前回は「合格の可能性の伸ばし方〜試験終了間際に解法に気づいた時・試行錯誤の痕跡を描く姿勢・考えていることは、どんどん書く:懸命に取り組む姿勢・学校側が欲しい人材へ・「積極的に書いて・描く」姿勢〜」の話でした。
合格判定と可能性と受験生の気持ち:模試の判定と対策
今回は「合格する可能性」に関する話です。
受験生は多くの模試を受けて、その結果が返送されてきます。
今回は、模試の
成績がかなり良かった!
前回は結構良かったのに、
今回は今ひとつだった・・・
誰しも自分の成績は気になります。
点数・偏差値で自分の学力が数値化され
今回、全科目総合の偏差値は
61だった。
前回より偏差値下がって、
今回は57・・・・
あ〜あ、偏差値がもう少し
上がってくれると良いんだけど・・・
偏差値の「一つの結果として」の志望校の合格判定が出て、皆がとても気になります。
合格判定の可能性の出し方は、塾によって方針が異なる点がありますが、概ね下記でしょう。
・A判定:合格可能性80%以上
・B判定:合格可能性60〜80%程度
・C判定:合格可能性40〜60%程度
・D判定:合格可能性20〜40%程度
・E判定:合格可能性20%以下
ここで「良い合格判定」をもらえれば、
この調子で行けば、
合格できそうだ!
と大いなる励みになるでしょう。
逆に、「良くない合格判定」をもらった時、
合格可能性40〜60%程度・・・
ちょっと難しいかな・・・
気落ちしてしまう方もいらっしゃるでしょう。
ここで、
よしっ!
合格目指して、少しでも頑張ろう!
こう気持ちを切り替えることが出来れば良いですが、なかなかそうもいきません。
あなたの第一志望校の
合格判定は60〜80%です。
このような判定の場合、
結構良い判定だから
嬉しい!
だけど、
20〜40%は不合格の可能性があるってこと?
この合格判定は「ある程度の信頼性」がありますが、「付き合い方が難しい」ことがあります。
読者の方々に第一志望校に合格して欲しいと、僕は心から思います。
「合格」という目的に具体的に向かう時、模試の判定と対策、そして判定の見方は大事なポイントです。
合格の可能性と数学的解釈:高い合格可能性の考え方
そこで、「合格の可能性」に関してです。
仮に100人の読者の方々が、第一志望校に合格する可能性が99%とします。
現実を考えると、99%は流石に「高すぎる可能性」です。
「第一志望校の合格可能性が99%の方が、実際に受験して100人全員合格する可能性」を考えましょう。
数学的な確率は、
0.99×0.99×0.99×・・・・×0.99と、「0.99を100回かける」と計算できます。
0.99の100乗ですから、計算してみますと・・・・・
なんと、約0.366=約37%です。
これは掛け算・指数関数の「意外に感じられる」点であり、「数学的な確率の解釈」です。
人間的な感覚だと、
99%は、
ほぼ100%みたいなものだから・・・
100人全員合格する確率は、
70〜80%くらいかな。
このように感じる方が多いでしょう。
ところが、「計算上は約37%」が正しいのです。
でもさ、99%って
模試の判定はないよ・・・
全員の方が「99%の合格率」としましたが、これは流石にかなり高いです。
「A判定=80%以上の合格可能性」であり、模試の判定では「80%以上はない」のが基本です。
そこで、ここでは「極めて高い可能性で、現実的にありそう」な「合格可能性90%」を考えます。
「合格可能性90%」は「A判定上層部」であり、「ほぼ合格する」方々です。
「合格可能性90%」の方100人全員が合格する可能性を考えてみましょう。
0.9×0.9×0.9×・・・・×0.9と、「0.9を100回かける」と計算できます。
すると、0.9の100乗=0.000026=約0.002%です。
もはや、感覚的には0%になってしまいます。
これ、
本当なの?
ちょっと
意外すぎる結果だね・・・
だって、90%の合格可能性だったら、
「ほとんど合格」でしょう・・・
「100人」という「対象が多すぎる」かもしれませんので、10人を対象としましょう。
仮に「合格可能性90%」の方10人全員が合格する可能性を考えてみましょう。
0.9×0.9×0.9×・・・・×0.9と、「0.9を10回かける」と計算できます。
0.9の10乗=0.3486=約35%です。
つまり、数学的には「90%の合格可能性の方10人全員合格するのは、概ね1/3」となります。
これも、とっても意外な
結果・・・
合格判定に対する考え方:合格へ向かう姿勢
上記は数学的な確率上の計算であり、数学・統計学的には正しい事です。
合格判定がどうであろうと、入試本番では様々なことが起こり得ます。
そして、中学受験でも高校受験でも大学受験でも実際毎年起こっているのです。
一方で、上記の内容はあくまで「数学的な計算」でしかないのも実情です。
「単なる計算」でしかないのです。
この過程では、大事な大前提があります。
1.合格可能性が十分に確からしい。
2.入試の内容が合格可能性を出した模試とほぼ同一である。
さらに大事な前提があります。
3.受験者である子ども・他の生徒の「模試と入試の時の学力が同一」
4.模試と入試が同様な出来である。
「合格可能性が十分に確からしく」は「ある程度正しい」でしょう。
「入試の内容が、合格可能性を出した模試とほぼ同一である」も、「ある程度正しい」でしょう。
採点方法等含めて「同一」は不可能です。
また、受験生の「模試と入試の時の学力が同一」は、あり得ないです。
「受験者の模試と入試における得点が同様である」も、あり得ないでしょう。
最後の1〜2ヶ月で学力は様々変わり、入試当日の得意・不得意の科目・分野にもよります。
合格判定は
「当てにならない」ってこと?
結局、合格判定には
どう向き合うのが良いのかな・・・
受験生の後半〜直前期は、健康第一で一生懸命に学んだことをしっかり勉強しましょう。
合格可能性は「ある程度正しい」ですが、「確実ではない一つの数字・指標」です。
特に受験期後半〜直前期には、自分のテンションを引き上げることも大事です。
総まとめを行いながら、合格の可能性は自分で引き上げて考えてしまいましょう。
「大体の場合で合格判定が60~80%」の方でしたら、
直前期の今頑張っているから+20%して、
80~100%だから、大丈夫!
「多くの合格判定が40~60%」の方でしたら、
直前期の今頑張っているから+20%して、
60~80%だから、多分大丈夫!
「勝手に自分で合格判定を変える」のは、ちょっと強引かもしれません。
気持ちは、ネガティブになるよりもポジティブな方が全体的に良い方向になるでしょう。
逆に、合格可能性が「ほとんどいつも合格判定が80%以上」の方は、
いつも合格可能性80%以上だから、
大丈夫だけど、最後まで気を抜かない!
このように考えるのが良いでしょう。
合格への扉を開くのは受験生自身です。
中学受験の小学生は、親も一緒になって扉を開くのを手伝ってあげましょう。
扉の開き方は「スッと開く」のでも良いですし、「こじ開ける」でも良いのです。
受験生と親が気持ちポジティブに、受験期後半〜直前期を健康的に乗り切りましょう。
その姿勢が、大いに合格可能性を引き上げるでしょう。
そして、読者の皆さんが入試当日を迎えて合格することを、心より願っております。
次回は下記リンクです。