしたが、極めて冷静でした。
うやむやの日本海軍:日米の意識の差
対して日本軍は、この先各地で戦いを続けますが、「敗北した戦い」の調査・検証する姿勢は皆無でした。
終わってしまったことは、
仕方ない・・・
「仕方ない」で、終わってしまうことも多かったのです。
まあ、
いいではないか・・・
失敗した作戦の調査を
することは・・・
「死者に鞭打つ」ことにも
なるから・・・
そして、軍内部でも「敗北した理由」等を隠す傾向がありました。
さらには、「大本営発表」で知られる通り、戦争中盤以降は国民に「虚偽の発表」を続けたのです。
大日本陸海軍では、それぞれの強いカラーがありました。
一方で、この「結果を検証する姿勢の完全な欠如」は同一でした。
こんなことで
いいのか?
論理的な山口司令官から見たら、信じられない姿だったでしょう。
しっかり一つ一つ検証する姿勢が、
次に活かされるのではないか?
・・・・・
このあたりの日本海軍(陸軍も)の問題点は、山本長官が認識していたかどうかは、不明です。
「前の戦いでの経験を、次の教訓として活かす」という非常に大事な姿勢。
この姿勢を、山口司令官は持っていた一人でした。
そして、そういう将官は旧日本陸海軍には極めて少なかったのです。
次回は上記リンクです。