電気・電流・抵抗のわかりやすい考え方・イメージ 1〜オームの法則・式の意味・主役は電圧〜|中学受験・理科

前回は「電気・電流のわかりやすい考え方・コツ 7〜電熱線の抵抗を実感・電線・電柱・日本と欧米の街・現象が「逆」の時〜」の話でした。

目次

電流・電圧・抵抗の具体的イメージ

電気・電流の考え方:電池の直列つなぎ(新教育紀行)
電気・電流の考え方:電池の並列つなぎ(新教育紀行)

電池は「電流をエイッと持ち上げる」役割を持っている話をしました。

この「電流をエイッと持ち上げる」電池があるために、電流が流れます。

その電池は、直列または並列に接続されますが、それぞれ下記の通りとなるイメージを描きました。

電池の直列つなぎ

・電流は、「電池の個数分の高さ=電圧」持ち上げられる

・電池の持ちは変わらない(流れる電流が同じ)

電池の並列つなぎ

・電流は、「電池1個分の高さ=電圧」持ち上げられる

・電池の持ちは、並列電池の個数分長くなる(流れる電流が減少する)

そして、電池がエイッと電流を持ち上げて(起電力)、電流が一周してきます。

電流は一周する間に、電球・抵抗・電熱線などの抵抗を受けて、ダメージを受けます。

電球や抵抗があると、電流が「ぶつかって痛い」イメージです。

電気・電流の考え方:抵抗(新教育紀行)

電球・抵抗は、わかりやすい「抵抗」であり、電熱線も抵抗となります。

電気・電流の考え方:電熱線の抵抗(新教育紀行)
電気・電流の考え方:電熱線の抵抗(新教育紀行)

これで、電流・電圧・抵抗の電気の考え方がイメージできました。

電流・抵抗・電圧の三つが登場する「難しい」電気

電流・抵抗・電圧の基本的なイメージ・考え方がしっかり分かりました。

小学生・中学受験生が学ぶ理科は、実に広範囲です。

子ども達は、それぞれの個性や指向性で、得意な分野・不得意な分野があるでしょう。

僕、水溶液とかの問題は
得意だよ。

私は、太陽とか宇宙の話が好きだから、
大体問題も解ける。

なんとなく「勉強」という感じの社会や国語に比べ、身近に感じられる理科。

身近だからこそ、好き・嫌い、得意・不得意が出やすいのです。

そして、電気は得意な方が少ないかと思います。

電気は、
よく分からなくなるよ。

なぜ、分かりにくいのか。

それは、「電流・電圧・抵抗」と三つ出てくるので、混乱しやすいからです。

そう。どれがどうなっているのか、
分からなくなるわ。

人は一つ・二つまでが対象だと、比較的わかりやすいです。

対象が三つになると、途端に難しく感じるのです。

小学校低学年生がよくやる「鬼ごっこ」を例にしましょう。

「鬼が一人で、逃げる方が一人」だったら、比較的「追いかけるのが楽」です。

「鬼が一人で、逃げる方が二人」だったら、走る速さによりますが、「まあまあ追いかけられる」感じです。

ところが、「鬼が一人で、逃げる方が三人」になると、鬼は大変です。

最近「鬼ごっこ」やらないけど、
なんとなく分かる・・・

三人を
追いかけるのは、大変・・・

「一度に三人追いかけよう」とすると、非常に大変です。

その代わりに、「一度に一人ずつ追いかける」やり方はどうでしょうか?

うん。
それなら、一人を集中的に追いかければいいね。

オームの法則の式をもう一度考える

電気・電流の考え方:オームの法則(新教育紀行)

電気を勉強すると、まずは「オームの法則」を理解する必要があります。

このオームの法則を「暗記する」ではなく、イメージして理解する大事さの話をしました。

非常にシンプルな法則・公式である「オームの法則」。

あまりにシンプル過ぎて、すぐに覚えられそうです。

そして、シンプルなので、

この法則・公式を
どう使おうか・・・

と考えて、すぐに問題に取り掛かる方が多いでしょう。

ここでは、オームの法則の意味を改めて考えてみましょう。

上の二つの式を見てください。

これは「同じ」
でしょ・・・

掛け算でも割り算でも、
「同じ」だよね・・・

電気・電流の考え方:オームの法則(新教育紀行)

「同じ」でしょうか?

電気・電流の考え方:オームの法則(新教育紀行)

算数としては、「同じ」ですね。

どちらで考えても、同じ結果が出ます。

オームの法則:式の意味を考える

それでは、式の意味を考えてみましょう。

えっ。
「式の意味」って何?

そんなこと
考えたことないわ。

上の二つの式が、「それぞれどういうことか」を少し考えてみてください。

難しく考えずに、「割り算と掛け算の意味」を考えてみましょう。

それぞれの式の意味は、下記のような感じですね。

これは、
「当たり前」だよね・・・

これは、
分かっているよ。

上の式では、「電流は、電圧を抵抗で割った値」です。

つまり、電流とは「電圧がかかって、発生する」ことを意味します。

そして、「電圧を抵抗で割れば、電流の値が分かる」のです。

確かに
そうだね・・・

下の式では、「電圧は、電流と抵抗を掛けた値」です。

つまり、電圧とは「電圧をかけると発生する電流」と関係があることを意味します。

そして、「電圧と電流は比例関係にあり、電流に抵抗をかけると電圧になる」のです。

結局、「同じ」
じゃないの?

算数としては「同じ」ですが、理科としては、少し異なります。

主役は電圧

電気・電流の考え方(新教育紀行)

「数式としては同一・同値」ですが、式の意味としては、主役が異なります。

上の式では「電流が主役」です。

下の式では「電圧が主役」です。

問題では、
電流を求めることが多いから・・・

上の式の方が、
よく使う気がする・・・

電流・抵抗・電圧を、もう一度考えてみましょう。

電流は、電池が電圧をかけて「エイッと持ち上げて」発生します。

「電圧があって、初めて電流が流れる」のです。

「電圧がなければ、電流は流れない」のです。

そのため、電流・電圧・抵抗が登場する電気は、「電圧が主役」なのです。

電気の問題

・主役は電圧

・電圧があって、初めて電流が流れる

そこで、「電圧をまず考える」ようにしましょう。

電流・抵抗・電圧の三つのうち、抵抗は少し立場が弱い気がします。

うん。
やっぱり電流と電圧が大事だよね!

「抵抗を求めよ」という
問題は、あまり無い・・・

「電流と電圧」がメインですが、なんといっても「主役は電圧」です。

このことをはっきり理解して、電気の問題を解くようにしましょう。

実は、「電流があって、電圧が発生する」現象があります。

えっ!
そうなの!

すると、
やっぱり、「電流が主役」のときもあるのでは・・・

「電流があって、電圧が発生する」現象は、高校物理の範囲です。

中学受験の方・小学生は「対象外」なので、中学生〜高校生で学ぶのを楽しみにして下さい。

とにかく、中学受験・小学校の理科では、「主役は電圧」です。

次回は、電気の問題が「考えやすくなる」「解きやすくなる」視点を考えましょう。

次回は下記リンクです。

新教育紀行

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