前回は「『合格を目指す』と『偏差値を上げる』こと 2」の話でした。
家庭の所得と子どもの偏差値:偏差値の曖昧な根拠
今回は、中学受験する子どもの家庭と偏差値の話です。
大手誌の調査などで「家庭の所得と、子どもの偏差値がほぼ比例する」という結果が出ています。
そもそも、「家庭の所得」は給与所得等をもとに算出するとして、「子どもの偏差値」が曖昧です。
名前 | 偏差値 |
A君 | 55 |
Bさん | 65 |
Cさん | 50 |
上の例のような時は、
Bさんが
最も偏差値が高いから・・・
Bさんが一番
優秀!
と、「とても分かりやすい」のが偏差値です。
ところが、絶対的数値であるように感じられる「偏差値」は、母集団によって大きく変わります。
調査結果では「家庭の所得が増えるにつれて、子どもの偏差値が高くなる」結果となります。
多くの調査結果では、中盤でやや相関関係が少なくなっています。
この「子どもの偏差値」は「共通の試験を受けた」結果、であればある程度有効かもしれません。
おそらく、中学受験の「合格校の偏差値」をもとに算定していることが多いのでしょう。
概ね「家庭の年収が高い方が、合格校の偏差値が高い」と言えるでしょう。
このグラフを見ると、家庭の所得と「偏差値」の間に大きな相関関係があるように思われます。
子どもと学校の序列化:偏差値の絶大な影響力
中学受験・高校受験・大学受験で絶大な影響力を持っている偏差値。
さすがに小学校受験では、「偏差値はない」と思います。
そう思いますが、塾や機関によっては「偏差値による査定」は、小学校受験でもあるかもしれません。
最近もこのような傾向があるとすると、「教育環境の格差」の顕在化とも考えられます。
これは、決して良いことではないと思います。
世界的にも「収入にゆとりがあれば、子どもに様々なことを学ばせることが出来る」傾向はあるでしょう。
現実的には「ある程度はやむ得ない」と思います。
この「家庭の所得と子どもの偏差値」の明確な相関関係。
このことは、「教育の平等」という理念からすると、非常に良くないことであります。
偏差値による学校ランキングと学校の良さ:受験の方針と様々な費用
偏差値という明確な数字は、序列化につながります。
本来、「母集団や試験の難易度によって、合格可能性が分かりにくい」ので偏差値が登場したと思います。
名前 | 数学の試験の難易度 | 点数 |
D君 | 非常に難しい試験 | 60 |
Eさん | 比較的難しい試験 | 65 |
Fさん | やさしい試験 | 80 |
上のような結果が出た時、「感覚的」には比較できるかもしれませんが、比較は難しいです。
そこで、それぞれの試験の「受験生=母集団の結果」を元に偏差値を統計学的に算出します。
名前 | 数学の試験の難易度 | 点数 | 偏差値 |
D君 | 非常に難しい試験 | 60 | 65 |
Eさん | 比較的難しい試験 | 65 | 58 |
Fさん | やさしい試験 | 80 | 55 |
場合によっては、上記の例のように「点数の上下」と「偏差値の上下」が逆転する現象もあるでしょう。
このように「非常に便利な指標」である偏差値。
この偏差値は、
X中学に
合格するには偏差値60が必要!
Y中学に
合格するには偏差値63が必要!
という「具体的な指標」につながり、
今、僕の偏差値は61だから、
X中学に合格するには、もう少し学力を上げよう!
と「具体的な目標」につながります。
勉強する上で、「具体的な目標」は大事な面があるので、これは良い面があるでしょう。
一方で、
X中学は偏差値60、
Y中学は偏差値63!
となった時、あたかも「Y中学の方がX中学より良い」ような印象を受けてしまいます。
単なる「学力の数値の一つの指標」が学校ランキングに繋がっているのが受験界です。
そもそも、大事な視点は「偏差値=学校の良さ」では、決してないでしょう。
様々なご家庭の子どもには、出来るだけ平等なチャンスのもとに、切磋琢磨して欲しいと考えます。
塾・模試・教材等、実に様々お金がかかります。
誰しも
こっちの塾の方が
良いのでは・・・
あるいは、
こちらの教材・参考書の方が、
良いのでは・・・
と色々と迷う気持ちがあります。
変更すると余計にコストがかかるのが問題です。
また、最も大事なのは「子どもの軸がブレてしまう」可能性があります。
費用も「やるべきこと」も集中しましょう。
グラハム・ベルも、集中することの大事さを言っています。
特に新小学校6年生は色々なことに手を出さず、早めに軸を決めるのが良いでしょう。
早い段階で「この塾」や「この教材」と決めることが最重要です。
そして、それを一生懸命やってみるのが志望校合格への最短の道です。