前回は「大学進学実績と中学受験〜教育理念と学校としての成熟度・「のびのび」の教育理念と大学進学実績・「のびのび」の教育理念と大学進学実績・武蔵中学〜」の話でした。
中学校・高校という組織・期間:思春期を過ごす場・空間
中学校・高校は「大学受験のための教育機関」でもなければ、「大学の前座」でもないでしょう。
人生で最も大事・貴重な「人格形成期」の思春期を過ごす「場であり空間」です。
中学・高校で固まった「人格」が、大学以降に変わることは少ないでしょう。
本人にとって「極めて大きな出来事」が、「考え方を根本的に変える」ことはあるでしょう。
歴史上の人物には、そうしたことが「実際に起きて」「考え方が根本的に変わった」方が大勢います。
その方々は「威人紀行」でご紹介してゆきますが、実は西郷隆盛もその一人です。
中学・高校以降に「考え方」は変化しうるでしょう。
対して、「人格」は「多少」は変化しても、大きくは変わらないでしょう。
その大事な、大事な中学校・高校という組織・期間。
中学・高校受験=学校の「入口」と大学受験=学校の「出口」
思春期だけに、勉強のこと・将来のこと・あるいは友人や異性のことなどで、悩みに悩む時期です。
それらの子どもたちを相手にする学校の先生方は、本当に大変だと思います。
小学校も大変だと思いますが、「悩みの行き先」は子どもだけに、ある程度は想定・限定されます。
中学校・高校は「まだまだ子ども」ですが、体格も大きくなり、自我も出てきます。
悩み過ぎると、
本人が
何するか分からない・・・
状況も考えられます。
その意味において、小学校より中学・高校の先生方の責任は非常に大きく、実に大変な仕事だと思います。
中学・高校一貫校の先生方は、今この4月は「新たな始まり」です。
その前の1~2月は「中学・高校受験」で学校の「入口」の業務に大いに奮闘します。
並行して1~3月に「大学受験」という学校の「出口」の業務に大いに奮闘し、この3ヶ月は「激闘の期間」でしょう。
そして、どの学校も「大いに気にならざるを得ない」大学進学実績。
検索すると、一番に上がってくるこのサイトを多くの方が見ているでしょう。
今回は、その中で東大の合格者ランキングの話です。
かねてから「偏差値」に関しては、「参考程度」という話をしています。
「大学進学実績ランキング」中でも「東大合格者ランキング」は、中学・高校にとって「一定の意味を持つ」でしょう。
「東大合格したから立派」とは、特に思いません。
とは言っても、思春期を過ごす子どもたちが「上を目指して勉強する」行き先。
「大学進学実績ランキング」と「中学受験のランキング」の強い相関性
その行き先としては、「レベルの高い大学」を目指すのが普通です。
本来「レベルの高い大学」は、「大学の持つ様々な実績・革新性」が評価の対象となるべきでしょう。
ところが、「序列化されている」日本においては、「レベルの高い大学=偏差値の高い大学」です。
特殊な能力を持った方は、別の方向性を見出すでしょうし、そういう方はぜひ「その道」を突き進んで欲しい。
ランキング上位の開成・筑駒・灘・桜蔭・聖光などの学校。
この「大学進学実績ランキング」は、「中学受験の(偏差値)ランキング」と「非常に強い相関性」があります。
この「相関性」には、中学受験のない日比谷高校などの「一部例外」があります。
「中学受験のある学校」のみを対象とすると、「強い相関性」どころかほとんど「そのまま」のランキングです。
ならば、「大学進学実績」を基に「偏差値によるランキング」を作成しているのか、となります。
おそらく、そうではないでしょう。
各塾・機関で「模試などの成績」を基に「独自の査定・補正」をかけているのでしょう。
そして、中学校・高校の「(偏差値)ランキング」を出しているのでしょう。
ならば、なぜここまで「強烈な相関関係」があるのか?
それは、「中学受験で求められる能力」と「大学受験で求められる能力」が「似ている」からだと考えます。
この「受験で求められる能力」から勉強への姿勢・受験突破の方向性などを考えてゆきます。