電気・電流のわかりやすい考え方・コツ 6〜電熱線の抵抗(断面積)・顕微鏡・身体全体で学ぶ姿勢〜|中学受験の理科

前回は「電気・電流のわかりやすい考え方・コツ 5〜電熱線の抵抗(長さ)・色鉛筆・マーカーで色分け・滑り台〜」の話でした。

目次

電熱線と抵抗のイメージ

電気・電流の考え方:電池の直列つなぎ(新教育紀行)
電気・電流の考え方:電池の並列つなぎ(新教育紀行)

目には見えない電流を「描いてイメージ」して、理解することは非常に大事です。

このように「電流が流れている」ことを手で描いてみると、「電流の動き」がイメージできます。

この「電流の動き」をイメージ出来るようになると、オームの法則も理解しやすくなるでしょう。

f:id:Yoshitaka77:20220104093449j:plain
京セラ創業者 稲盛和夫会長(Wikipedia)

京セラ創業者・経営者・技術者である稲盛和夫。

稲盛は、非常にハイレベルな製品の製造において、「完成のクリアなイメージ」を持ちました。

このイメージで
いけるはずだ!

こうすれば、絶対に
上手くいくはずだ!

あとは
念ずるのみ!

このプロセスにおいて、稲盛がセラミックの焼成装置の前で、

ここで、こうなる
イメージだ!

そして、こういう
製品が完成するはずだ!

と考えた際、「描いたかどうか」は不明です。

大学生の時から、実験ノートなどをまとめる作業は必ずしていた稲盛。

すると、手で描かなくても「頭の中で描けるようになる」のでしょう。

それは、稲盛の能力が卓越していることもありますが、「描く経験」が大事です。

電気・電流の考え方:電熱線の抵抗(新教育紀行)

非常に細くて、「中身を見ることは、非常に高度な顕微鏡でないと不可能」な電熱線の内部。

電気・電流の考え方:電熱線の抵抗(新教育紀行)

上記のような状況を「実際に観察する装置」はあると思われますが、限られた研究所等になりそうです。

「実際に見ることは、非常に難しい」ですが、具体的にイメージすることは、理科の理解に非常に役立ちます。

電熱線の断面積を考える:顕微鏡で覗くイメージ

電気・電流の考え方:電熱線の抵抗(新教育紀行)

今回は、電熱線の断面積を変えてみましょう。

上の図のように、非常に細い電熱線を、大きく拡大して考えてみました。

「拡大してみることが
できない」のに、拡大してみたけど・・・

どうやって、断面の
大きさを変えるの・・・

生物顕微鏡(株式会社 島津理科)

小学校の理科実験の時に、顕微鏡で様々な植物やプレパラートを覗いた経験があるでしょう。

うん。
あれ、面白かったよ!

顕微鏡で覗いたら、非常に小さなモノが「ありありと分かる」感動があります。

あの「顕微鏡を覗く」イメージを持って、電熱線を拡大して、断面積・太さを変えてみましょう。

顕微鏡で
覗くイメージだね!

それでは、電熱線の断面積の大きさと抵抗・電流を考えてみましょう。

前回と同様に、「電熱線に電流が流れる」部分を拡大して考えてみましょう。

「電熱線の断面積が異なる状況」を考えるので、細い電熱線と太い電熱線を考えましょう。

電気・電流の考え方:電熱線の抵抗(新教育紀行)

細い・太い電熱線の両方とも、電熱線の中にモノがあって、電流が流れると抵抗が発生します。

電気・電流の考え方:電熱線の抵抗(新教育紀行)

「電熱線の断面積が大きい=太くなる」ので、太くなったらどうなるか、を考えてみましょう。

「電流が流れる面積=場所が大きくなる」ことをイメージしましょう。

電気・電流の考え方:電熱線の抵抗(新教育紀行)

流れる場所が広くなると、抵抗・モノにぶつかりにくくなります。

あっ、
そういうことか!

電流が実際に流れる時に、抵抗・モノに「ガンガンとぶつかるイメージ」を持ってみましょう。

電熱線の中の抵抗と電流

そのため、電流は「モノにぶつかりにくくなるので、スイスイ進む」ことになります。

厳密には、「電熱線の内部の抵抗の密度」が影響しますが、大まかに考えてみましょう。

電気・電流の考え方:電熱線の抵抗(新教育紀行)

電熱線が太くなると、モノにぶつかりにくくなって、「抵抗が小さく」なります。

電気・電流の考え方:電熱線の抵抗(新教育紀行)

そのため、「電熱線の断面積が大きくなると、抵抗が小さく」なります。

電熱線の断面積が2倍になると、「ぶつかるモノ・抵抗が半分になる」ので、抵抗は半分になります。

これで、「電熱線の断面積と抵抗の大きさが反比例するイメージ」が分かりました。

うん!
これで分かった!

こうしてイメージすると、
電熱線の長さ・断面積の大きさと抵抗がイメージできる。

暗記だと、電熱線の長さと抵抗の大きさが
比例か反比例か、間違えそうだよ。

こう考えれば、間違えないし、
暗記しなくても良い!

理解・イメージして習得する大事さ

理科は、暗記しなければならない分野も多いですが、ぜひイメージして理解してみましょう。

基本的事項は、暗記ばかりだと面白くなくなってしまいます。

イメージして考えると「自然と覚える」ことが多くなり、間違えません。

このように考えると、

抵抗は電熱線の長さに比例?
反比例?

抵抗は電熱線の断面積・太さに比例?
反比例?

どっち
だっけ・・・

こういう非常に大事なことを試験の際に迷うと、

困った・・・
これでは進まない・・・

となってしまいます。

これが「小問の一つ」であれば、

忘れたから、
他の問題を頑張ろう!

となりますが、「大問の一部」だと、こういう時の「気持ちの混乱」は悪影響が大きいです。

理科の力・電気(電流)・てこなどの基本的事項は、「暗記」ではなく「理解して習得」を目指しましょう。

てこの時に説明する「力と長さは逆比」も同様です。

ばね・てこの考え方(新教育紀行)

この「逆比」は、原理的には難しくないことなので、「ただ逆比」とは覚えないようにしましょう。

「なぜ逆比なのか?」ということをしっかり理解する姿勢。

すこし遠回りに感じるかもしれませんが、これらの物理的性質を理解すると問題が解きやすくなります。

そして、一題一題学んでゆく過程で「考える力」が身につき、結果的に学力が上がるでしょう。

このような考え方で、様々な問題に取り組んでいると、実験問題に対する力もアップします。

理科の実験問題は、現象やグラフをもとに答えることが多く、「具体的イメージを描く」ことが大事です。

算数・理科は、「描いて学ぶ」と時間がかかってしまいますが、手を使うと不思議と脳に残ります。

それは「脳だけでなく、身体全体で学ぶ」感じになるからでしょう。

「目で見て理解する」と「分かった気になって終わり」のことが多いです。

「手で書く・描く」と、考え方や様々な事柄を「脳に書き込む・彫り込む」感じでしっかりと残ります。

イメージして理解して、基本〜応用問題を考えてみましょう。

次回は下記リンクです。

新教育紀行

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

目次