記述問題への具体的姿勢・学び方〜試験の出題形式・スタイルと学び方・学校のカラーと校風への対応・今後増加する記述式・知識の量を追い求める前時代的試験・記述への苦手意識・考えたことを書いてみる姿勢〜|中学受験

前回は「記述問題・社会の文章題のコツ〜状況をイメージして想像・戦時中と戦後の日常生活・「なぜですか」を考える姿勢・イメージを膨らませる・文章内のキーワードをヒントに〜」の話でした。

目次

試験の出題形式・スタイルと学び方:学校のカラーと校風への対応

武蔵中学・高校のかつての校舎・物理実験室(新教育紀行)

中学入試を考えるとき、「志望校の試験の出題形式・スタイル」に対する対策は大事です。

その出題形式・スタイルにある程度「合わせて」学ぶ方が、効率が良い面があるでしょう。

「試験の出題形式・スタイル」は、大きく以下のように分かれると考えられます。

試験の出題形式・スタイル

・答え、選択肢のみを答える問題:小問が多い

・立式、考えたプロセスなどを書く:算数の応用問題など

・感じたこと、考えたこと、意見などを書く:理科の実験問題、社会の歴史、国語など

「答え、選択肢のみを答える問題」を出題する学校もたくさん見かけます。

それらの学校をメインに受験する場合、「記述対策」をすることは、あまり意味がないかもしれません。

これらの「答え、選択肢のみ」を求める学校は、「知識・早期に回答できる生徒」を求めています。

対して、「記述」をある程度課す学校は、「知識よりも考える力」を求める傾向があります。

これらの「試験の出題形式・スタイル」に関しては、それぞれの学校のカラー・校風によるでしょう。

今後増加する記述式:知識の量を追い求める前時代的試験

寺子屋(Wikipedia)

「暗記教育のぜひ」が長らく議論されている中、記述式は今後増加するでしょう。

「大学入学共通テスト」において、文科省の内部・諮問委員会において、

文部科学省

これからは、考える力が大事だから、
共通テストに、記述を取り入れよう!

このような議論が盛んに行われました。

その結果、

教育関係者

その方針はいいけど、
採点基準の統一が難しいのでは?

このような反論もあり侃侃諤諤の議論の結果、「記述式は不採用」で決まりました。

文部科学省

やっぱり採点基準の統一は
無理だから、やめましょう・・・

その結果、「マーク式の試験」が続いています。

そもそも、「共通テスト(センター試験)」で「記述式」は不可能です。

「学校に関係なく、統一した基準」での採点において、「採点者の考え」で多少点が変わる記述式。

これは、「完全に相反する考え方」であり、「そもそも不可能なこと」を議論していたことになります。

そもそも不毛であった「共通試験における記述式導入」の議論は、

文部科学省

日本の国際競争力が
落ち続けているのは・・・

文部科学省

ペーパー試験の弊害が
大きいのでは・・・

文部科学省

特にマーク式など知識ばかりを問う
出題は改めた方が良いのでは・・・

こう考えている「日本政府・文科省の焦り」が背景にもあります。

「知識の量ばかりを追い求める」試験は、前時代的であり、明治維新政府と同じ発想になります。

明治維新の立役者たち:左上から時計回りに木戸孝允、岩倉具視、大久保利通、西郷隆盛(Wikipedia)

明治維新の頃は、実際に日本の学問は「欧米よりはるかに遅れていた」のでした。

そして、「知識を得る・習得する」ことが最優先となったのでした。

大久保利通

とにかく、欧米の知識を
学ばなければ、何も始まらない・・・

この姿勢に対して、現代の平和な時代から「是非を論じる」のは難しいことです。

当時は、世界中が列強主義の中、

大久保利通

我が国が、いつ外国に攻撃されるか
分からぬ・・・

大久保利通

我が国が、国家として独立を保つには、
強くなければ、何も始まらない・・・

この背景には、「自国日本が外国に侵略されてしまう」という恐怖があったのでした。

当時は、現代日本とは全く異なる状況にありました。

記述への苦手意識:考えたことを書いてみる姿勢

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「記述式」と「答えのみ・選択式」に大きく分かれます。

近年の難関校〜の問題を見てみると、「解答のプロセス」を書くように求めることが多いです。

その中、「小学生の半数程度が記述問題に対して苦手意識を持っている」傾向があります。

もし、

塾講師

記述問題、漢字・語句、
抜き出し問題、選択問題の中で苦手なのはどれ?

このように尋ねられるとき、

男子小学生

やっぱ、記述が
苦手かな・・・

おそらく、「記述問題」が「苦手筆頭」に上がりやすいでしょう。

男子小学生

あまり、
記述は得意でなくて・・・・・

こう感じている中学受験生も大勢いるでしょう。

その方が、麻布中・武蔵中のように「意見を含む記述試験」が出る学校が志望校の場合、

受験生の母親

うちの子、記述対策
大丈夫かしら・・・

受験生の母親

塾に任せては
いるけど・・・

受験生の親も悩むかも知れません。

そこで、

受験生の母親

良いから、
書いてみなさい。

このように「書いてみる」ことを勧めたところで、

男子小学生

だから、「書く内容」が
分からないんだよね・・・・・

この気持ちが「多くの子どもの本音」でしょう。

これは、小学生の本音としては、「仕方ない」というよりも「当然」でしょう。

むしろ、小学生で、

男子小学生

僕、記述で答えるの
得意だよ!

男子小学生

何か文章を書くのが
好きだから!

このような方は、非常に少ないはずです。

「文章を書くのが好き」という作家向けの方もいるかもしれませんが、極めて少数派でしょう。

そのため、「記述問題への苦手意識」を子どもが持っていたら、親は、

受験生の母親

困った・・・
これで合格できるのかな?

このように「子どもの記述力」に対して疑念を持つ姿勢ではなく、

受験生の母親

書くのは難しいことかも
しれないけど、・・・

受験生の母親

少しずつ慣れて、
出来るようになろう!

こう考えて、子どもに「記述に慣れる」ことを勧めてみましょう。

武蔵中学・高校のかつての校舎(新教育紀行)

例えば、筆者が通っていた武蔵中学・高校では「自分なりの意見を持つこと」が奨励されます。

武蔵中高教員

正しいか、
正しくないかは別。

武蔵中高教員

まずは、
自分の意見を持て!

このような教育理念です。

また、麻布でも「はっきりした意見」を求める問題が出題されています。

麻布中の独創的な出題の話を、上記リンクでご紹介しています。

こういう問題が「得意でない」と考えている方は、「苦手」と思い込んでいる可能性が高いです。

これらを答えるために、「ある程度の知識・素養」はあった方が良いです。

基本的に「自分が思ったこと・考えたこと」を自由に書いてもらうように促してみましょう。

多くの受験生が読んでいる「小学生新聞」があります。

男子小学生

まずは「要約する」ことを
塾で勧められたよ!

女子小学生

私も、時々
記事の要約しているよ!

「要約する」も良い勉強ですが、「読んで何を感じたか」や「どう思ったか」を考えてもらいましょう。

簡単で良いですから、子どもに書いてもらうようにしましょう。

受験生の母親

記事読んで、思ったこと
書いてみたら、いいよ!

男子小学生

え〜と、
何を書けば良いのかな・・・

受験生の母親

例えばね、
この記事読んで、どう思った?

男子小学生

思ったこと、感じたことで
いいの?

受験生は「正しい答え」を求めがちですが、「思ったこと・感じたこと」を書いてみましょう。

男子小学生

僕が思ったこと、感じたことが
正しいのかどうか分からない・・・

「正しい答え」を求めるのではなく、「書いてみる」ようにしてみましょう。

そして、書いているうちに、

男子小学生

書くのは、
意外と面白いかも。

女子小学生

自由に考えるのも
楽しいかも。

このように、受験生・子どもたちに思ってもらうのが一番良いです。

「正解」を求めがちな受験。

そうではなく「自由に意見を考える、書く」楽しさを早い段階で感じてもらいましょう。

短くても、ちょっとでも良いので、出来るだけ日々やってみましょう。

男子小学生

書くのは
難しい・・・

こう「難しい」と感じる方は、最初は「何かの記事の部分的丸写し」だけでも良いでしょう。

そして、その丸写しに対して、

女子小学生

この部分が、
とても面白かった!

このくらいでも良いでしょう。

「面白い」では、「何が、どう面白い」のか分かりませんが、少しずつ具体的に書いてみましょう。

このように「手を使って書く」ことは、非常に本質的なことで総合的学力が上がります。

「社会の記述対策」のつもりが、算数・国語・理科・社会全部の勉強になっているのです。

中学受験に向けて大きな力になりうる「記述対策」の学び。

将来「自分で考えることができる」人物に育つ可能性も高まるので、ぜひやってみましょう。

次回は下記リンクです。

新教育紀行

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