前回は「電気・電流のわかりやすい考え方・コツ 5〜電熱線の長さと抵抗・電線を描いてイメージ・電流の具体的イメージ・色鉛筆やマーカーで色分け・電熱線の抵抗・滑り台が滑りにくい時〜|中学受験・理科」の話でした。
電熱線の中を流れる電流のイメージ
電気・電流の問題は、てこやかっ車と異なり「目に見えない」ので難しく感じられます。
電流が流れても、
見えないから、どうなってるか分からない・・・
豆電球が光るのは
実験でやったけど、回路って難しい・・・
そこで、目には見えない電流を「描いてイメージ」して、理解することが大事です。
このように「電流が流れている」ことを手で描いてみると、「電流の動き」がイメージできます。
この「電流の動き」をイメージ出来るようになると、オームの法則も理解しやすくなるでしょう。
京セラ創業者・経営者・技術者である稲盛和夫。
稲盛は、非常にハイレベルな製品の製造において、「完成のクリアなイメージ」を持ちました。
このイメージで
いけるはずだ!
こうすれば、絶対に
上手くいくはずだ!
あとは
念ずるのみ!
このプロセスにおいて、稲盛がセラミックの焼成装置の前で、
ここで、こうなる
イメージだ!
そして、こういう
製品が完成するはずだ!
稲盛がこう考えた際、「描いたかどうか」は不明です。
生粋の技術者であった稲盛は、大学生の時から、実験ノートなどをまとめる作業はしていたはずです。
学生時代から、
ずっと実験三昧です!
すると、手で描かなくても「頭の中で描けるようになる」のでしょう。
それは、稲盛の能力が卓越していることもありますが、まずは「描く経験」が大事です。
電熱線の内部は非常に細く、「中身を見ることは、高度な顕微鏡でないと不可能」です。
僕の小学校には、
そういう顕微鏡はないよ・・・
上記のような状況を「実際に観察する装置」はあると思われますが、限られた研究所等になりそうです。
「実際に見ることは難しい」ですが、具体的にイメージすることは、理科の理解に非常に役立ちます。
この絵のイメージなら、
なんとなく分かるかも・・・
最初は「なんとなく」でも良いので、このような絵を描いて理解しましょう。
電熱線の断面積:顕微鏡で覗くイメージ
今回は、電熱線の断面積を変えてみましょう。
上の図のように、非常に細い電熱線を、大きく拡大して考えてみました。
「拡大してみることが
できない」のに、拡大してみたけど・・・
どうやって、断面の
大きさを変えるの・・・
小学校の理科実験の時に、顕微鏡で様々な植物やプレパラートを覗いた経験があると思います。
うん。
あれ、面白かったよ!
顕微鏡で覗いたら、とても小さなモノが「ありありと分かる」感動があります。
あの「顕微鏡を覗く」イメージを持って、電熱線を拡大して、断面積・太さを変えてみましょう。
顕微鏡で
覗くイメージだね!
それでは、電熱線の断面積の大きさと抵抗・電流を考えてみましょう。
前回と同様に、「電熱線に電流が流れる」部分を拡大して考えてみましょう。
「電熱線の断面積が異なる状況」を考えるので、細い電熱線と太い電熱線を考えましょう。
細い・太い電熱線の両方とも、電熱線の中にモノがあって、電流が流れると抵抗が発生します。
「電熱線の断面積が大きい=太くなる」ので、太くなったらどうなるか、を考えてみましょう。
「電流が流れる面積=場所が大きくなる」ことをイメージしましょう。
流れる場所が広くなると、抵抗・モノにぶつかりにくくなります。
あっ、
そういうことか!
電流が実際に流れる時に、抵抗・モノに「ガンガンとぶつかるイメージ」を持ってみましょう。
電熱線の中の抵抗と電流
そのため、電流は「モノにぶつかりにくくなるので、スイスイ進む」ことになります。
電熱線の断面積が
大きくなると・・・
邪魔なモノにぶつかりにくいから、
スイスイ進むよ!
厳密には、「電熱線の内部の抵抗の密度」が影響しますが、大まかに考えてみましょう。
電熱線が太くなると、モノにぶつかりにくくなって、「抵抗が小さく」なります。
そのため、「電熱線の断面積が大きくなると、抵抗が小さく」なります。
電熱線の断面積が2倍になると、「ぶつかるモノ・抵抗が半分になる」ので、
抵抗も半分に
なるはずだね!
これで、「電熱線の断面積と抵抗の大きさが反比例するイメージ」が分かりました。
うん!
これで分かった!
こうしてイメージすると、
電熱線の長さ・断面積の大きさと抵抗がイメージできる。
暗記だと、電熱線の長さと抵抗の大きさが
比例か反比例か、間違えそうだけど・・・
こう考えれば、間違えないし、
暗記しなくても良い!
理科は、暗記しなければならない分野も多いですが、ぜひイメージして理解してみましょう。
基本的事項は、暗記ばかりだと面白くなくなってしまいます。
イメージして考えると「自然と覚える」ことが多くなり、間違えません。
このように考えると、
抵抗は電熱線の長さに比例?
反比例?
抵抗は電熱線の断面積・太さに比例?
反比例?
どっち
だっけ・・・
こういう大事なことを試験の際に迷うと、
困った・・・
これでは進まない・・・
「進まない」となってしまう可能性があります。
これが「小問の一つ」であれば、
忘れたから、
他の問題を頑張ろう!
「他の問題で挽回」で良いでしょう。
ところが、「大問の一部」だと、こういう時の「気持ちの混乱」は悪影響が大きいです。
理科の力・電気(電流)・てこなどの基本的事項は、「暗記」ではなく「理解して習得」を目指しましょう。
てこの時に説明する「力と長さは逆比」も同様です。
この「逆比」は、原理的には難しくないことなので、「ただ逆比」とは覚えないようにしましょう。
「なぜ逆比なのか?」ということをしっかり理解する姿勢が大事です。(上記リンク)
少し遠回りに感じるかもしれませんが、これらの物理的性質を理解すると問題が解きやすくなります。
そして、一題一題学んでゆく過程で「考える力」が身につき、結果的に学力が上がるでしょう。
このような考え方で、様々な問題に取り組んでいると、実験問題に対する力もアップします。
確かに、こうして
電流や電熱線のことを考えると・・・
実験している
気持ちになるね!
理科の実験問題は、現象やグラフをもとに答えることが多く、「具体的イメージを描く」ことが大事です。
算数・理科は「描いて学ぶ」と時間がかかってしまいますが、手を使うと不思議と脳に残ります。
それは「脳だけでなく、身体全体で学ぶ」感じになるからでしょう。
電流のことが
ちゃんと理解できたから・・・
電流の実験問題も
出来る気がするよ!
「目で見て理解する」と「分かった気になって終わり」のことが多いです。
「手で書く・描く」と、考え方や様々な事柄を「脳に書き込む・彫り込む」感じでしっかりと残ります。
イメージして理解して、基本〜応用問題を考えてみましょう。
次回は下記リンクです。