前回は「歴史と時事問題の全体的流れを理解して合格力アップ〜「全体像」が見えてくる学び・時事問題の効果的対策・歴史と現代の連続性〜|中学受験・社会」の話でした。
独創的な麻布中学の社会の出題:意見を問う問題
今回はメディアで話題になっている今年の麻布中学の社会の問題から、来年の対策を考えたいと思います。
移民・難民問題を取り上げた独創的な問題です。
特に最後の「意見を問う問題」が、とても良いです。
日本に働きに来た外国人と
その家族の人権を守るために・・・
どのような政策や
活動が考えられますか。
この「様々に答えられる」問題で、どのように採点が行われているかは不明です。
どのような政策や活動が
考えられますか、って言われても・・・
「考えられますか」ということは、
「実際に行われている」政策や活動でなくても良いのかな・・・
「考えられる」政策や
活動であれば、○になるのかな?
問題文に記載されている通り、「実際に行われている」でなくても○になります。
どのような政策や活動が
「考えられるか」を答えて欲しい・・・
「麻布の考える人物像」=「はっきり自分の意見を持っている人間」というメッセージがあります。
最後の「意見を問う問題」に大きな配点があれば、なお面白いと思います。
こういう「意見を問う」記述式が、もっと増えれば良いと思います。
大日本帝国の広大な植民地:自国・日本の近い過去
この問題に関しては、メディアでも様々取り上げられています。
一方で、メディアでは、この「移民問題」ばかりが取り上げられています。
この問題には、もう一つ「麻布中らしいエリート校としてのスタンスとメッセージ」があると考えます。
それは、冒頭に明確に表現されています。
日本が大日本帝国という帝国主義の元、国土を拡大する侵略主義を持っていた事実です。
この事実は、一般の日本社会では「歴史に背を向け、蓋をする」姿勢です。
過去に日本は帝国主義で、
植民地を拡大していた時代があった・・・
だが、それは「暗い過去」だから、
あえて触れずに「なかったこと」にしたい・・・
その「一般社会ではタブー視されている事実」を明確に描いています。
そして、「台湾や朝鮮半島を植民地としていた事実」を明瞭に描いています。
日露戦争で、満州軍総参謀長として日本を勝利に導いた児玉源太郎。
私が五分五分の
日露戦争を・・・
何とか、六分四分で
大日本帝国が有利になるようにしたい・・・
児玉は、その前に台湾総督として台湾の発展に尽力しています。
私は、かつて
台湾総督だったのだ!
満州に傀儡政権を樹立した大日本帝国
その時、児玉を補佐したのが後に満鉄総裁等歴任する後藤新平です。
私が児玉総督を
補佐したのだ!
同問8では「建国させた満州国」と記載あります
「させた」と満州において日本が傀儡政権を樹立したことも書いています。
日本が過去にアジアに広大な植民地を持っていたことは、タブー視されている面もあります。
長年に渡り、猛反発している国もあれば、「日本の占領にも良い面もあった」とする国もあります。
「アジアに広大な植民地を持っていた」事実を、あまり知らない日本人も多いでしょう。
日本は、かつて
大日本帝国という「帝国」でした・・・
そして、現在の中国の一部に
満洲国を「建国させた」事実があります・・・
その中、この植民地支配のことをハッキリ問題として出す麻布中。
「自国・日本の歴史をハッキリ知っておくべき」という理念を感じます。
この「日本が大日本帝国だった」頃の
事実も知っておきましょう。
移民問題・植民地の歴史は「話題にしにくい面もある」事柄です。
それを問題として堂々と「問う」姿勢を明確に打ち出した麻布中学には、拍手喝采を送りたい。
麻布中などの「記述式問題」を出す学校を受験する方は、こういう問題に対処できるようにしましょう。
「丸暗記」で歴史を学ぶ姿勢ではなく、歴史をしっかり理解する姿勢が求められています。
丸暗記ではなく、
歴史はしっかり理解して欲しい・・・
そして、麻布中を志望する方は、
「自分の意見」も持って欲しい・・・
「自国・日本の現状と歴史」をきちんと学び、自分の意見を持つことが大事です。
次回は下記リンクです。