前回は「身近なことに興味持って学力アップ〜生物にとって超大事な窒素・コンデンサーの役割・直流と交流〜」の話でした。
理科の記述力アップと基礎確立の勉強法:身近な現象や事柄を知る
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前回に続いて、(7)へ進みます。
前回同様「冒頭の内容を説明し、当てはまらない・間違っている選択肢を全て答える」です。
問題文は(1)の部分に記載しているので、上記リンクをご参照ください。
今回は、窒素に関する問題です。
大学受験においては、国立大学などで記述式の試験が比較的多い傾向があります。
中学受験においては、記述タイプは比較的少数で、記述を出題する学校は限られる傾向があります。
上記リンクでは、記述が多い武蔵中・麻布中などの学校の「記述への姿勢」をご紹介しました。
そして、記述は社会・国語などの文系科目か算数の一部でよく見られ、理科は少ない傾向があります。
知識や図やグラフなどを読み解く傾向が強い理科においては、選択問題が多いと思います。
武蔵中で2022年に出題された選択問題に記述を追加した本問は、理科の基礎確立には良いでしょう。
今回は「血液とは?」を考えます。
血液は、皆さんの体の中を毎日駆け巡っている「極めて身近な存在」です。
血液とは何か?
とは考えたことがなかったけど・・・
血液検査とかで
見たことはあるけど・・・
体育で怪我をしたときに、
結構血が出て、保育室で先生に治してもらった・・・
あまりに身近すぎて、意外と「存在を意識することが少ない」のが血液や血管かもしれません。
血液とは「人体の中を常に流れ続けていて、怪我などをした時に血を止める効果を持つ赤い液体」です。
或いは「酸素や栄養などを体の各部に運び続け、細菌やウイルスなどを撃退する力を持つ赤い液体」です。
ア:「心臓から送り出される」は○です。
イ:「不要物は運ばない」は合ってそうな気もしますが、「不要物全て」は✖️です。
上記リンクでご紹介しましたが、社会でも理科でも「全否定は基本的に✖️」です。
何かを「完全に否定する」のは「例外を一切認めない」ことで、極めて困難なことだからです。
ウ:「肺で酸素を受け取る」は◯です。
エ:酸素でもなんでも「何かを渡した後は青色」は✖︎です。
この問題は、
いつも赤色だから、
何かしたら青色になるかも・・・
このように「考えすぎて間違えてしまう」かもしれません。
理科は知識も大事ですが、
血液が青色?
それはおかしいよね・・・
身近なことに関しては、「常識で考える」姿勢も大事です。
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上記のような感じにメモって、「青色」などは注意するようにすると良いでしょう。
人体の中を常に流れ続けていて、怪我などをした時に血を止める効果を持つ赤い液体(良い例)
酸素や栄養などを体の各部に運び続け、細菌やウイルスなどを撃退する力を持つ赤い液体(最も良い例)
身体の中を回っている赤い液体(良くない例:性質に関する説明がない)
怪我をすると身体から出てくる赤い液体(良くない例:血液の役割の説明がない)
選択肢:イ、エ
血液は男性の体重の約8%、女性の体重の約7%と、かなりの量があります。
そして、全血液量の1/3ほどを失うと死にいたる「身体に不可欠の液体」です。
個人差はありますが、概ね5分で身体全体を一周して心臓に戻ってくるのが血液です。
自然界のモノは多様:感覚を大事にする姿勢
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今度は「れき」に関する問題です。
この問題は、理科の全分野にわたる事柄が含まれていて、横断的な学びにちょうど良いです。
れき(礫)は石の一種ですが、「れきとは何か?」は普通はなかなか考えないことです。
石のことは
たくさん勉強したけど・・・
花崗岩とか
色々覚えたけど・・・
石はちょっと旅に出て自然豊かなところにいくと、いくらでも出会うものです。
上記リンクでは、東京都奥多摩での釣りの話をご紹介しました。
れきとは「直径2mm以上の小さい石」です。
この「直径2mm以上」は定義(決まり事)で、「直径2mm未満は砂」と扱います。
「直径1mm程度は砂か、れき(石)か、どっちなのか」と困ってしまうので、決まり事を作っています。
ア:「どれも」と「全てのれき」を対象としているので、✖️です。
上記で「全否定は✖️」と説明しましたが「全てを対象とした大きな性質は基本的に✖️」です。
ここで「大きな性質」としたのは、例えば「血液は全ての人間にある液体」ならば○です。
「全ての人間」よりも「全てのれきは黒」というのは、大きな性質で強く限定するので大きく異なります。
「全て黒」などだと「例外なしで黒」であり、実際白いれき等もあるので、✖️です。
イ:「どれも角ばった」もアと同様に「全てのれき」なので✖️です。
実際には、川などで「丸いれき」も沢山あります。
ウ:「地層に必ず含まれている」は合ってそうですが、「必ず」は「例外なし」なので✖️です。
地層には、れき以外の様々な石、砂、土(泥)などが含まれています。
そのため、地層によっては「泥ばかりで、れき等が全然ない」部分もあります。
エ:「どれも大きさは2mm以上」は、決まりごとなので○です。
これは、小学生にはかなり細かい知識で、知っている方は少数でしょう。
ここまで細かな知識を
覚えなければならないの・・・
2mm以上とか
言われても・・・
「れきの定義」を知っている方は地学の専門家を除けば、極めて少数派です。
こういう「超細かい知識」は、出会ったら、
あ、そうなんだ・・・
知っておこう・・・
このくらいの気持ちで、「サッと知っておく」と良いでしょう。
もし、試験場で、このような「超細かい知識」に出会ったら、
「れき」って
小さい石だよね・・・
でも小さかったら、
砂と区別するのが難しいから困りそう・・・
すると「2mm以上」というのは
合ってそうだな・・・
このように臨機応変に考えると良いでしょう。
ここで、もし「3mm以上をれきと呼ぶ」ならば、
3mmはちょっと
大きいかな・・・
2.5mmくらいの
れき(石)は砂?
ちょっと
違うかな・・・
何事も「暗記しなければ」ではなく、考えてみて「感覚を大事にする」姿勢も大事です。
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上記のようなメモとなります。
ここで「自然界のモノは多様」とメモしたのは、「自然にあるものは、いろいろ」という意味です。
建物を構成する鉄の梁・鉄製品など「人工物」は、「ある程度一定の性質」があります。
ところが、自然界のものは色・形等に関して「全て〜」ということは、ほとんどないのが現実です。
直径2mm以上の小さい石(良い例)
直径2mm以上の小さい石、岩石の破片で角ばった形、丸い形など様々ある(最も良い例)
小さい石(良くない例:大きさの説明がない)
川などでよく見かける石(良くない例:少し抽象的)
選択肢:ア、イ、ウ
次回は下記リンクです。