京都を原爆から守ったヘンリー・スティムソン〜原爆投下地の選定・自身の強い思いをハッキリ表現・信念と能力・米陸軍長官へ・自らの眼力に自信を持つ〜|ヘンリー・スティムソン1・人物像・性格

前回は「日本で2人目の女性宇宙飛行士・山崎直子〜道を切り拓いた理系女子の鑑・「女の子だから」の遠慮はナシ・異常に女性が少ない東大理I・大切なチームワーク・自衛隊の父から学んだ協調性〜」の話でした。

ヘンリー・スティムソン(Wikipedia)
目次

自身の強い思いをハッキリ表現:信念と能力

フランクリン・ルーズベルト米大統領(Wikipedia)

今回の威人紀行は米国の方、ヘンリー・スティムソンです。

ご存じの方は少ないと思われる米国のヘンリー・スティムソン陸軍長官。

スティムソン

私が
スティムソンです。

彼は第二次世界大戦中の日本、そして結果的に現代の日本に大きな関わりを持っています。

米政府の要職を歴任した共和党のHenry Stimsonは、民主党のルーズベルト大統領に注目されます。

当時、ルーズベルトは異例の3選を果たしていました。

ルーズベルト

私は
バリバリの民主党!

強烈な人気者だったルーズベルト大統領は、根っからの民主党でした。

アドルフ・ヒトラー独総統(Wikipedia)

1939年9月に第二次世界大戦が勃発しました。

1939年9月1日にヒトラー率いるドイツがポーランドに突如侵攻し、9月3日に英仏が対独宣戦布告。

ヨーロッパ全土を巻き込む大戦争が、起きてしまったのです。

ルーズベルト

ドイツが
強すぎる・・・

ルーズベルト

このままでは、
ヨーロッパ全土がドイツと枢軸国になってしまう・・・

ルーズベルト

我が米国も
参戦せざるを得まい・・・

ルーズベルト大統領は、どこかの時点で「米国参戦」を心に決めました。

新教育紀行
1941年ヨーロッパ・アジア支配圏(歴史人2021年8月号 ABCアーク)
ルーズベルト

民主党だけのパワーでは
限界がある・・・

ルーズベルト

共和党の方々にも政府の要職に
入ってもらおう!

ルーズベルト

米国挙げた超党派体制を
早期に築くのだ!

ところが「米国の参戦」には、大きな障壁がありました。

ルーズベルト大統領は、

ルーズベルト

米国の若者たちを
戦場に送らないことを約束します!

「米国は参戦しない」という公約を米国民にして大統領選挙に臨みました。

米国大統領選:1940年(Wikipedia)

この公約を基に、大統領選挙に圧勝していたのです。

「全米が青」になったかのような大勝利で異例の3選を果たしたルーズベルト。

ルーズベルト

公約を掲げた以上、
米国から戦争を仕掛けるわけにはいかない・・・

後に「米史上ただ一人の4選」を果たすことになるルーズベルト。

公約を平気で破る日本の政治家と異なり、米国では公約は大事です。

演説や言論を重視する米国では「公約破り」は政権基盤を揺るがします。

一方で、ドイツ軍はヨーロッパ全土で猛威を振るっており、あの大英帝国ですら危機的状況でした。

新教育紀行
ウィンストン・チャーチル英首相(Wikipedia)
チャーチル

ヒトラー率いる
ドイツ軍が強すぎる・・・

チャーチル

このままでは、
我ら大英帝国も敗北してしまうかもしれん・・・

それまでに国務長官などの要職を歴任していた大物のヘンリー・スティムソン。

さらに思想はバリバリの共和党で、さらに共和党重鎮だったスティムソン。

ドイツと英独の戦いに関して、

スティムソン

米国は英仏を救うべき!
ドイツと戦うべきだ!

スティムソンははっきりと「米国は参戦すべき」と、ラジオ演説しました。

これは「思っていても、なかなか公に言えない」ことです。

この事実は、ヘンリー・スティムソンが自らの能力に大いなる信念をもっていたことを示しています。

当時の米国民の大多数は、

米国人P

なぜ、ヨーロッパの戦場に、
米国の若者が戦いに行かねばならないのか?

米国人Q

ヨーロッパはヨーロッパ。
我が米国とは別よ!

米国人P

米国が平和なんだから、
関係ないよな・・・

米国全土に「米国は関係ない」という厭戦気分が漂っていました。

米陸軍長官へ:自らの眼力に自信を持つ

新教育紀行
真珠湾攻撃の翌日(現地時間8日)に米議会で演説するルーズベルト大統領(歴史人 2019年9月増刊号 KKベストセラーズ)

スチムソンのラジオ演説を聞いたルーズベルト大統領。

ルーズベルト

うむ・・・
これをハッキリ言う姿勢は大変良い!

真珠湾奇襲攻撃後の大演説で有名なルーズベルト大統領は、演説を非常に重視していました。

ルーズベルト

そうだ!
ヘンリーに陸軍長官になってもらおう!

ルーズベルト

彼は国務長官経験者で、共和党重鎮。
うってつけだ!

ラジオ演説の翌日には、

ルーズベルト

ヘンリー、
陸軍長官に就任して欲しい。

スティムソン

承知しました。
陸軍は私にお任せを!

スティムソンに陸軍長官就任の要請して、承諾を得ます。

ルーズベルト大統領は「信念を強く持つ男」に陸軍を任せます。

そして、日本人にとって「とても馴染み深い」方が登場します。

ダグラス・マッカーサー陸軍元帥(Wikipedia)

あのGHQのマッカーサーです。

マッカーサー

このマッカーサーは
陸軍の将軍だったのだ!

自らの信念を貫く男は、マッカーサーと大きな関わりを持ち、日本とも深い関係を持つことになります。

京都を原爆から守ったスティムソン:原爆投下地の選定

新教育紀行
米軍機の攻撃により炎上する空母飛龍(Wikipedia)

緒戦は猛烈な勢いだった日本の陸海軍。

ところが、ミッドウェー海戦での大惨敗を契機に後退を始めました。(上記リンク)

そして、1942年のミッドウェー海戦後には、陸海軍共にジリジリと超巨大国・米国に押し続けられた日本。

その頃、米国は全力を挙げて原爆を開発を推進していました。

そして、ついに1945年7月に「不可能」と思われていた原爆開発に成功しました。

「日本への原爆投下決定」に関しては、様々な意見・諸説あります。

原爆投下の時期には、すでにドイツは降伏していました。

日独伊三国同盟のイタリアは、とうの昔に脱落(日独から見て)していました。

つまり、「日本のみで世界中を敵に回して戦っていた」極めて異常な状況でした。

米軍幕僚X

Japanに原爆を
落とすのだ!

そして、日本に原爆を落とすことが決定しました。

米軍幕僚X

Japanの
どの都市に投下するのか?

米軍幕僚Y

Emperor(天皇)のいる
Japanの首都Tokyoはどうか?

当然、敵国=日本にとって打撃が大きい方がよく、まず首都東京が検討されました。

米軍幕僚X

戦争しているとはいえ、
さすがにEmperorのいる首都Tokyoへの投下は・・・

米軍幕僚X

民主国家として、
一線を超えた行為だ・・・

米軍幕僚X

それは、
「やってはならない」禁じ手だろう・・・

「首都東京への原爆投下は禁じ手」と考えた民主的国家・米国。

「殺し合い」をしている以上「敵に痛撃を与える」のは当然ですが、「Tokyoは即除外」となりました。

米軍幕僚X

Tokyoに原爆を落とすことは、
人類として許されないだろう・・・

米軍幕僚Y

なら、Japanのどこに
原爆落とすのか?

そして、軍事工場が多い都市など「大きな打撃を与えうる都市」が検討されました。

様々検討された結果、最終的に小倉・広島・新潟・京都の四都市が候補となりました。

日本への原爆投下:最終候補地

・小倉

・広島

・新潟

・京都

ここで、

米軍幕僚X

Kyotoに原爆を
落としてやれ!

前線の司令官は「Kyotoへ原爆投下」を決定しました。

「京都を二度訪れ、こよなく愛していた」スティムソン長官。

スティムソン

Kyotoは
大変素晴らしい・・・

このスティムソン陸軍長官に「京都へ原爆投下」の決裁を仰ぎました。

米軍幕僚X

Kyotoに原爆を
落としますが、ご決裁を!

Kyotoによりによって「原爆投下」する決裁書がスティムソンの元にやってきました。

スティムソン

な、
何っ?!

スティムソン

Kyotoへ
原爆だと・・・

目を疑う思いで、書類に目を通したスティムソン。

スティムソン

お前たち、一体何を
考えているのだ!

米軍幕僚X

Japanの軍に手こずっており、
我が軍にも多数の死傷者が出ており・・・

スティムソン

このバカどもめが!
Kyotoがどういう街が分かっているのか?

米軍幕僚X

Japanの奴らに最大の
痛撃を与えてやるのです!

スティムソン

Kyotoに
原爆などもってのほか!!

全力で「京都原爆投下」を否決しました。

スティムソン長官は、

スティムソン

Kyotoに
原爆を落とすことは、絶対に認めん!!

「Kyoto原爆投下は絶対拒否」の強行姿勢を貫きました。

スティムソン

私が陸軍長官である限り、
絶対にKyotoは守る!!

結果的に原爆は広島・長崎(当初は小倉の予定)に投下されました。

新教育紀行
広島への原爆投下:1945年8月6日(Wikipedia)

広島・長崎に原爆投下された事実は大変悲しいことです。

その中、スティムソン陸軍長官による「Kyoto除外」の決定。

スティムソン

Kyotoは
守った・・・

それは日本人にとって、幸いであったことは間違いないでしょう。

スティムソンは「京都を原爆から守った」人物だったのでした。

次回は上記リンクです。

新教育紀行

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