前回は「男子御三家の肖像・武蔵中学〜武蔵と麻布と開成・男子御三家の基準・卒業生の質とレベル・総理大臣・宮澤喜一〜」の話でした。
戦前から戦後の男子御三家：麻布と開成と武蔵
1945年に第二次世界大戦で敗戦を迎えた日本（大日本帝国）。
同年5月にドイツが降伏した後は、「3ヶ月間」といえども「一国で世界中を敵に回した」状況でした。
戦後約80年ほど経過し、「先進国の一角・世界一治安が良い」国となった今では考えられない事態でした。
戦前：開成・麻布・芝
戦後：開成・麻布・武蔵
学校制度の変更や時代の移り変わりを反映して、私立男子御三家は、一校だけ変更になりました。
「開成・麻布・芝」から「開成・麻布・武蔵」となったのが、1960〜1970年代と言われます。
これは「正式な決定」があったのではないため、諸説ありますが「新入り」となった武蔵。
武蔵中高新たに御三家に
入った武蔵です・・・
| 学校名 | 設立年 |
| 開成 | 1871年 |
| 麻布 | 1895年 |
| 武蔵 | 1922年（前身） |
武蔵が「御三家入り」した頃、武蔵は「設立後50年程度」の若い学校でした。
対して、開成は100年近い歴史を持ち、麻布も設立後80年程の学校でした。
そして、日本は高度成長期からバブル経済を迎え、中学受験が一層加熱してゆきました。
その中、男女ともに「御三家中・高」はお互い、
開成中こう開成が
一番だぜ！
麻布中高麻布は、雰囲気が自由で
東京の真ん中にあるよ！
武蔵中高武蔵は、ほとんど何も校則がないし、
公園みたいに広いよ！
お互い強い競争意識・ライバル意識を持つ中、宮澤喜一氏が「男子御三家初」の首相となりました。
卒業生の誇りとライバル意識
宮澤喜一氏が首相となり、沸いた武蔵中・高。
日本人A御三家で、
最初の首相だ！
武蔵中高武蔵らしい感じの
宮沢さんが遂に首相に！
ちょうど、筆者が武蔵中学に通っていた頃に、就任したのが「御三家初」の宮澤首相でした。
武蔵中高生の筆者武蔵から首相は
嬉しいけど・・・
筆者自身は、宮沢氏に対して、それほど強い思い入れはありませんでした。
小学生の頃から、歴史が大好きだった筆者。
武蔵中高生の筆者戦国時代のことを
もっと知りたい！
当時、織田信長などの戦国時代にのめり込んでいたため、「強いリーダー」に夢を持っていたのです。
宮澤氏に「信長のような強いリーダーシップ」を感じなかったこともあり、
武蔵中高生の筆者まあ、嬉しいけど、
別に・・・
このように感じました。
それでも、やはり自校から国家元首が出ることは、非常に嬉しいことでした。
武蔵中高生の筆者先輩が
首相だ！
大学の同窓生の方が、なんらかの偉業を成し遂げた時なども嬉しいものです。
ところが、大学は人数が多すぎ、「独自カラー」は薄いと考えます。
人数が少なく、思春期に大きな影響を受ける「独自カラー」集団の中高の同窓生。
その中高の同窓生が、なんらかの業績を出すこと。
それは、誰しも誇りに思い、嬉しいのではないでしょうか。
中村修二氏のように、ノーベル賞あるいは同等の著名な賞を受けるような発見をした方が卒業生の時。
その事実は、在校生やOB・OGにとって大変な誇りになるでしょう。
中村氏のような「世界的発見をする方」と、「国家元首たる総理」のどちらに重きを置くか。
それは、その方次第です。
個人的には「世界的発見をした方」「独創的な功績を持つ方」は非常に好きです。
一方で、国家元首もまた、なかなかなれるものではありません。
・校風、カラー、雰囲気
・教育理念
・歴史の深み
「ある程度の自由度」がある私立中学・高校の大事な要素は、校風・教育理念・歴史の深みと考えます。
そして、「それらの結果の一つ」としての「卒業生たちの質」は非常に大事な意味を持つでしょう。
バブル景気から混乱期の日本：麻布の橋本龍太郎首相
異常なまでの急成長を成し遂げた「バブル経済期」の日本。
その「急成長」に対して、「急ストップ」がかかった1990年以降、日本は彷徨い始めました。
「自信満々」だった日本・日本人が、
日本人A我が日本は
どうしてしまったのだ？
日本人Bこんなに急速に
景気が悪化するとは、考えもしなかった・・・
「急速な下落」というよりも「真っ逆さまに落ちた」ような日経平均株価。
そして、「膨れ上がった土地の価格」もまた暴落しました。
その混乱期に、首相になった宮澤喜一首相。
宮澤喜一あなたどこの大学卒？
東大？
「学歴を異常に意識した」と言われているのが、宮澤首相です。
宮澤喜一最近は、法学部じゃなくても、
「東大卒」って言うんですか？
つまり「法学部卒以外は、東大卒とは言わない」と言いたげな、この言動。
日本人Aあいつは、「東大、東大」って
一体なんなんだ？
一部で、猛反発を買ったのは事実でした。
そして、現代の感覚では「ずれている」のかも知れません。
ハト派の名前通り、なんとなく優しそうな宮沢氏は、傲岸な性格を持つ面もあったようです。
それもまた、国家元首として必要な素質なのかもしれません。
日本のバブル経済崩壊などによる国内の混乱は、政界にも及びました。
そして、その宮沢内閣によって、55年体制の幕が閉じられます。
自民党が分裂し、総選挙で敗れて一時下野し、3年後に再び政権を握りました。
そして、総理大臣となったのは、麻布中・高卒の橋本龍太郎氏でした。
橋本龍太郎私はかなりの
「切れ者」なんだぞ！
若い頃から「将来を嘱望され続けてきた」橋本龍太郎。
日本人C橋本さんは、
将来は首相になるに違いない！
こう言われてきた橋本氏が、ついに「満を持して」首相に就任しました。
日本人Aいよいよ、
麻布も総理を出したな・・・
当時は、こんなふうに、
日本人A武蔵に続いて、
麻布から総理。
このような話も出たものです。
ちょうど、宮澤首相から橋本首相の間が短期間で「続いた感じ」だったことも影響したと思います。
麻布中高から慶應義塾大学法学部を卒業して、社会人を経て政界入りした橋本。
麻布中高での成績は「今ひとつ」であり、山岳部に入り、登山ばかりしていたようです。
橋本龍太郎僕は、あまり勉強には
強い興味がなくて・・・
育ちも良い橋本龍太郎は、ある意味で「宮澤喜一とは対極的」とも言える存在でした。
橋本龍太郎だが、剣道も達人レベルで、
「ここぞ！」と言う勘所はつかめるのだ！
それはまた、バブル景気が終了し「平成が始まった」日本において、
日本人A橋本さんなら、
「新しい日本」を引っ張ってくれそう！
多くの日本人にとって、平成となった日本の「新たな時代」への期待感が強かったのでした。
そして、「政界のサラブレッド」的存在だった橋本への期待感は、当時大きなものでした。
橋本龍太郎まあ、私に
任せてくれ！
歴代総理の中でも、「私に任せてくれ」という雰囲気が最も強い一人の橋本。
ひょっとすると、この辺りにも「麻布らしさ」が出ていたのかもしれません。
男子御三家の中で、ただ一つ「まだ総理を出していない」学校がありました。
次回は下記リンクです。
