前回は「子どもの個性と志望校の校風・カラー〜志望校の決定・子どもが染まるカラー・判定より大事なこと・「合格する力」を長期的に育成・モチベーションを高める〜」の話でした。
中学校側が考えていること：芸術大学の入試選抜の例
今回は、受験における「中学校側が考えていること」から合格への道を探ります。
大学生の時、講師として授業にきていた、ある国立の芸術大学の教授の話が非常に印象的でした。
その芸術大学の入試は、数学などの一般的な学科試験とデッサンがあります。
そして、それぞれに点数がつけられて合算して順位をつけます。
その「順位」の上位から定員までの人数を合格として、定員外の順位以下は「不合格」となります。
その教授の話は下記のような話でした。
入試における基本的姿勢は、各科目の単純合算である。
一方で、特に合否ラインは単純合算で合格・不合格とはしていない。
例えば、
・数学は抜群に出来るが、デッサンが下手すぎて「いくらなんでも、もう少し上手く描けないか」という人
・デッサンは抜群に上手だが、数学や物理が「猛烈に点数が低く、大学受験生最低ラインを下回っているのでは」という人
それぞれを「合格にすること」がある。
それは、合否ラインにいて「全ての科目が、まあまあ出来る」人よりも良い面がある。
こういう「一芸に秀でた人」の方が、成長が見込めるからだ。
さらに、単純な合計点によって入学者（合格者）を決めるよりも、こういう人がいた方が全体として良い。
多様性が高まり、相互で切磋琢磨する過程が面白い。
その切磋琢磨の過程で優れたセンスをお互い発揮して、成長してゆくことを期待している。
これは、入試の内側を示した話です。
内輪ではなく、その教授は筆者たちの授業中に話したことです。
ですから、この事実は「公然の秘密」なのでしょう。
男子小学生でもさ、芸術って、
ちょっと違うんじゃない？
女子小学生私たちが受けるのは、
算数や理科だから・・・
女子小学生絵とか音楽とは、
ちょっと違うんじゃない？
これは「芸術」の話なので、少し特殊かも知れません。
少し特殊かもしれませんが、「入学試験」という行事で「生徒を選抜する」中学校。
中学校が入試を課すのは、
出題者学力の高い子に
入学して欲しい・・・
「学力が高い子に入ってほしい」という気持ちがあります。
確かに、「入学時に高い学力を有すること」は大事なことではあります。
そもそも「高い学力とは何か？」に関しては、様々な議論があるでしょう。
・独創的発想力
・創造力、想像力
・論理的発想力
・問題解決能力
・学問の基本的能力：読み、書きなど
様々な議論ありますが、ここでは「試験で高得点をとる能力」を「学力が高い」と考えます。
「独創的発想力」や「創造力・想像力」は、測るのが非常に困難です。
「試験で高得点をとる能力」は、上記の中では「問題解決能力」となります。
これはこれで「大事な能力」です。
そして、「問題解決能力」あってこそ「独創的発想力」が活きるのかもしれません。
いずれにしても、志望校が校風・カラーが強い学校である場合は、
出題者こういう子に
我が校に入って欲しい・・・
「こういう子が良い」という「一つの（理想）像」があるかもしれません。
この時、「試験で高得点をとる能力」=「問題解決能力」を測る試験での得点が高いことは良いことですが、
出題者入学時の学力も
大事なのだが・・・
出題者さらに大事なことは、当校に入学後に、
当校の教育理念に沿って、懸命に学んでほしい！
「入学後に成長してほしい」が本音でしょう。
特に中高一貫校の場合、6年間あります。
「中学受験時の学力」は、「その後の6年間の間の学び」で如何様にも変わりうるでしょう。
本試験の合格ラインと教育理念：合格者の将来性
基本的に「各科目の合算」で合否が決められている中学受験。
先ほどの、芸術大学の入試選抜のような「特殊な合否ライン」があるのかないのか。
受験生の父親そういう「特殊な合格ライン」が、
あるのかな？
それは、各中学校の校風・カラーによると考えます。
筆者は、「中学受験においても、そういうことが行う可能性がある」と考えます。
「限られた時間における試験」という形式では、なかなか「受験生の特性」を把握することは難しいです。
受験生の「ある程度の学力・努力」を、把握することは出来ます。
確かに、入学受験時点での学力は、ある程度は大事です。
中学校側の立場に立った時、
出題者入試時の学力が
高いことも大事だが・・・
出題者「将来成長する生徒」に、
入学して欲しい・・・
「入試時点の学力」よりも「将来性を重視」と考えるはずです。
そして、中学生以降は「学力の伸び」が、生徒によって大きく変わります。
それは「能力の違い」などもありますが、最も大きいのは「学びへの努力を継続する」かどうか、です。
出題者中高六年間で、
しっかり学びの努力を継続して欲しい！
出題者我が校は、独自の教育理念に基づいた
カリキュラムをしっかり用意しています。
出題者そのカリキュラムに沿いながら、
個性を活かして成長して欲しい！
ほとんど全ての学校関係者は、このように考えているでしょう。
どうしても目の前の点数・偏差値・判定にばかり注目してしまいがちな中学受験・高校受験・大学受験。
「中学校側」「中学校の教師」が「試験に対して、何を考えているのか」を少し考える視点も大事でしょう。
そのように「採用する側」の考え方を推測することもまた、「合格への道」の一つだと考えます。
中学受験の合格力アップの方法：志望校のことを本人が理解
特に記述式問題を課す学校を志望校としている子ども・親の方は、
受験生の母親うちの子の
第一志望校の学校は・・・
学校の方針はよく知っておいた方が良いでしょう。
それには、各校がネット等で発信していることも、よくチェックしておくと良いでしょう。
文化祭（記念祭）・体育祭など大きな行事も大事です。
そして、「日常の学校の雰囲気」に注目しましょう。
受験生の母親A中学校の日頃の雰囲気は、
どんな感じかな？
日頃、その学校の校長先生・先生方が「何を考えて、子どもたちを教育しているのか」が大事です。
志望校の日頃の雰囲気は、小学生が推測するのは困難なので、
受験生の父親うちの子の第一志望校の
B中学は、どういう教育方針かな・・・
親が色々と調べておくと良いでしょう。
模試の判定・合格率などが気になる受験生及び親。
男子小学生今回の模試の出来が
イマイチだった・・・
特に中学受験においては、本人が小学生であるため、
受験生の父親うちの子の合格判定は、
60%か・・・
模試の結果に一喜一憂するのは、親の方かもしれません。
受験生の父親果たして、うちの子は
合格できるのだろうか・・・
その時、成績に一喜一憂しながらも、志望校の「発信する情報」には注目したいです。
そして、
受験生の父親第一志望校のA中学は、
最近〜みたいなことをやっているらしいよ。
男子小学生ふ〜ん、
そうなんだ・・・
みたいに、軽く話してあげると良いでしょう。
学校が「発信する情報・コト」にも「何らかの試験の痕跡」があるかもしれません。
そして、その「何らかの試験の痕跡」が、試験当日のヒントになる可能性はあるでしょう。
孫武敵を知り、己を知らば、
百戦危うからず！
現代語訳すると、
孫武きちんと敵を知って、己のことを十分知っていれば、
百回戦っても大丈夫！
こう孫子が言っています。
志望校は「敵」ではありませんが、志望するからには「相手」となります。
そして、「己を知る」は大人でも難しく、「小学生が実行することではない」ため、
孫武志望校を知らば、
受験危うからず！
つまり、
孫武志望校を十分に知っていれば、
合格できる！
このようになります。
そして、
男子小学生僕が志望するA中学って、
そういう学校なんだ・・・
志望校を知ることは、受験生本人のモチベーションアップになり、成績アップにつながるでしょう。
そして、「受験危うからず」=「合格する」につながるでしょう。
次回は下記リンクです。
