前回は「「暗記の学び」を拒否し続けたアインシュタイン〜ギムナジウムの挫折の克服・超楽観的性格と数学と物理への自信〜」の話でした。

バイオリンと美術が得意:「国籍捨てた」ドイツ語への不思議な姿勢

アインシュタインのアーラウ州立学校の成績表を見てみましょう。
パッと見て、幾何と物理がA(最高評価)を取り続けているのが分かります。

「幾何」って
聞いたことがないけど・・・
小学生には、「幾何(きか)」は馴染みがないかもしれませんが、数学の「図形分野」の専門科目です。



とにかく、
僕は数学と物理は大好きで得意!


そして、「バイオリン音楽」もまた、Aを取り続けていて、



バイオリンは、
小さい頃からずっと得意!
他の科目を見ると、「ドイツ語B、フランス語C」です。



だから、僕は暗記中心の
語学は苦手なんだ!
確かに語学は暗記の要素も強いですが「元ドイツ人」なので、ドイツ語くらいAをとって欲しいです。
若い頃から晩年まで、ずっと「自分の考えを貫く」姿勢だったアインシュタイン。
ひょっとすると、



ドイツ語は分かるけどさ、
もう捨てた国籍だから・・・



分かるけど、
答案には、あまり書かない・・・
「あまり熱心に試験に臨まなかった」可能性も高いです。
歴史Bは仕方ないとしても、幾何図法は「図形の描き方」ですが「作図」と共に良くない成績です。
数学と物理の「博物」は、理科のはずですが、化学同様にBとCです。



博物は、得意の理科だけどさ、
暗記が多いんだよね・・・



化学は、化学式とかなら
分かるけど、暗記ばっかりじゃん・・・
「理科大好き」であったアインシュタインですが、やはり「暗記嫌い」なので、暗記分野は苦手でした。
歌曲はA、美術はBなので、美術分野も概ね良い成績でした。
数学や物理は圧倒的な成績だったかもしれませんが、全体的には「やや優等生」レベルでした。
当時のアーラウ州立学校のレベルは不明ですが、「スイスで中位〜上位の学校」と考えます。
「ドイツを脱走してきた」アインシュタインが「あっさり入学出来た」ので、トップ校ではなさそうです。
そもそも、日本の中高のように「学校の偏差値」という概念が存在しなかった可能性が高い、当時のスイス。
そのため、中高生は「地域ごとの学校に通う」雰囲気だったように感じます。
すると、「スイスの一般的な学校」で「やや優等生」で「数学と物理は抜群」だったアインシュタイン。
チューリッヒ工科大学入学果たしたアインシュタイン


そして、州立学校で一生懸命勉強した卒業証明書の成績表が残っています。



チューリッヒ工科大学
合格目指して、勉強だ!
おそらく、「苦手な暗記」も多少は勉強したアインシュタイン。
最終的には、優れた成績を残しました。(上の成績表は6段階評価)



アインシュタインは、
立派な成績を取ったな!
代数・幾何学・画法幾何学・物理学でトップの6を取りました。
ここで、目を引くのが「暗記中心」であるはずの歴史でも「6をとっていること」です。



歴史は暗記が多いけどさ、
流れを学べば、考えるのが好き!
「歴史に立脚する」姿勢が強い欧州においては、



人物や出来事の暗記も必要だが、
大事なのは、各国の「関係や流れ」だ・・・
「ただ暗記」ではなく、各国の「関係や流れ」が重視されたと思われます。


島国・日本とは大きく異なり、「国境が変化し続けた」欧州では、歴史の流れが大事です。
歴史を「暗記」ではなく、出来事の流れを考えて、問題を解くコツを上記リンクでご紹介しています。



欧州の歴史って、
結構面白い!
化学と自然史は5で、優等な成績を残しました。



自然史は、
暗記の要素が強いけど、



色々な発見や発明の
流れが面白い!
「もとドイツ人」なので、ドイツ語は6が欲しいですが、



ドイツ国籍を捨てたんだから、
ドイツ語は5くらいで十分!
「ドイツに対する感情」からか、ドイツ語のテストでは「手を抜いた」と思われます。



フランス語は苦手だけど、
イタリア語は頑張った!
一生懸命学び、得意の数学と物理に磨きを掛けて、チューリッヒ工科大学に再度挑みました。





昨年よりも、
大分成績を上げたな!



よしっ!この成績なら、
我が校への入学を許可しよう!



よしっ!
ついに、世界トップ校に入学だ!
世界ランキング | 大学名 | 国名 | 女性の割合(%) |
1 | オックスフォード大 | 英国 | 49 |
2 | スタンフォード大 | 米国 | 47 |
3 | マサチューセッツ工科大 | 米国 | 41 |
4 | ハーバード大 | 米国 | 51 |
5 | ケンブリッジ大 | 英国 | 48 |
6 | プリンストン大 | 米国 | 47 |
10 | イエール大 | 米国 | 51 |
11 | チューリッヒ工科大 | スイス | 33 |
13 | シカゴ大 | 米国 | 47 |
15 | ジョンズ・ホプキンス大 | 米国 | 56 |
19 | シンガポール大 | シンガポール | 49 |
21 | トロント大 | カナダ | 56 |
29 | 東大 | 日本 | 20 |
30 | ミュンヘン大 | ドイツ | 37 |
35 | 香港大 | 香港(中国) | 55 |
37 | メルボルン大 | オーストラリア | 58 |
40 | パリ大 | フランス | 51 |
現在も世界トップクラスのチューリッヒ工科大学は、当時も、かなり優れた学校でした。
世界の大学において、英国と米国の影響力が強い現代。
当時の欧州においても、



我が大英帝国の
オックスフォード大とケンブリッジ大は、トップランクだ!
おそらく、オックスフォード大とケンブリッジ大はトップだったでしょう。
その中、「欧州の大陸側」で、おそらく当時もトップ校だったチューリッヒ工科大学。



一生懸命、
チューリッヒ工科大学で学ぶぞ!
自由の国・スイスで優等生となったアインシュタインは、意気揚々と大学に進学しました。