前回は「社会選択問題の効果的勉強法〜出来ても出来なくても「しっかり復習」・問題文とキーワードを一つずつ理解して解く〜」の話でした。
歴史の事柄や出来事を考えるコツ:年号ではなく前後の流れから推測
「井戸」をテーマにした女子学院中の問題の続きを考えてみます。
問2は「事柄を古い順に並べる」問題で、中学受験では頻出タイプの問題です。
こういう問題は、まず「〜年」か「〜年ごろ」を
考えて、並べ替えれば、いいのかな・・・
歴史では「年号をある程度暗記する」必要がありますが、
西南戦争が
勃発したのは何年ですか?
このように「年号を直接尋ねる」問題は、ほとんどなく「前後に並べ替える」問題が多いです。
こういう問題で「〜年(頃)」と「数字に置き換えて、並び替える」考え方はやめた方が良いでしょう。
「年号が分かれば、解きやすい」くらいな発想で、基本は「前後関係を整理」することが大事です。
このような「事柄・出来事の前後関係」には、何らかのテーマがあることが多いです。
共通するテーマがなく、「ただ並び替えるだけ」の問題もありますが、共通項を探る姿勢が大事です。
今回は、冒頭に「水に関する問題」と書いてあり、
水に関する
問題を答えてください!
と出題者の意図」が明確に表現されています。
試験が始まると、「一分一秒が惜しい」気持ちで、
早く問題文を読んで、
早く解かなきゃ!
気持ちが焦りますが、こういう「ハッキリしたキーワード」をしっかり頭に入れるのが良いです。
「〜年(頃)」と分かれば良いのですが、冒頭「宋の影響」とあり「宋の頃」であることが分かります。
中国の様々な王朝は知っている方が多いですが、清・明の前は「ちょっとあやふや」な方が多いでしょう。
宋は960年から1279年に存在した王朝・国家ですが、概ね「1000~1300年頃」と覚えておくと良いです。
今回は「宋の時代が分からない」前提で、上手く並び替える考え方でゆきます。
パッとみて水・井戸がテーマなので、まずは「最も新しいこと」と「最も古いこと」を探しましょう。
ア:「底部に結桶」とあり、どうやら技術力が進んできた感じで、中頃の時代です。
イ:「茶の湯」でパッと「戦国時代」と分かるようにしましょう。
ウ:「側溝」「武家屋敷」が登場するので、これはかなり近代的な街の時代です。
エ:環濠集落は文字通り「濠(堀)を環状に回した」村・集落で、初期の村なので「最も古い」です。
ここで、
エが最も古くて、
ウが最も新しいな・・・
こう考えられるので、「エ:1、ウ:4」とメモして、
次はエの次と、ウの前を
関係づけよう・・・
こう考えて、改めて、アとイを見てみます。
ここで、「ア:底部に結桶」は高い技術ですが、「イ:茶人、名水」は歴史が流れた感じがします。
そこで、「エ→ア」と「イ→ウ」の流れが分かり、「エが最古、ウが最新」と組み合わせます。
答えは「エ→ア→イ→ウ」となります。
答:エ→ア→イ→ウ
この問題は、「集落・村・街」の成り立ちを「水・井戸の側面」からまとめています。
このような視点で歴史を学ぶことは、ほとんどないです。
そこで、こういう問題を解いたら、ただ「出来た」か「出来なかった」ではなく、
水・井戸から人が集まる
集落・村・街を考えると、こうなるんだ・・・
出題者の方の切り口による「歴史の流れ」を学ぶと理解が深まるでしょう。
・「年号が分かれば良い」と言う姿勢で、キーワード・テーマに沿って前後関係を考える
・まず、最新と最古を固めて、前後の流れで関係づける
同時代の出来事を考えるポイント:時代の状況から推測
問3は「斉明天皇や天智天皇の頃」とありますが、
えっ、斉明天皇って
知らない・・・
こういう方が多いはずで、斉明天皇(天智天皇の母)と記載されています。
おそらく、出題者の方は、かなりこの時代にも造詣が深い方ですが、
小学生は斉明天皇を
知らないだろうから、注釈を・・・
こう考えて「注釈を記載」したと思われますが、テーマは天智天皇です。
「知らない人」が登場しても慌てず、テーマとなる人物を押さえるようにしましょう。
天智天皇と言ったら、
中大兄皇子、大化の改新、
645年!
多くの方が覚えているでしょう。
天智天皇〜斉明天皇の在位期間を知らなくても、
中大兄皇子のお母さんと
中大兄皇子が大人になった頃だから、640〜680年頃・・・
まずは「大体の時期」を押さえましょう。
ア:「金貨発行」は、さすがにこの時期は早過ぎるので、✖️です。
イ:中臣(藤原)鎌足は「中大兄皇子のお友達」なので、◯です。
これで一つわかりましたが、「答えは二つ」なので「あと一つ」です。
ウ、エ、オは大体の年号を知っていれば良いですが、
日本書紀って、いつだっけ・・・
あと、東北の蝦夷と律令か・・・
迷うことがあると思います。
日本書紀は古事記と並ぶ最も古い史書で、720年完成の編年体の記述です。
・編年体:出来事・事柄を年代順に並べて記述
・紀伝体:人・国家に関する情報をまとめて記述
ここでは「720年は知らない」として、次の「東北の蝦夷に兵を派遣」です。
「東北の蝦夷との戦い」と言ったら、坂上田村麻呂です。
797年に桓武天皇から「征夷大将軍に任命」され、蝦夷討伐(朝廷から見て)に向かいました。
この「797年頃」を知らなくても、
そういえば、800年〜900年頃に
坂上田村麻呂が東北に攻め込んだから・・・
いきなり「征夷大将軍」ではなく、
その前から戦っていたはず・・・
こう考え、次の「律令」は「大宝律令」が頭に浮かびます。
701年成立の大宝律令ですが、年号を知らなくても、ここで共通点を探してみましょう。
どうも「日本書紀と律令は同時期」のように感じれます。
いずれも何らかの書物や律令・法律・条例が関わるので、文化の成熟の流れから「同時期」です。
日本書紀と律令は同時期だから、
両方◯なら、「◯が3つ」で変・・・
ってことは、これらは
ちょっと違う時期で、蝦夷かな・・・
こんな風に考えてみて、答えは「イとエ」です。
答:イ、エ
これらは一つの考え方で、「年号を知っていれば良い」ですが「知らなくても解ける」考え方です。
・書物や律令など文化の流れから「同時期の出来事」を推測
・知らない人物が登場しても「中心人物」から考える
「全て暗記」ではなく、歴史は流れが大事という思考で問題から学ぶと良いでしょう。
次回は下記リンクです。