前回は「実験問題攻略法 8〜コツと解き方・グラフをしっかり読んで理解・問題の箇所に線を引く・グラフを自分流に理解・濃い鉛筆で明確に描く〜」の話でした。
グラフは「現象を写す鏡」
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今回は、開成中学校の2019年理科の問題4の補足問題を考える話をご紹介します。
実験棒4と実験棒5の、どちらが熱を伝えやすいですか。理由も書いて下さい。
上のような問題を考えてみましょう。
グラフをよく見てみましょう。
グラフは「現象を写す鏡」です。
中学校に入ったら、物理の授業などで、グラフをたくさん描きます。
小学校では、グラフを描く経験は少ないかもしれませんが、今回はグラフを詳しくみてみましょう。
情報が多いグラフ:大きな特徴を見出す
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グラフを見て、大きな特徴を考えて、描きこんでみましょう。
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じっくりグラフを
みると、色々分かるね・・・
グラフは情報が多いです。
横軸に0.2m単位で線が引かれていて、縦軸は50℃単位で線が引かれています。
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たくさん線があって、
細かいね・・・
「その間も読める」ので、非常に多くの情報が詰まっています。
「何らかの特徴」を考える場合はグラフの左端、中央、右端に注目しましょう。
・グラフの左端(最初)、中央(途中)、右端(最後)に注目
・グラフの曲線・直線の大きな変化の特徴・方向性を見出す
金属棒4では、0→5秒後の間に、左端=0mで約240℃下がり、中央=2.5mで約80℃上がります。
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熱していた0mの点は、
約240度も下がっているね・・・
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反対側の5mの点は、
ほとんど温度が上がらないね・・・
そして、右端=5mでは、ほとんど温度変化がありません。
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金属棒5を見てみましょう。
金属棒5は0→5秒後の間に左端=0mで約410℃下がり、中央=2.5mで約100℃上がます。
そして、右端=5mでは約15℃上がっています。
これで、全体像がイメージ出来ると思います。。
金属棒5は、金属棒4よりも左から右にスッーっと熱が移動しているのが分かります。
答えは「金属棒5の方が熱が伝わりやすい」です。
理由は上記の中から、自分なりにまとめてみると良いでしょう。
金属棒5の方が熱が伝わりやすい。
5mの点で5秒間で、金属棒4は温度がほぼ上がらないのに対し、金属棒5は約15度上がっているから。
0mの点で5秒間で、金属棒4は約240度下がっているのに対し、金属棒5は約410度下がっているから。
「大きな変化」に注目:グラフと現象を行き来する
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こういう問題の解答欄が小さく簡潔に書くことが求めれている場合は、「大きな変化」に注目しましょう。
最も状況変化の大きい、左端か右端の温度変化を書くとよいでしょう。
「熱が伝わっている状況」を、最もよく表しているのは、右端です。
「温度がほとんど変化しない」と「温度が15℃上がっている」のは大きな違いです。
また右端は、最初は低い温度なので「熱が伝わってくる側」として、最もわかりやすいです。
このように、グラフの問題を解く時は、問題だけでなく、色々と考えてみましょう。
「現象を写し出す鏡=グラフを読んで、理解する」ことをしてみると理解力が大きく高まります。
・グラフと現象を行き来して、具体的にイメージして理解
・グラフを見たら現象をイメージする姿勢
算数の問題で、いくつかの補助線を考えることは理解力が上がる話をしました。
直前期は時間に追われてしまいますが、少し「より深く考えてみる」と学力が大きく上がるでしょう。
次回は下記リンクです。