前回は「キラリと輝くスティムソン長官の瞳〜米国とアインシュタイン・日本の猛烈な攻撃に慌てた米国・合理的な米国の発想「カラーコード」・対日戦とオレンジ計画〜」の話でした。
アインシュタインからルーズベルト大統領への手紙
スティムソン陸軍長官を呼び出した、ルーズベルト大統領。
当時、ノーベル賞を受賞し「超有名物理学者」であったアインシュタイン。
そのアインシュタインから、ルーズベルトへ手紙が送られてきました。
相対性理論とかいう、
我らには分からん理論があるが・・・
実は、その相対性理論が
大変な兵器と関係があるようなのだ・・・
ルーズベルト大統領は、スティムソン陸軍長官にこう伝えました。
大変な兵器と
関係・・・
強力な新兵器
ですか?
険しい表情でルーズベルト大統領を見つめるスティムソン長官。
うむ。
まあ、これを読んでくれ。
それでは
拝見します・・・
ルーズベルトから「アインシュタイン博士からの手紙」を渡された手紙を読むスティムソン長官。
こ、
これは・・・
唇を噛み締めて、非常に険しい表情となりました。
ウランによる
連鎖反応・・・
うむ・・・
まあ、よくは分からんのだが・・・
とにかく、その連鎖反応で、
猛烈な爆弾が、「理論上」製造可能のようだ・・・
「理論上」
ですか・・・
ということは、
まだ「実現の見込みはない」と・・・
うむ・・・
その通りだ・・・
エネルギーと質量の関係式と新兵器
アインシュタインがルーズベルト大統領に出した、恐るべき内容の手紙。
実はアインシュタイン博士が、
ルーズベルト大統領に
手紙を出そう!
自ら「ルーズベルトに手紙出そう」と考えたのではありませんでした。
ここで、一人の物理学者が登場します。
オーストリア=ハンガリー帝国出身の物理学者レオ・シラードです。
物理学と生物学の能力に優れたシラードは、数多くの発明を行い特許を得ていました。
そして、1905年にアインシュタイン博士が発表した特殊相対性理論。
特殊相対性理論とは、
このような理論です!
続いて、1916年には一般相対性理論を発表したアインシュタイン。
一般相対性理論を
発表します!
「質量とエネルギーが等価である」という極めて衝撃的な方程式でした。
数多くの優れた物理学者は、この方程式に驚愕しました。
エネルギーと質量が
等価・・・
ほんの僅かな質量が、
莫大なエネルギーに転化する・・・
これは画期的というよりも、
革命的な方程式だ・・・
そして、一部の優れた物理学者たちは気づきました。
極めて
画期的な方程式だが・・・
ちょっと
待てよ・・・・・
これが悪用されると
大変なことになるのでは・・・
確かに
これは危険すぎる方程式だ・・・
ここで登場するのは若き物理学者レオ・シラードです。
この式に従って、
研究をしてみよう!
当時のオーストリア=ハンガリー帝国は物騒であり、若きシラードはブダペストを脱出します。
こんな国には
いられない・・・
行き先は、ベルリンでした。
ドイツなら、
物理を研究するのに最高だ!
そしてベルリン工科大学へ入学したレオ。
当時のベルリン工科大学は、欧州物理学のメッカでした。
アインシュタインやマックス・プランクなどが在籍していたベルリン工科大学。
ベルリンは「世界の物理学のメッカ」とも言える存在でした。
「究極兵器製造」を目論むナチス:「物理学のメッカ」ベルリン
当時のドイツはアドルフ・ヒトラーが全権限を握って、君臨していました。
話がナチスが
ドイツを救うのだ!
後世の視点から見れば、オーストリア=ハンガリー帝国が「物騒」であれば、ドイツは「超危険地帯」でした。
それでもなお、「物理学といえばベルリン」だったのです。
やっとベルリンに
来たぞ・・・
そして、ベルリンに来て、研究を続けたシラード。
連鎖反応を
起こせば、強力なエネルギーになるな・・・
大変なことに気づいた物理学者たち。
その一人であったシラード博士は鋭意研究を続け、
この原理を
応用して・・・
次々と
連鎖反応が起こすことが出来れば・・・
とてつもない爆弾が
生まれることになる・・・
・・・・・
そして、この原理を応用することを考えたのです。
「物理学のメッカ」であり、物理学者にとっては究極の地でもあったベルリン。
この頃、ヒトラーが野望を剥き出しにしてきたため、俄に危険な雰囲気が蔓延してきました。
欧州を
我が手に!
ベルリンは
物理の最先端だが・・・
ヒトラーは
危険すぎる・・・
そしてシラードはベルリンを脱出して、英国へ向かいました。
英国の自由な
空気で研究を続けるのだ!
優れた能力を持つレオは、英国で最も優れたオックスフォード大学で研究職を得ました。
出張先の米国滞在中に、
どうやら、
米国にいた方が良さそうだ・・・
英国への帰国を断念してそのまま米国に亡命したシラード博士。
さらに研究を続け、重大な事実に直面しました。
こ、これは
とんでもない原理だ・・・
この原理を
応用すれば・・・
一つの都市を
一発の爆弾で吹き飛ばすことも可能ではないか・・・
そして、この頃に、
ナチスが、究極兵器の研究を
しているらしいです・・・
「ナチスが究極兵器の研究」という「驚愕の情報」を得ます。
!!!!!
ナ、
ナチスが!!!
そして、ナチスから大勢の物理学者が亡命したとは言え、もともと「物理学のメッカ」がベルリンです。
この「物理学のメッカ」とヒトラー率いるナチスが結びついてしまいました。
よりによって、物理の最先端である
ベルリンにナチスという危険集団が・・・
ナチスに協力している
優れた物理学者もいる・・・
この危険極まりない
究極兵器をもし、もしナチスが手に入れたら・・・
その時、
世界は終わる・・・
「人類の危機」を感じたシラードは、
究極兵器を
ナチスが製造する可能性あります!
極めて
危険です!
米国で様々なツテを頼って、この究極兵器の危険に警鐘を鳴らします。
ところが、亡命者に過ぎず、それほど名声が高くないシラード。
危険って
言われてもさ・・・
その物理理論は
よく分からないし・・・
そのレオの話に耳を貸す人は、少ないのが実情でした。
それは、また「当然のこと」でした。
有名な
物理学者に警鐘を鳴らして貰えば・・・
・・・・・
ここで、「有名物理学者」を物色したシラード。
そうだ!
いいアイデアがある!
アインシュタインへ博士へ
依頼しよう!
こうして、ルーズベルト大統領への手紙の作成者として、
アインシュタイン博士ならば、
うってつけだ!
アインシュタイン博士に依頼することを決めたのでした。
その結果、「アインシュタイン=シラードの手紙」として、ルーズベルト大統領に手紙が送られたのでした。