前回は「真珠湾へ向かう山口多聞〜海軍兵学校の成績と人事・曖昧な権限・南雲長官と山口司令官の立場・真珠湾奇襲攻撃の中途半端な戦果・米空母不在〜」の話でした。
山口多聞の偉大な先見性:優れた頭脳を活かさぬ日本の組織
おそらく、南雲長官は山口司令官が「あまり好きではなかった」のでしょう。
山口は
生意気だ!
私の方が
先輩で「先任」なのだ!
米海軍に痛撃を与え、大成功とも言える真珠湾奇襲攻撃でした。
米空母が不在でしたが、戦艦や航空機に多大な損害を与えました。
空母がいないなら、
大戦果ではない!
真珠湾の
石油タンクを叩くべきだ!
そして、整備工場などを破壊すれば、基地としての
機能が大きく損なわれるはず!
南雲長官!
石油タンク、整備工場を叩くべきです!
この山口司令官の具申(提言)は際立ったものであり、偉大な先見性を持っていました。
ところが、南雲長官は、
もう
十分だろう!
基地攻撃は却下!
日本に帰ろう・・・
山口司令官の提言を却下して、内地(日本本土)へ帰還しました。
いわば中途半端な結果に終わった真珠湾奇襲攻撃。
それでもなお、米海軍への打撃は極めて甚大でした。
民間人含め2,400名ほどが死亡する事態となった米海軍。
この意味において、真珠湾奇襲攻撃は「大成功ではないが、成功」であったのでした。
「宣戦布告前」の奇襲攻撃:リメンバー・パールハーバー
ところが、大変な事態が発生しました。
なんと、外務省の大失態により「宣戦布告前」の攻撃となります。
Japanの攻撃は、
宣戦布告前だ!
この攻撃は、
奇襲攻撃ではない!
騙し討ち
攻撃なのだ!
リメンバー・
パールハーバー!
リメンバー・
パールハーバー!
米国は「リメンバー・パールハーバー!」を合言葉に反撃に出ます。
日本国内が大いに沸き、大勝利だったはずの奇襲攻撃。
「騙し討ち攻撃」によって、米国全体が大いに戦意を高揚させる結果となりました。
大衝撃を受けた米軍でしたが、後に被害状況を詳しく調査します。
その結果、
非常に多くの米軍人が亡くなったのは、
大変悔しく、大きな損失・・・
だが、軍艦は、
思ったより大した損害ではない・・・
一部の戦艦は完全に沈まず、
海から引き上げて修理した・・・
山口司令官の指摘通り、奇襲攻撃は中途半端に終わってしまったのでした。
米海軍指揮官の見解:奇襲攻撃後の日本海軍
のちに、米太平洋艦隊司令長官となるチェスター・ニミッツ。
日本海軍は、真珠湾の工廠(修理工場)・石油タンクを、
攻撃しなかった・・・
これは、米国にとって、
大きな幸いだ!
工廠・石油タンクを攻撃しなかった奇襲攻撃は
大した意味はない・・・
沈められた艦船で「着底」しただけの艦船は、
引き上げた・・・
日本海軍が「撃沈!」と考えていた、いくつかの艦船は引き上げて修理しました。
この「修理できた」のは、整備工場である工廠が無事だったのが最大のポイントです。
沈没させられた戦艦は、
旧型で大した損害ではない・・・
ニミッツ米太平洋艦隊司令長官は、このような見解でした。
つまり、真珠湾奇襲攻撃は「米軍に多数の死者を出し、戦術的には一定の効果」はありました。
一方で、長期的・大局的な視点からみた時、戦略的には「大したことはなかった」のでした。
思ったより、
大した損害ではないわ!
このニミッツ長官の意見を「山本長官が知っていたかどうか」は不明です。
米空母は
不在だったのか・・・
山口司令官が知っていたかも、不明です。
あの攻撃は
中途半端だった・・・
ニミッツ長官の見解を聞いていなくても、ハッキリと現状を把握していた山口司令官。
米海軍は、早期に
体制を立て直すだろう。
もはや
やむを得ん!
終わってしまったことを、悔やんでも悩んでも仕方ありません。
とにかく、これから更に
米海軍を叩きに叩くしかない!
攻撃に攻撃を続け、
米軍を倒すのだ!
戦意を高めて、勝利へ邁進する山口司令官でした。
次回は上記リンクです。