前回は「てこ・太さが一様でない棒:動いてつり合う状況のイメージ 1〜足し合わせる・重ね合わせる・静的イメージ・バネてこが動いてつり合うイメージ・動的イメージ・棒をゆっくり引き上げる・頭の中は自由にイメージ〜」の話でした。
動きをイメージ:鉛筆で実験
「バネ・てこ・かっ車・モノの動き」の問題では、実際に様々なモノが動いています。
「つり合いが取れている状況」は、本来は「なかなか難しい」状況です。
例えば、皆さんが今勉強している鉛筆は、概ね「太さ・密度が一様な棒」です。
その「太さ・密度が一様な棒」である鉛筆の中央(中心)を指に乗せると、つり合うはずです。
ぜひやってみて下さい。
うん。
やってみるね・・・
真ん中(中央)は、
この辺だから・・・
あれ?つり合わせる
のは、できるけど、少し傾くね・・・
なんとなく「つり合ってはいる」けど、
斜めでは「つり合ってない」よね。
おかしいな・・・
ちゃんと真ん中のあたりを指に置いてるよ・・・
少し傾くから、支点の位置を
少しずらして・・・
あ、これで
「ほぼ水平になった」状況だね。
これで「つり合っている」状況に
なったということね。
でもなぜ、「太さ・密度が一様な棒」なはずなのに、
鉛筆は中央でつり合わないんだろう・・・
つり合うこと:バネ・てこ・かっ車・モノの動き
中央(中心)でつり合うはずの、「太さ・密度が一様な棒」な鉛筆。
指の上でつり合わせるためには、「中央(中心)から少しずれた」位置になりました。
あっ、分かった!
鉛筆の先が削れているからだ!
確かに、この「削れている部分」は
少し軽そうね。
だから、鉛筆は「太さ・密度が一様な棒」
だけど・・・
削れている部分は、
「太さ・密度が一様ではない」んだ!
身の回りの鉛筆ですら、「太さ・密度が一様な棒」ではない、のです。
「太さ・密度が一様な棒」というのは、なかなか難しいことではあります。
なるほど・・・
「太さ・密度が一様ではない」って難しいんだね。
身の回りのものは、
今回考えている「太さが一様でない棒」が多いんだね。
てこの問題を考えていると、「太さが一様である棒」が普通です。
そして、今回のような「太さが一様でない棒」が「普通ではない」から難しく感じます。
ところが、日常生活では「太さが一様でない棒」が普通です。
・理科(物理)の問題では、「太さが一様である棒」が普通
・日常では、「太さが一様ではない棒」が普通
・「太さが一様ではない棒」を難しく感じない姿勢が大事
難しく感じる方が多い「太さが一様でない棒」ですが、「つり合うこと」をイメージしましょう。
ゆっくり引き上げる:ゆっくり動かすイメージ
Bをゆっくり「はかり」で、ゆっくり引き上げてゆきます。
この時、「一気に引き上げる」ではなく「ゆっくり引き上げる」ことが大事です。
ゆっくり、ゆっくり、極めてゆっくりと引き上げるイメージです。
この何かのモノを「極めてゆっくり引き上げる=つり合いを保って引き上げる」視点は大事です。
本当は、一度こういうことを理科実験などで行うことが望ましいです。
時間はかかりますが、「ゆっくり引き上げる」体験をすると良いでしょう。
受験生は「時間がない」ので、頭の中で「動きをスローにするイメージ」を持ちましょう。
引き上げて、A、Bが水平になる状況になりました。
A,Bの「はかり」の重りは、それぞれ何gになっているでしょうか。
難しいな・・・
分かるの?
「引き上げ始めたから、ずっと釣り合っている状態を保っている」のです。
そのため、棒が水平になった時も、引き上げ始めた時と「同じ状況」になっています。
「同じ状況が続く」ように「ゆっくりと=つり合いを保ちながら」引き上げたのです。
確かに、ずっと「釣り合っている」状態だから、
こうなるね。
でも、「釣り合わなかった」時も
あるんじゃないの?
そうだね。
「ずっと釣り合っている」保証はないと思うけど・・・
ここは、非常に大事なポイントです。
「つり合っていない時もあるかも」と考える姿勢は、非常に大事です。
今回は、「つり合いが保っているように、ゆっくり引き上げた」ので、ずっと釣り合っています。
そう言われると、
そうかも・・・
このイメージは物理的なので、ちょっと難しいかもしれません。
「そういえば、そうかも」くらいでも良いでしょう。
今度は、右側の「B点のはかりを動かさない」で、A点の「はかり」を、ゆっくり引き上げてみましょう。
どうなるか、イメージしてみましょう。
さっきのAの時と、
同じ感じだと思うけど・・・
A点は、「棒の残りの重さ」と「机からの力」でつり合っていたので、
引き上げた直後の重さは、
(①-180)gだ!
ゆっくり引き上げてみましょう。
先ほどの「Bを引き上げる状況と同様」に、ゆっくりと、そろりと引き上げます。
Aを引き上げて、A、Bが水平になる状況になりました。
さっきと、
似ているね。
理科では、似ているところに注目することは、大事です。
ゆっくり引き上げている間、ずっと釣り合っています。
すると、A,Bの「はかり」の重さはどうなるでしょうか。
さっきと、
似ているから・・・
同じように考えれば
良いはずだね!
A、B、それぞれをゆっくり引き上げて、考えてみました。
Bをゆっくり引き上げて、「つり合った」時は、下記の通りになりました。
これで、最初の問題に戻って、「棒の重さ」は分かりますか。
二つの状況って、
似ているね・・・
似ていることを
やったから、かな?
でも、この二つの
状況って、とっても似ていると思うよ。
最初に状況を「足し合わせて」「重ね合わせて」考えてみました。
その時のことも考えて、今回「A、Bそれぞれをゆっくり引き上げた」結果を考えてみましょう。
次回は下記リンクです。