前回は「独自の入試問題と学校独自の採点基準〜「独自の試験方法」の学校と「大学合格者ランキング」・筆記試験主体の日本の大学受験と各中学高校の考え〜」の話でした。
独自試験による「校風に合う生徒」選抜のメリット
特に2000年代以降から、「多様性の大事さ」が言われるようになりました。
そして、近年は中学入試においても「単なる筆記試験ではない独自試験」で選抜する学校が増えています。
ところが、そうした「独自試験」を課す学校には、いわゆる「大学進学実績ランキング上位校」は少ないです。
大学進学実績ランキング上位校が、カラー・独自性ある中学入試試験を実施しない理由。
それは、大学進学実績と大学受験の試験内容によるのでしょう。
「独自試験を課す」ことは、採点方法も「独自基準」となるでしょう。
そして、より「校風に合う生徒」が選抜できます。
それは、学校側にとっても、生徒側にとっても非常に好ましいことだと考えます。
大学にも様々なカラーや特色があって、全然違いますが、大学生の時は個性は確立されています。
それに対して、思春期を迎える中学生・高校生が長い時間過ごす中学校・高校。
僕はA中学の雰囲気が
いいな!
と受験生の頃、A中学入学を熱望していて、いざ合格できたのに、
ちょっと思っていた雰囲気と
違うけど・・・
と感じるようになることは、本人にとっては好ましいことではないでしょう。
この意味では、「独自試験と独自の採点基準による選抜」が増えることを期待したいと思います。
東京大学入学試験における推薦入試
大学受験では推薦入試が増えてきています。
東京大学で推薦入試が実施されたのは、2016年からです。
推薦入試創設のきっかけは、後期入試の廃止でした。
この時、同大学は「学部学生の多様化を図る」のが目的と話しています。
後期試験廃止は良い方向で、筆記試験ばかり何度もやるよりも異なる選抜方法が良いでしょう。
ところが、推薦入試合格者数が全体に占める人数は、3%に満たないです。
この人数は、「もともとが後期入試枠」であることが、その理由です。
この人数をもう少し増やして、推薦入試合格者数を10〜20%にすれば、大学受験は変わると考えます。
2022年度の推薦入試合格者数88名中、女子は38名で、占める割合は43.2%となりました。
これは大変好ましい状況と考えます。
東京大学における異常に低い女子の割合
実は東京大学では、昔から女子が20%を下回る状況が続いています。
威人紀行で取り上げた山崎直子さんも、「非常に女子が少ない」状況に驚いた話をしています。
なんで、こんなに女性が
少ないのかな?
この事実は、東大に入学した後に男女共に感じる「強烈な違和感」です。
違和感を感じるのは女子だけではありません。
異常に少ない女子の数に対して、男子生徒は、
いくらなんでも、
もう少し女子が増えて欲しい・・・
と感じるのが当然であり、特に中高男子校から入学した男子は、
一生懸命勉強して、
久しぶりに共学なのにさ・・・
なあ、ガッカリだよな・・・
大学ってもっと女の子が多いんじゃないの?
と感じるでしょう。
海外のハーバード大学・ケンブリッジ大学などの大学では、学生における女子の比率は50%程度です。
これは、海外の方から考えれば「当然のこと」でしょう。
人間の半分は
女性だからね。
対する東大などの、20%を下回る女子率。
えっ?
なんで?
海外の方から見れば、日本国内大学の状況が「異常」なのでしょう。
東京大学も「男女共同参画室」などで、しきりに女子の東大受験を推進しています。
ところが、ほとんど状況は変わりません。
「男女共同参画室」が「女子の比率アップ」を推進している以上、その達成は同大にとっては悲願です。
推薦入試枠での「女子率の高さ」は同大の方針でしょう。
それによって、「合格基準に多少の差異」が生じていると考えます。
それは「大学ごとの判断」であると考えます。
東大等の大学における、非常に低い女子率。
この状況は、どう考えても異常で、不健全です。
科類 | 女子比率(%) |
文科I類 | 30.5 |
文科II類 | 20.4 |
文科III類 | 40.6 |
理科I類 | 8.3 |
理科II類 | 27.1 |
理科III類 | 24.7 |
全体 | 22.3 |
「男女共同参画室」が、
東大の女子率を
上げたい!
と言っても、ここ30年大きな変化がないのですから、今後も大きくは変わらないでしょう。
そして、日本では少子化が異常な速度で進行し、人口がどんどん減少してゆきます。
この異常で不健全な状況を変えるためにも、「推薦入試枠の拡大」は一つの選択肢でしょう。
試験の方法を大きく変えることも、選択肢に入るでしょう。
それは大学受験業界に大きな変化を与え、中学受験の状況も大きく変わると考えます。
次回は、中学受験の方向性を考えます。
次回は下記リンクです。