前回は「志望校合格へ向かう姿勢〜偏差値・合格判定は気にしない・試験当日は別・最後の試練へ・本命で自己ベスト発揮〜」の話でした。
模試の合格判定と合格可能性への考え方:厳しい判定の時
中学受験・高校受験・大学受験の受験生は、模試や試験をたくさん受けます。
特に秋以降は模試が立て続けにあって、毎週のように模試を受ける方もいるでしょう。
今週も来週も再来週も
模試が続くよ・・・
この間は総合の偏差値は
60だった・・・
前回より偏差値下がって、
今回は57・・・・
あ〜あ、偏差値がもう少し
上がってくれると良いんだけど・・・
成績と偏差値が出て、それに伴う合格判定・合格可能性が出されます。
合格判定の可能性の出し方は、塾によって方針が異なる点がありますが、概ね下記でしょう。
・A判定:合格可能性80%以上
・B判定:合格可能性60〜80%程度
・C判定:合格可能性40〜60%程度
・D判定:合格可能性20〜40%程度
・E判定:合格可能性20%以下
この合格判定に対する、数学的解釈の話のご紹介をしました。(上記リンク)
この「合格判定と合格可能性の数字」は、どうしても気になります。
合格可能性には「合格可能性60〜80%程度」など幅がありますが、仮に「70%」と考えましょう。
そもそも、「合格可能性70%」とはどういうことでしょうか。
70%の可能性で
合格するってことでしょ・・・
この「70%」を具体的に考えてみましょう。
基本的に、確率は「ある事(事象)が発生する回数の割合」です。
例えば、「コインを投げたら50%の確率で表」というのは「10回投げたら5回が表」です。
同様に考えてみると、「合格可能性70%」=「10回受験したら7回合格」となります。
でも、私は第一志望のX中学は
1回しか受験しないけど・・・
「10回受験」じゃ、
変でしょ・・・
それでは「1回受験したら、0.7回合格」という考え方をしましょう。
0.7回合格って、
意味不明じゃん・・・
とにかく、実社会において確率というのは「分かるようで分かりにくい」側面があります。
良ければ嬉しい合格判定。
だいぶ合格判定が
上がったから、合格しそう!
反対に厳しい判定をもらった時は、誰しもテンションが下がってしまいます。
合格判定が
前回の模試よりだいぶ下がった・・・
なんでだろう・・・
何か勉強の仕方が悪いのかな・・・
そもそも、合格判定及び合格可能性とは、どのように考えるべきなのでしょうか。
合格可能性の信憑性と確率の考え方:コンピューターの確率と信頼性
ここからは少し横道にそれて、ゲームの話をします。
受験の話からゲームの話に移るのは考えようによっては不謹慎ですが、内容は真面目です。
光栄(現コーエーテクモ)のゲーム「三国志2」で、具体的な「確率の考え方」を考えてみましょう。
写真はPC98時代の「三国志2」で、当時大ブームを呼びました。
歴史が好きなこともあり僕はこのゲームが大変好きで、とても長い時間を投入しました。
筆者と同年代の方でこのゲームを大いにやって、
この画面、とっても
懐かしいね!
この画面に懐かしさを感じる方もいらっしゃるでしょう。
この「三国志2」では、知力80以上の武将は「軍師」に任命することが出来ます。
軍師は、様々な場面で色々と助言してくれます。
何かコマンドするにあたり「実行する」か「実行しないか」に関する助言です。
そして軍師の助言によって、「実行するかどうか」をプレイヤーが判断します。
この「軍師の助言」が大事なのは、コマンド実行の「成功の可能性」を事前に示唆してくれることです。
コマンドを実行するには、ゲーム上の費用がかかったり、動く家臣が危険に晒される可能性があります。
そのため、「成功の可能性」を事前に軍師が知らせてくれることは非常に大きなポイントです。
軍師の「知力の高さ」によって「助言の正確さ」が大きく変わります。
この「助言の正確さ」はプログラムで厳密に定められており、知力80-90では概ねイメージです。
知力 | 助言の正確さ(およそ) |
80 | 55% |
85 | 68% |
90 | 80% |
例えば、知力83ならば「知力80と85の間のおよそ63%程度の正確さ」となります。
知力80では「助言の正確さ」は、およそ55%なので「全く助言がない時の勘」の50%を少し上回ります。
そのため「多少は役立つ」はずです。
ところが、実はこの「55%程度の確率で正しい助言」は全く役立ちません。
軍師がいると「賑やかな感じ」で嬉しいですが、「55%程度正しい助言」は「ない方がむしろ良い」です。
優れた軍師になって、知力90になると「助言の正確さ」は概ね80%となります。
「概ね80%正しい助言」であれば、かなり高いように感じます。
ところが、実は、
「概ね80%正しい助言」も、
あまり役立たないのです。
これはプレイしたことがある方なら分かりますが、「概ね80%正しい助言」では困るのです。
「概ね80%正しい」= 「10回に8回程度正しい」=「10回に2回程度間違える」です。
「10回に2回も間違える」のでは、プレイ上全く役立たない助言になります。
そのため、知力90程度までの軍師は「いてもいなくても、大して変わらない」存在になります。
そして、知力95になると「助言の正確さ」は概ね90%となり、一気に「役立つ存在」になります。
知力 | 名前 | 助言の正確さ(およそ) |
98 | 司馬懿 | 96% |
龐統 | ||
97 | 周瑜 | 94% |
荀彧 | ||
郭嘉 | ||
96 | 徐庶 | 92% |
魯粛 | ||
陸遜 | ||
95 | 賈詡 | 90% |
張昭 |
そこで、「知力95以上の軍師の獲得」がプレイするにあたり、大きな目標となります。
知力95以上の軍師は10人ほどいるため、彼らを早い段階で配下にすることが大事になります。
ただし、武将によって登場する年が変わることもポイントです。
「助言の正確さ」が90%以上になると、
必ずや
〜でしょう。
安心して「軍師の言う通り」にしていれば大体OKです。
特に知力98の司馬懿・龐統になると「助言の正確さ」が96%程度となり、「極めて正確」です。
頼れる存在の「かなり優れた軍師」がいると、ゲームはスイスイとうまく進む傾向があります。
司馬懿などの軍師も優秀ですが、諸葛亮孔明が登場すると彼らすら色褪せてしまいます。
知力 | 名前 | 助言の正確さ |
100 | 諸葛亮 | 100% |
98 | 司馬懿 | 96%(およそ) |
龐統 |
諸葛亮は「助言の正確さ」が100%です。
つまり、諸葛亮が言うことは「全て正しい」ことになります。
諸葛亮って、
諸葛孔明じゃないの?
本場中国よりも、日本での方が有名である可能性があるほど超有名人の諸葛亮孔明。
本名は諸葛亮であり、諸葛孔明の孔明は字(あざな)です。
劉備玄徳、関羽雲長、張飛益徳(翼徳)、曹操孟徳などの青字部分も字(あざな)です。
日本にも「亮」と言う名前の方が結構いますが、諸葛亮と同じ「亮」です。
知力98の司馬懿や龐統を大事にしていたのに、諸葛亮が登場すると、
司馬懿
使えないな・・・
こう感じてしまうほど、「96%の正確さ」は「正確でない」ように感じてしまいます。
あ、また
司馬懿が間違えた・・・
これは実に不思議なことで、実社会では「96%はほとんど100%と同じ」というイメージです。
やっぱり100%の
諸葛亮がいいな・・・
ところが、プログラムで制御されたゲーム上では「96%と100%は全然違う」のが現実です。
合格へ向かう大事な気持ち:合格判定は一つの指標
この例は単なるゲームの話です。
ゲームの話と
実社会は全然違うけど・・・
このように考える方もいらっしゃるでしょう。
このゲームを例に考えたのは、プログラム制御された確率なので「あやふや」でない点がポイントです。
実社会と異なって、ゲームで「80%の確率」ならば「厳密に80%」となります。
これを合格判定に結びつけて考えてみましょう。
上の例の通り、実際に「80%の可能性」というのは「あまり信頼性が高くない」のが現実です。
すると「合格可能性80%」という可能性もまた「それほど高い信頼性はない」とも考えられます。
そもそも、上の「助言の信頼性」と模試を考えると「模試の信頼性」を考慮する必要があります。
受験生にとって絶対的な存在とも言える模試ですが、模試と本試験は状況が異なります。
・受験生のグループ・母体
・受験生の学力
・当日の体調や健康
・出題傾向
・採点基準
ざっと考えただけでも、上のような模試と本試験の違いがあります。
このうち「出題傾向」に関しては、模試を運営する塾などが懸命に考えて作成して「近い」でしょう。
また、「受験生のグループ」は人気の高い大型の模試であれば「ほぼ同一」でしょう。
この意味では、「出題傾向」と「受験生のグループ」は高い可能性で「ほぼ一致」かもしれません。
一方で、「受験生の学力」は直前期に伸びる方もいれば、少し伸び悩む方もいるでしょう。
さらに、「当日の体調や健康」状態はそれぞれの方で異なるでしょう。
また、採点基準は「答えだけ」の試験であれば同一ですが、多少記述があると大きく異なるでしょう。
校風や教育理念・カラーで大きく変わると考えられる採点基準。
塾などはそれらも研究していると考えられますが、学校内部の採点基準の把握は不可能でしょう。
これだけ模試と本試験では「違う要素がある」のが事実です。
その中、「合格判定の信頼性が80%を超える」ことは物理的に難しいと考えられます。
このように、模試の合格判定は「ある程度の信頼性」に留まるのが現実です。
受験生にとっては、合格判定があたかも「最終結果」のように感じられてしまうことがあります。
あなたの合格可能性は
60〜80%です・・・
こう言われると、受験生は「あたかも判決を受けたような気持ち」になるものです。
合格可能性が60〜80%と
いうことは、・・・
「もう少しで合格」なのか、
頑張れば合格するのか・・・
それは「模試を受けて一生懸命頑張る」受験生の立場を考えると、致し方ない面があります。
大事なことは「合格すること」です。
「良い合格判定を獲得すること」は、そのプロセスの一つに過ぎないのです。
偏差値や合格判定は「良い・高いに越したことはない」という一つの指標です。
・合格判定や合格可能性は一つの指標であり、「確らしさ」は様々な考え方がある
・模試での経験を活かして、本試験で高得点を獲得する
それよりも、最終的に「合格に結びつくか」の方が、遥かに大事です。
合格判定は一つの指標・参考として、合格へ向けて少しずつ進む姿勢が最も大事でしょう。
次回は下記リンクです。