前回は「図形問題を「苦手」「嫌い」にならない姿勢〜三角形と相似形の解き方・面積比・辺の比・問題 2〜」の話でした。
問題2(再掲載)
三角形の一辺に平行な補助線:補助線の役割(2)解法A
今回は、三角形の相似比から考えます。
辺ABに平行で、点Pを通る補助線を引いて見ましょう。
上の図で水色の二つの図形は
相似形だけど・・・
これでは、
進まない気がする・・・
なかなか「解くキッカケになる相似三角形」が見えません。
この補助線では
解けないのかな・・・
この問題を「辺の比」で解こうとすると、前回の「面積比」で解くよりも「やや難しい」かもしれません。
前回、「面積比」で考えた時と今回「辺の比」で考えている時、補助線の大きな違いは何でしょう。
補助線の違いを
考えるの?
今回の「ABに平行で、Pを通る補助線」は、なぜ「解けない感じ」なのでしょうか。
それはね・・・
あ、そうだ!
この補助線が
辺SQの途中でぶつかっているからだ!
そう!
この補助線が、たとえばPQだったら解けそう!
問題に登場していない「新しい点」が出てきたことが、「この補助線」の問題点です。
そのため、「相似形を解くための比が分からない」状況です。
そういうことだね。
では、この補助線では解けないの?
実は、この補助線でも解けるので考えて見ましょう。
図形の世界を広げる発想:視野を広げる
少し視野を広げて、図形の外に飛び出して、新しい三角形を作ってみましょう。
図形問題は「与えられた図形の中だけ」で考える必要はありません。
これは、解くのが
難しくなるんじゃない?
三角形ABCの外に出ると、
図形が難しくなった気がする・・・
「難しい」ように見えるかもしれませんが、一つ一つ「相似形・辺の比」を考えて見ましょう。
RQとBCの延長線の交点をZとします。
これによって、△BRZが現れ、相似三角形が見えてきました。
まずは、△BRZにおいて、BP : PC : CZの比を考えましょう。
上図でCからABに平行な直線を引き、水色の相似三角形を考えて、辺の比が求まります。
そして、△BRZと上図水色の三角形が相似なので、BZ : CZ =3 : 6/5 = 5 : 2となります。
辺BZにおいて比を整理して、BP : PC : CZ= 12 : 9 : 14と求まります。
最後に△BRZと上図水色の三角形が相似ですので、辺の比が求まります。
すると、AS : SP= 70:69と求まります。
多角的視点:複数の解法を習得して様々な角度から考える姿勢
面積比と辺の比の両方の考え方を比較してみましょう。
(2)に関しては解法Bの方が考え方は易しいですが、計算が大変です。
解法Aは丁寧な説明を心がけたため、少し図が多くなりました。
慣れれば、相似三角形を自分でどんどん作れるので、計算は比較的簡単です。
慣れるようになるには、
どうしたら良いの?
慣れるには、「自分でどんどんやってみる」のが一番良いです。
・図形全体を描いて、しっかり考える
・自分で補助線を引いてみる
解法Aの方が短い時間で解答に至り、「計算ミスを防ぐ」面でも効果的と思います。
異なる視点で説いてみましたが、解法Aで大事なことは「図形の外に飛び出す」ことです。
問題の世界は、出題者の決めた中で完結しなくても良いのです。
特に図形問題は、「自分で世界を広げて考えてみる」をやってみましょう。
次回は下記リンクです。