前回は「机や地面から受ける力〜太さが一様でない棒・つり合いのイメージ・「自分に合う」考え方・少し曖昧にイメージ〜」の話でした。
足し合わせる・重ね合わせる:静的イメージ
太さが一様ではない棒の左端・右端を、それぞれ引き上げてます。
その状況を、「足し合わせる」「重ね合わせる」イメージの話をご紹介しました。
この「足し合わせる」「重ね合わせる」イメージは、物理的発想です。
そこで、中学受験の小学生は、「なんとなく分かる」くらいで良いでしょう。
中学生・高校生の理科系志望の方は、ぜひ「しっかり分かる」ようになりましょう。
このように「足し合わせる」「重ね合わせる」イメージは、力学に限りません。
物理現象(一部化学現象)を対象とする場合、同様に考えることができます。
・物理現象に限らず、様々な現象にも応用がきく考え方
・人や物の影が足し合わされるイメージ
この「足し合わせる」「重ね合わせる」イメージは、少し静的かもしれません。
上の状況をパパッと「足し合わせる」「重ね合わせる」のは、二つの写真を合成する感じでもあります。
確かに、左端を持ち上げている写真と
右端を持ち上げている写真を合成すると・・・
合成写真みたいな
感じで、分かるような気がする・・・
「分かる感じがする」くらいでも良いでしょう。
バネ・てこが動いてつり合うイメージ:動的イメージ
上のようなてこの場合は、モーメント(回転する力)がつり合います。
つり合って、てこは水平のままです。
水平のままですが、実際には両側にモーメント(回転する力)がかかり、少し揺れることが多いです。
理科実験で、上皿てんびんを使った時を思い出してみましょう。
上皿てんびんは「少しずつおもりを追加」することが多いので、「揺れてつり合う」状況です。
仮に「一気にピッタリ同じ重さの分銅を置いた」場合、やはり「揺れてつり合う」状況に至ります。
確かに、
そうだね。
上のようなてこの場合、支点に対して「左まわりのモーメント」の方が大きいので、つり合いません。
この場合、てこは「やや左側に傾いて」揺れながら、つり合い=静止する状態に至ります。
実際、バネ・てこや「モノが動く場合」は、このように「動いている」のです。
バネも「伸びてつり合う」ため、動きがあります。
問題集・試験などでは、印刷なので、これらの「動き」は表現されないことが多いです。
印刷された「一つの状況」に対して、考えると「全て止まっている=静止している」ように見えます。
それは、実際には違っていて「動いている」ことを考えてみましょう。
言われてみれば、
確かにそうだよね・・・
てこ・バネは、
動いたり、伸びたりしているんだね。
こういう風に「動いて・伸びてつり合いが取れる」ことをイメージすると、理解が進むでしょう。
・てこやモノは、つり合いが取れるまで動いて、つり合う・静止する
・バネは伸びて、かかる重さを引っ張り上げて、つり合う・静止する
棒全体の「つり合い」をイメージして、かかっている重さ(力)を描きました。
この時、棒は「はかりに引っ張られて、机から力を受けて」止まって(静止して)います。
はかりは、内部のバネが少し伸びてつり合いが取れている状況です。
今、この状況で、棒の反対側に「はかり」をつけます。
そして「重ね合わせる」ではなく、「ゆっくり持ち上げる」ことを想像してみましょう。
えっ?
「持ち上げる」の?
問題では、
「持ち上げる」話はないよ。
問題文にはありませんが、実験みたいに考えてみましょう。
ここで、大事なことは「一気にグイッと引き上げる」ではなく、「ゆっくり引き上げる」です。
棒をゆっくり、ゆっくり引き上げるイメージを描いてみましょう。
「引き上げた直後」を考えましょう。
「直後」というのは、
「どのくらい後」なのかな?
引き上げ始めて、「一瞬後」を考えましょう。
「一瞬後」って、
一秒後くらい?
ほんの「一瞬後」をイメージしてみてみましょう。
「一瞬後」って、
難しいよ。
難しいかもしれませんが、大体のイメージでも良いでしょう。
実際に「持ち上げて一瞬後」をするのは非常に困難ですが、イメージしてみましょう。
「引き上げた直後」は、棒の端にかかっていた重さが「はかり」の重さに出ます。
確かに
そうだね。
机から、受けていた力で
釣り合っていたんだね。
続けて、もう少し「ゆっくり引き上げて」みましょう。
「どのような状況になるか」つり合う状況をイメージしてみましょう。
棒をゆっくり引き上げる:頭の中は自由にイメージ
ゆっくり引き上げている途中は、「ずっとつり合っている」のです。
ここで「ゆっくり引き上げる」のが大事です。
「ゆっくり、非常にゆっくり引き上げる」ので、「つり合っている」状況が変わらないのです。
棒の左の端をA、右の端をBとします。
Aは全く動かさずに、Bを少しずつ、ゆっくり引き上げてみましょう。
Aを動かさないで、Bを引き上げるのって、
難しそう。
実際に実験でやるのは、難しいですが、イメージとして「Aは止めておく」と考えてみましょう。
イメージの世界は、
自分の思い通りになるからいいね。
「実際には難しいこと」でも、頭の中では自由です。
・実際には、難しいこと(〜の重さがない、など)はイメージして、描く
・最初は、状況・問題の設定に応じて、描いて、しっかりイメージ
・頭の中でイメージを思い描けるようになり、頭の中では自由にイメージ可能
そして、Bを持ち上げて、ABが水平になりました。
この「Bを引き上げている間は、ずっとつり合っている」ことを考えてみましょう。
この「状況をしっかりイメージして」みましょう。
最後の状況も「つり合っている」状況です。
A、Bの「はかり」の重さはどうなっているでしょうか?
ずっと、
最初から、つり合っているんだよね。
ということは、
つり合い続けているから・・・
あっ、ひょっとして
「つり合っている」状況が続くのがポイントかな?
今回は、左端=Aを引き上げてみましたが、同様に右端=Bを引き上げることも考えてみましょう。
続きの話は次回ご紹介しますので、考えてみましょう。
次回は下記リンクです。