前回は「歴史上の人物とまとめと流れ〜医師から新政府陸軍の総指揮官へ・長州藩の希望の星・徳川幕府軍との最終決戦・江戸での戦い・西郷隆盛を敵視・西南戦争への備えと熊本鎮台設置〜」でした。
今回は明治初期の実業家です。
現代日本においても重要な痕跡を残しているので、ぜひ知っておきましょう。
1.土佐藩出身の実業家。
後藤象二郎に引き立てられ、事業を始める。
三菱商会を設立し、明治政府の海運業を引き受け急成長。三菱財閥創業者。
2.日本の近代郵政事業の創設者。
郵便事業以外にも鉄道敷設・陸運業創設にも深く関悪。
近代日本の郵便・運送業の確立に尽力する。
幼き頃から勉強に励み実業家へ:後藤象二郎とのコンビ
1は岩崎弥太郎です。
低い身分の出身ですが、幼い頃から一生懸命学問に励みました。
一生懸命勉強して、
身を立てるのだ!
坂本龍馬とも縁が深い岩崎弥太郎。
それは、坂本龍馬同様に「身分が低い出身」であることも大きな要素でした。
弥太郎!
一緒に世を変えるぜよ!
このまま地下浪人でも
仕方ない・・・
いっちょ、
やってやるか!
若い頃から、学問に励んでいた岩崎は、海援隊を率いていた坂本龍馬と組んでいた時期もありました。
その後、龍馬が維新前夜に暗殺されてしまいます。
もっと、もっと
世を変えたかった・・・
そして、土佐藩の海援隊などの組織が宙に浮きました。
そして藩主・山内容堂の側近であり、事実上の土佐藩のボスであった後藤象二郎は、
龍馬が
暗殺されてしまった・・・
仕方ない・・・
海援隊の組織は、岩崎がまとめろ!
はっ!
お任せを!
ここで、後藤+岩崎の「超頭脳派+圧倒的度胸を持つ」二人のコンビが誕生しました。
政治的能力が高く頭が良い後藤は、お金に関しては無頓着で経済センスはありませんでした。
ま、俺は、
色々な政治・周旋が専門でな・・・
金のことはよく分からんから、
お前が全部尻拭いしてくれ!
はっ・・・
万事お任せ下さい。
極めて身分制度が強かった土佐藩。
そこで、「もともと身分が高い」後藤象二郎と「身分が低い」岩崎弥太郎。
さらに、後藤は土佐藩首相とも言える言える参政であるため、岩崎は逆らえません。
後藤が長崎などで軍艦などを購入した帳簿をチェックした岩崎は、
なんだ、
これは・・・
メチャクチャでは
ないか・・・
このメチャクチャで、支離滅裂な
会計を俺がまとめるのか・・・
ちょっとガッカリしながらも、
俺しか出来ないことだから、
やってやるぜ!
幼い頃から一生懸命学んだ学問が、ここで生きて、岩崎は見事まとめました。
よくやった!
岩崎よ!
実業家・岩崎は、幼い頃からの学びと後藤との縁によって一気に形作られてゆきます。
日本最大の財閥誕生:日本の海運業創設
非常に商才が高い人物で、後藤象二郎のバックアップがあり、新政府に食い込みます。
かなりのやり手で、明治維新期に藩主・山内容堂を支えた後藤。
大政奉還も手だが、
薩長が討幕に動いてしまった・・・
まあいいわ!
俺が土佐藩をまとめてやるわ!
後藤・岩崎のコンビは、「インサイダーまがい」のことをして財をなします。
岩崎よ・・・
俺について来い!
はっ・・・
後藤さんは、ちょっと危なっかしいが、
新政府に食い込むチャンスだ!
岩崎は土佐藩の事業とも言える海運事業会社・九十九商会で重役を務めました。
そして、三川商会を経て三菱商会となり、この会社が三菱財閥の基礎となります。
海運事業の大きな転機は、1874年の台湾出兵でした。
台湾出兵以前に「朝鮮へ攻め込む」征韓論で西郷・板垣らが下野します。
その際、大久保利通らは「戦争よりも内治優先」を掲げます。
今は戦争の時ではない!
内治優先!
その直後、対外遠征を大久保は強行したのでした。
台湾における
我が国の人々を保護するのだ!
これには、大久保の兄貴分であった西郷も怒り心頭だったでしょう。
台湾遠征?
征韓に反対したのは、一体なんだったごわす?
一蔵どん。
内治優先は、嘘でござったのか!?
その際、台湾への軍隊の輸送を英国に打診しますが、英国は「中立」を理由に拒否します。
軍隊の輸送?
No!
困った明治政府、というより困ったのは大久保でした。
困った・・・
どこか軍隊を輸送できる組織はないか・・・
そういえば、
土佐の岩崎の三菱商会は船を持っていたな・・・
岩崎よ!
お前のところで、我が国の軍隊の輸送はできるか!
はっ!
やってみせましょう!
岩崎の三菱商会に運送業を全て委託しした。
政府がバックについたため、三菱商会は急成長します。
その後、明治政府御用達の会社となった三菱。
いわば「土佐藩肝入りの商社」から「明治政府の政商」へと飛躍しました。
さらに、丸の内周辺の土地を「タダ同然」とも言える価格で払い下げられた三菱財閥。
我が三菱の
基礎は丸の内にあり!
その後、三菱UFJ銀行・三菱地所・三菱重工など様々な会社を持つ日本一の巨大財閥へと成長しました。
三菱商会は、現在の日本郵船です。
郵便事業創設の父:三菱財閥形成に関与
2は前島密です。
「郵便事業の父」とも言われる人物です。
郵便はじめ、様々な運送業の確立に深く関わりました。
そういえば、
土佐の岩崎の三菱商会・・・
実は、大久保が「岩崎の三菱商会」を思いついたのは「大久保自身の知識」ではありませんでした。
実は、
土佐藩出身の三菱商会が
船を持っています・・・
近代的な船を動かすことが
できる技術者たちも大勢いる三菱に相談しては・・・
そうか・・・
岩崎を呼べ!
はっ!
三菱の岩崎です!
岩崎弥太郎の三菱商会へ明治政府の運送業を任せる提言を、大久保利通に行いました。
いわば三菱商会、後の日本郵船は「岩崎と前島の合作」とも言える会社です。
大久保利通が一時期「大阪遷都」を、真剣に考えていた時期がありました。
天皇陛下には京から
同座していただく・・・
京から大阪へ
遷都するのが、「近い」し良いのでは・・・
ここで、
大久保さん、
大阪は商売の地であり、この地に「遷都」は難しいです!
やはり、政治の基盤が整っている
江戸こそ「遷都先」としてベストでしょう!
うむ・・・
そうかもしれんな・・・
「江戸遷都論」を主張して大久保を説得したのが、前島でした。
近代日本の「国家としての礎を築いた」とも言える前島密。
日本が急速に「欧米に追いついてゆく国力を持つ」基礎を作りました。
岩崎・前島らが近代国家の経済面の骨格を作り、日本が強国となりました。
そして、日清・日露の戦いで勝利を収めるのです。
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