前回は「記述の考え方と練習する・ポイント〜自分の好きなテーマ・趣味から記述力を養成・戦国大名の戦略と版図構築を考える姿勢・領土拡大と減少の理由・戦国大名の版図の変遷・織田家の異常さ〜」の話でした。
記述問題の書き方がわかる勉強法:「相手が見えない」記述問題
中学受験の記述問題では、
下のグラフを見ると〜であることが
分かりますが、なぜですか?
あるいは、出題された問題文や資料を読んで、
〜とはどうのような
ものか、説明してください。
この様な出題が多いです。
これらの問題が「選択肢の問題」であれば、
答えを下記の(ア)〜(エ)から
選びなさい。
この様になるので、
「ア」は、
ここが違いそう・・・
「イ」は問題文で
言っていることに合いそう・・・
この様に「正答かどうか」は別として、着々と考えることは出来ます。
知識を問う選択問題でも「なぜ?」を問う選択問題では、ある程度「絞る」姿勢が大事になります。
対して、「絞る対象が全くない」のが記述式問題です。
何を、
どう書けば良いのか・・・
検討が
つかない・・・
いわば「考える相手がいない」ような記述問題に対しては「相手が見えない」ような気がして、
記述問題って、
なんだか難しい・・・
この様に、記述に苦手意識を持つ方が多いのが現実です。
・「異なる点・違い・特徴」などをしっかり押さえる
・文章の流れに応じながら、ある程度は自分の考えを入れる
「解答の選択肢が与えられている」あるいは「単語・人名等を答えれば良い」問題と大きく異なります。
この点では、問題の内容によらず、
記述問題は、
特殊な対策が必要!
この様に「特殊な対策が必要」と考えられます。
実際に「小学生が自ら文章を書く」のは、非常にハードルが高いことです。
「正しい答え」は、
結局何なのかな?
選択肢や「明確な答え」がある問題と異なり、「見えない相手」と戦う気持ちになるかも知れません。
この「見えない相手」に対して、一から文章を自分で考えて「答えを作らなければならない」記述問題。
そこで、まずは「自分が好きなこと、趣味」で良いので、「考えて書いてみる」ようにしましょう。
・自分の趣味や好きなことを選んでテーマを決め、考えて書いてみる
・まずは「書いて、自分で考えたことをまとめる」ことに慣れて、出来れば好きになる
記述問題を難しく考えない姿勢:「当事者になる」姿勢
室町時代末期から戦国時代にかけて、日本の様々な地域において数多くの戦国大名が登場しました。
弘治・永禄・元亀・天正の時代は、群雄割拠して多くの大名たちが鎬を削って争いました。
中でも、下記の四名はそれぞれ広大な領土を有する戦国大名となりました。
・織田信長
・武田信玄(晴信)
・上杉謙信(長尾景虎・政虎・輝虎)
・毛利元就
これらの四名の戦国大名には、領土拡張の戦略において、それぞれ大きな特徴があります。
領土拡張戦略が、この中の一名が他の三名と大きく異なる点を考え、説明して下さい。
この問題では、考え方によって「いくつかの答え」があるでしょう。
この4人の中で、「他の3人と違う」可能性が最も高いのは、
それは
信長でしょ!
やはり「違う=革新性が高い」のは、圧倒的に織田信長です。
前回の信長の勢力拡張を考えた時、一つの大事なことがあります。
それは「客観的に見る」よりも「信長になったつもり」になることです。
上記リンクで、記述問題は「当事者になったつもりで考える」話をしました。
この例で「ある家庭の子ども」に「なったつもりになる」のは比較的イメージできそうです。
うん。
それは出来そう・・・
でも、
「信長になったつもり」は無理だよ・・・
「織田信長になったつもり」は難しいかもしれません。
上記リンクで、特攻隊の記述問題に対して、「登場人物なりきる」大事さの話をご紹介しました。
ここでは、「特攻隊の方と話す」気持ちに「なってみる」「なりきる」話でした。
「特攻隊の方と話した」経験がある現代の小学生〜大学生は、存在しません。
特攻隊の方と
話したことも、話すこともないよ・・・
難しく感じるかもしれませんが、「目の前に特攻隊の方がいる」イメージをしてみましょう。
文章題を読みながら、「そういうイメージ」を持ってみるのがポイントです。
少しなら
分かるかも・・・
これは、慣れてくると出来るようになので、少し楽しみながらやってみましょう。
この「特攻隊と話す少年になる」は出来ても、「信長になる」が難しい理由。
「特攻隊と話す」少年では、「特攻隊と話す」が「あり得ない事態」ですが、「少年」は自分自身です。
当事者が、女性・女の子だと、
私、「少年」
ではないけど・・・
こう感じるかもしれません。
この問題が出題された武蔵中では「受験者は男性・男の子」なので「少年」です。
女子中の出題で、「当事者が少年」である問題もあるかもしれません。
自分が「少年」であるので、その状況のままワープすれば「特攻隊と話す」状況になります。
難しいけど、少し
分かるかも・・・
一方で、「信長になる」のは自分の状況として「あり得ない」ので、難しそうです。
そう・・・
僕は信長にはなれないし・・・
「織田信長」という超特殊な人物になることも難しいですが、年齢もはるかに上です。
受験勉強が本格化する11歳〜18歳くらいの方にとって、
20代なら分からなくはないけど、
30代って、どんな感じなの?
「30歳〜49歳の壮年期」は想像することも難しいです。
その年齢が
全然イメージできない・・・
「様々なハードル」がありますが、「信長になったつもり」で考えてみましょう。
織田信長の戦略と革新性を考える:信長になったつもり
猛烈な勢いで勢力を拡張した織田信長。
他の戦国大名も似た状況ですが、そもそもは「一国の支配者ですらない」のです。
この点、本来「最も恵まれていた」のは武田信玄でした。
信玄が当主(武田家の代表)となった時「甲斐の支配者」であり、さらに「甲斐守護」だったのです。
対して、信長の出身の織田家は「尾張守護代二人のうちの三人の重臣の一人」でした。
いわば、武田信玄よりも「格が2つ下」だった信長。
織田信長が戦国時代に躍り出た頃の勢力圏は、「尾張の半分」程度でした。
名前 | 生年 |
毛利元就 | 1497年 |
北条氏康 | 1515年 |
今川義元 | 1519年 |
武田信玄 | 1521年 |
長尾景虎(上杉謙信) | 1530年 |
織田信長 | 1534年 |
そして、沢山いる列強戦国大名の中でも、明らかに「若造」が織田信長でした。
戦いの連続の中、尾張を切り従えて、清洲城に拠点を構えました。
やっと、尾張を
概ね統一出来たか・・・
この27年後の1582年には、急速に勢力が膨張して「日本の中央全土を支配する」に至りました。
あなたが織田信長ならば「尾張から勢力拡張する」時に、何を考えるでしょうか。
やっぱり、
まずは領土拡大だよね・・・
でも、戦うのは
大変だし、お金かかりそうだし・・・
信長が天下統一間近だったのは
知っているけど・・・
「どうやって?」は
考えたことがなかった・・・
織田家の領土の変遷から、織田家の急速な膨張の理由を自分なりに考えて書いてみましょう。
覚えることが多い歴史では、ただ人名や事実を「丸暗記」ではつまらなくなってしまいます。
信長に限らず「どうして?」と自分で考えてみましょう。
すると、好奇心が生まれてイメージできるようになるでしょう。
そして、対象やテーマがなんであっても「まずは書いてみる」姿勢が記述では大事です。
次回は、織田信長の大戦略や生き様を具体的に考えてみます。
次回は下記リンクです。