前回は「身近な塩の歴史が分かる「たばこと塩の博物館」〜十州塩田と現代の塩の大生産地・塩田を作るのに適した地・塩の天日干し〜」の話でした。
博物館で「興味あること」を楽しく理解:「工業用使用」が多い塩
とても身近な存在であり、どの家庭の食卓にもある食塩。
高価な食塩もありますが、一般的な食塩は非常に安価に供給されています。
岩塩・湖塩が取れる外国と異なり、岩塩・湖塩がほとんどない日本では昔から様々な試みがなされました。
現代の「安価に食塩が供給」には、先人の方々の血の滲むような努力の上に成り立っています。
「塩」というと食用の印象が強いですが、実際の使い道は「ソーダ工業用」が約77%です。
その他、様々な工業用使用法があり、「食品工業用9.3%+家庭用1.8%」で食品関係や約11%です。
実は塩は、ほとんど工業用で
食用はすごく少ないんだね。
食品関係が11%って、
とっても意外!
このような社会のデータや知識においては、数字よりも「大体の感覚」が大事です。
「塩の使われ方」は、「約3/4がソーダ工業用、食用関係は約10%」という感じが良いでしょう。
そして、塩の供給量に関しては、外国産が88.7%、国産が11.3%です。
塩も国産って
すごく少ないんだね・・・
日本産の塩って
11%くらいしかないんだ・・・
先ほど同様に、「塩は輸入が90%、国産が10%」という大雑把な把握が良いでしょう。
明治時代頃まで、西日本の「十州塩田」付近の「塩の大生産地」が多数ありました。
そして、その影響は現在も残っており、塩の生産額は「一位が愛媛県、二位が兵庫県」です。
このように、一生懸命塩を生産している日本ですが「国産はたった約10%」が現実です。
それでは、どこから輸入しているのか、というとメキシコが40.4%、オーストラリアが41.4%です。
これらも、「塩はメキシコとオーストラリアから40%づつくらい輸入」という理解が良いでしょう。
メキシコから
こんなにたくさん輸入しているんだね。
オーストラリアは、
自然が豊かな感じで、塩もたくさんあるね。
何かと「資源が少ない国」と表現される日本は、塩もまた「輸入に頼っている国」です。
博物館等で、これらの様々なデータ・資料の表現に出会ったら、
あっ、この話は
面白そうだ!
私は、ここの点が
とっても興味ある!
全てを理解しようとせずに、「自分が面白いと思う」「興味を持つ」ことを一つでも理解すると良いです。
今回は、塩の「使われ方」「輸入量」「輸入国」の三つの話がありましたが、例えば、
塩って、工業で
使われるのが多いんだ・・・
メキシコから
たくさん輸入しているんだ・・・
こういう「ちょっとした興味」を持って、展示などを見て「少し頭に入れる」姿勢が良いでしょう。
時事問題と歴史をリンクさせる学び:米不足と「農作物が高い」日本
この記事を執筆している2024年9月は、「スーパー等の米が少ない」事態が起きています。
特に「比較的安価な米」が非常に少なくなっている状況です。
あっ、知っているよ!
ニュースでやっていたね。
お母さんが、お米を
ネットで買っていたよ。
政府が備蓄米をどの程度放出するかどうか、によって今後大きな影響が出そうです。
そもそも、ずっと減反政策を続けてきた日本。
わざわざ、自国の「米の作付け面積」を減らす、つまり米の生産量を下げ続けているのが日本です。
近年では、「ブランド米を海外輸出」という方針のもと、輸出量も伸びています。
そもそもさ、米食が多いんだから、
自国でたくさん作ればいいんじゃない?
たくさんお米作っていれば、
米不足は起こらないと思うけど・・・
なぜ、日本における「比較的安価な米」が不足しているのか、というと、海外米だからです。
上の表のように、米の価格を比較すると日本産は米国産の約2.5倍、タイ産の約5倍です。
こんなに価格の
差があるの?
つまり、「安いお米」は海外産が
基本なのね・・・
これらの価格差を是正しようと日本はずっと努力してきましたが、なかなか下がらないのが現実です。
日本の農家で一生懸命お米を作っても、安い海外米を消費者が選ぶ傾向があります。
消費者視線を優先すると、お米は「国産よりも輸入」ということにどうしてもなってしまいます。
我が国の稲作農家を
守らなければ!
国内の稲作農家を守るために、米価格などを管理して保護してきた日本政府。
米の生産量では、
米国やタイには到底敵わないな・・・
量で勝負ではなく、
質で勝負しよう!
山が多く、稲作・畑作に向いた土地が「意外と少ない」国が日本です。
そのため、平らな土地が広がっている広い国と「農作物の生産量」では勝負になりません。
日本発の「ブランド米」は健闘を続けており、今後伸びてゆくことが期待されます。
いずれにしても、農作物もまた「ほとんどを輸入に頼っている」日本。
近代・現代国家の根幹はエネルギーであり、中でも「石炭・石油・鉄」が強い影響力を持ちました。
これら「石炭・石油・鉄」の資源が非常に少なく、石油や鉄に至っては事実上「資源がない」日本。
さらに「農作物はある、作れる」けど「高いので外国産に価格で負ける」のが日本の実情です。
このように、社会で歴史的な話を学んだら「現代の話」や「時事問題」とリンクする学びが良いでしょう。
「たばこと塩の博物館」(上記リンク)は、スカイツリーの押上近くにある、おすすめの博物館です。
親子で楽しめる博物館なので、ぜひ訪問してみてください。
次回は上記リンクです。