前回は「かっ車の考え方・コツ・ポイント 2〜斜めの定かっ車・力を矢印で描く・かっ車の組み合わせ・複雑な問題=基本問題の組み合わせ・基本的考え方を身につける学び〜」の話でした。
暗記と理解すること
今回は、動かっ車の話です。
基本的なことは、
知ってるよ
私も
大体のことは、覚えた!
「定かっ車」よりも難しく感じられる「動かっ車」は、「かっ車が動く」のがポイントです。
そう、かっ車が動くと分かりにくいけど、
基本は覚えたよ!
電気、てこ・バネなども同じですが、力学的な問題は、
この場合は、
〜となるから覚えて!
「この場合は〜」と教わることがあるかもしれません。
「定かっ車」「動かっ車」いずれの場合も「かっ車の個数」「糸の本数」で、ある程度パターン化できます。
そう、
糸の本数が〜本だと・・・
志望校の出題傾向にもよりますが、「基本的問題が出題される」場合は「パターン」も良いかもしれません。
その方が、「時間が短くて済む」からです。
「時間制限がある試験」の場合、「解く効率は大事」です。
一方で、応用問題が多い志望校を志願する場合は、基本を理解して応用力を身につけましょう。
独特な問題が出やすい難関校〜最難関校志望の方も同様に、「基本原理を理解」してみましょう。
「原理を理解」って
難しそうだけど・・・
「難しい」と考えると「難しく感じられてしまう」のです。
力学の基本は、分かれば
なんだ、
そういうことか・・・
「理解出来れば、なんということはない」ことが多いです。
「パターン化」「暗記」学習で問題があるのは、「少し変化があると間違える可能性が高い」ことです。
「パターン化」「暗記」は短時間で問題に取り組めますが、「答えが間違いでは意味がない」です。
特に、記述ではなく「答えのみ、選択肢のみ」の出題が多い学校の場合も注意です。
選択式問題が多い視覚問題でも同様ですが、「選択肢の問題」は、実はかなり緻密に考えられています。
この選択肢を
入れておくと・・・
勘違いすると
この選択肢を選ぶ人も出るだろう・・・
「違う選択肢」は、「全然違う選択肢」もあります。
実は、「多くの方が勘違いしやすい選択肢」も用意されていることが多いです。
確かにそうかも・・・
この間、ちょっと勘違いした選択肢があった・・・
難しくはないので、かっ車や「てこ」などは「一度しっかり描いて理解」をお勧めします。
動かっ車の基本の理解:大事な「ひもの長さ」
まずは基本的な力・動き方を、描いて考えてみましょう。
上図の動かっ車の、右側のひもを上に引っ張ります。
定かっ車の時と同じように、重さ・力を矢印で描いてみましょう。
・向き:力のかかる向き
・長さ:力の大きさ
上に引っ張ると、右側のひもの端は手で、左側の端は固定された部分(天井など)で引っ張られます。
つまり、動かっ車は「2カ所で引っ張られる状況」になります。
それぞれの力の大きさが分からないので、緑色と青色で表現しました。
この
緑と青は同じだよ。
その通りですが、理由を考えてみましょう。
えっ、理由?
「そういうものだ」と思ってたよ。
「そういうもの」とパターン化していると「変化球の問題」に対応できなくなります。
ここで、大事な基本を考えましょう。
動かっ車、おもりに注意がいってしまいますが、大事なのは「ひも」です。
ひもがなければ、動かっ車も、おもりもバラバラで一緒に動かないです。
確かにそうね・・・
ひものことは、あまり考えないけど・・・
実は、「ひも」は、とても大事な存在なのです。
「かっ車と力」ばかり考えがちな「かっ車」の問題。
ひもがなかったら、バラバラになってしまうのです。
「もし、緑と青の力の大きさが違ったら、どうなるか」を考えてみましょう。
糸はつながっていますから、緑と青の力の大きさが違うと「力が大きい方に糸が引かれる」はずです。
「力の大きい方に引かれる」状況では、動かっ車は安定して止まってくれません。
たしかに、
動かっ車は「動いて止まる」だね。
そのため、左右の糸を引く力は「同じ」になります。
「同じ力の大きさ」は覚えていたけど、
こう考えると分かる!
上側に2つの「同じ力」で、おもり1つを引き上げることになります。
これで、引き上げる力が
ちゃんと分かるね!
これで、「おもりの半分の力で引き上げる」が分かりました。
動かっ車と定かっ車の複合問題:「基本を理解する」学びが近道
動かっ車・定かっ車が、いくつか出てくる問題があります。
パターン化して、
覚える方が早いよ・・・
ある程度は、「パターン化」で対応できると思います。
一方で、「パターン」から少しそれた問題になると、出来なかったり間違ったりすることがあります。
動かっ車・定かっ車が、いくつか出てくる問題も、パターン化するよりも、
ここが、
こうなって・・・
きちんと考えてみると「パターンで暗記」しなくても、出来るようになるでしょう。
算数でも「公式は知っていると同時に理解」するのが良い話を、上記リンクでご紹介しています。
算数・理科は「公式を丸暗記」ではなく、「理解しながら公式を学ぶ」のが良いでしょう。
丸暗記だと、ちょっと変化球の問題に対応できないことがあります。
そして、場合によっては「間違って覚える」可能性があります。
この「きちんと理解する」学びは少し遠回りに感じるかもしれません。
ところが、実は「公式を理解しながら学ぶ」は、算数・理科の得点力アップの「最短の道」なのです。
動かっ車の丸(円)を描くのが
難しくて・・・
見るよりも、実際に描いてみると
結構難しいね・・・
円をきれいに描くのは、結構難しいです。
「自分が分かれば良い」ので、形はあまり気にしないで、どんどん描いてみましょう。
もし、記述式などで、
かっ車をうまく描けなかったら、どうしよう・・・
円をきれいに描けるのは数学科の先生が多く、理科の先生もそれほど上手くない方もいらっしゃいます。
描いていることが大事で、
図の上手い、下手は、大きなポイントではない・・・
採点者は「描いていること」に対して、適切に判断して採点してくれるでしょう。
そこで、「少し歪でも良い」くらいな気持ちで、エイッと円を描きましょう。
動かっ車の基本的性質の「引き上げる距離」は、次回考えます。(下記リンク)