前回は「唇噛むスティムソン長官〜リメンバー・パール・ハーバー!・自信満々のマッカーサー・ウェストポイント陸軍士官学校首席卒・強力な本間雅晴司令官率いる日本陸軍・”I shall return”〜」の話でした。
日本の猛烈な攻撃に慌てた米国
日本の古都Kyotoをこよなく愛するスティムソン長官。
Kyotoは本当に
素晴らしい・・・
私は二度も
訪れた・・・
一つでも好きな都市・街があれば、その国に対しては好感を持ちます。
逆に、訪問時に嫌なことがあると、その国に対しては悪い感情を持つことがあります。
AsiaにあるJapanは、
我がUSより格下だが・・・
あの味わい深い
都市空間は我がUSにはない・・・
また再びKyotoへ
行きたいが・・・
こんな風に思っていたスティムソン長官でした。
ところが、
Japanが
我がUnited Statesと戦争?
Japanは、
我がUnited Statesと戦争するレベルの国力はないが・・・
「はるかに格下」のJapanと当時も今も世界最強の米国が戦争に入りました。
まあ、
仕方ない・・・
軽くJapanを
倒して反省してもらうか・・・
そう思っていたスティムソン長官が驚愕する事態となりました。
I shall return!
(私は帰ってくる!)
あの極めて優れたマッカーサー司令官が
大敗北・・・
これは対日戦の計画を
根本的に練り直さねばな・・・
驚くと共に、「仕切り直し」を考えたスティムソン長官でした。
合理的な米国の発想「カラーコード」:対日戦とオレンジ計画
時は少し遡り、スティムソン長官が正式に陸軍長官に就任した1940年7月。
まだ真珠湾奇襲攻撃まで、1年以上も時間がありました。
私が陸軍長官となった
ヘンリー・スティムソンだ!
欧州ではヒトラー率いるドイツが猛烈な勢いを持っていた当時。
全世界を
我がドイツに!
まずは全欧州を
我がドイツに!
信じがたい猛威でドイツ軍は欧州を席巻しました。
ドイツと日独防共協定を結んでいた日本は、米国との緊張関係に入ります。
特に日本海軍の仮想敵国は米国であり、米国海軍の仮想敵国の一つに日本がなっていました。
合理的な発想の米国は、すでに当時の五大国との戦争を十分に研究していたのです。
第一次世界大戦が終了した「つかの間の平和」の時に、五大国にカラーを設定していました。
「カラーコード戦争計画」と呼ばれます。
対 日本 :オレンジ計画
対 ドイツ :ブラック計画
対 イタリア:シルバー計画
対 英国 :レッド計画
対 中国 :イエロー計画
日本は「オレンジ計画」と呼ばれていました。
そして、「対日戦」を想定した研究は1920年台から米国で極秘に行われていました。
上記の国以外にも多数の国が想定され、それぞれの国との戦争が事前に綿密に検討されていたのでした。
米国らしい「すごいところ」があります。
それは、同盟国であり「長年親しい間柄」の英国ですら「対象」としていることです。
同盟国であり、
友邦である英国との戦争勃発の可能性は低い・・・
低いが「絶対ない」とは
言えない・・・
わずかでも可能性があるならば、
事前の準備・研究が大事だ。
対英国は「レッド計画」と
呼ぼう!
いかにも米国らしい超合理的発想でした。
そして、日本との戦争は
十分にありうるから「オレンジ計画」だ!
真珠湾奇襲攻撃を「実行した」日本。
とにかく、超巨大な米国と
戦うには、緒戦の奇襲が大事なのだ!
実は「実行した」と言うよりも、山本五十六長官が「強行した」のが実情でした。
何がなんでも、
真珠湾奇襲攻撃を行うのだ!
そして、早々に米空母を
1隻でも2隻でも撃沈するのだ!
ところが、山本長官・日本海軍が最重視していた米空母は不在でした。
なぜ・・・なぜ、
米空母は真珠湾にいなかったのだ・・・
米空母は
「真珠湾にいるはず」ではなかったのか・・・
「実は奇襲ではなく、米国は事前に知っていた」説も有力です。
つまり、「米政府は事前に真珠湾奇襲攻撃を探知して、米空母を避難させた」説があります。
実際に、米政府がどの程度「知っていた」か「想定していたか」は、超トップ・シークレットでしょう。
現在、米国防総省に記録が残っていると思われ、米国大統領周辺しかわかりません。
いずれにしても、「いつ日本との戦争が勃発しても、米国がどのように振る舞うか」の戦略。
1920年代から「対日戦=オレンジ計画」を10年以上の長きに渡り、綿密に練ってきた米国。
対して、日本は「米国を仮想敵国」としながらも「ある程度の計画」に留まっていました。
米国の超現実的な作戦計画「オレンジ計画」と比較すると、
米国と戦争になったら、
石油とか、大丈夫なのか?
「現実的な作戦計画」は、さほど具体的ではありませんでした。
ここに日本と米国の「長期的視野の違い」がありました。
キラリと輝くスティムソン長官の瞳:最先端物理学と超強力兵器
ちょっと
スティムソン長官に来てもらいたい・・・
1940年に陸軍長官に就任したスティムソン長官は、ルーズベルト大統領から呼び出しを受けます。
大統領。
参りました・・・
ああ、スティムソン長官。
よく来てくれた・・・
なにか
私に?
君はアインシュタインを
知っているかね?
はい。あの超有名な
物理学者ですね・・・
世界中で超有名だったアインシュタイン。
これほど超有名になった物理学者は、アインシュタイン以外に存在しないでしょう。
当時は、世界中でスターのように扱われた天才アインシュタイン。
うむ、君も
知っておるか・・・
相対性理論とかいう、
すごい理論を組み立てたとか・・・
うむ・・・私は、その理論の内容は
全然分からんのだが・・・
それは
私もです・・・
ま、我々は、
物理は全然分からんからな・・・
・・・・・
ここで、少し苦笑するスティムソン長官。
お互いハーバード大学を卒業した仲で、さらに「同じ弁護士出身」の二人。
米国内だけでなく、世界的に見ても「超エリート」でした。
それだけに「かなり高いプライド」を持っている二人。
プライドを持っているからこそ、「分からないこと」は「分からない」とハッキリ考えました。
同窓であり全く同じ専門職を持っていると、今も昔も極めて強い結びつきがあります。
この意味では、民主党と共和党という異なる政党ながら「同志」であった二人。
世間話で話を切り出した、ルーズベルト大統領は続けて、
それでだな、
スティムソン長官・・・
実はそのアインシュタイン博士が、
昨年、私に手紙を寄越したのだ・・・
ほう・・・
彼から大統領へ手紙・・・
政治と物理学は、一見すると全く関係なさそうです。
どのような
内容でしょうか?
実は、その相対性理論が
大変な超強力兵器と関係があるようなのだ・・・
唐突に「物理から政治」を超えて「物理から軍事・兵器」の話に展開しました。
ほう・・・
そうですか・・・
一気に重大極まりない「大変な超強力兵器」が登場しました。
・・・・・
ここで、スティムソン長官の瞳がキラリと輝きました。
次回は上記リンクです。