前回は「算数の基本的考え方:差を考えて小さく分割〜対象を小さくしてゆく・条件を絞る・数字の差と「元の数字」の関係性・差が変わる場合と変わらない場合・流水算・年齢算〜」でした。
和を考えて、大きなかたまりを作る:対象を大きくする
「差を取って、対象を小さくする」ことで、考えやすくなることが多いです。
今回は、その逆で「和を取って、対象を大きくする」話です。
算数実践紀行:問題6の考え方では、男子生徒と女子生徒の人数を、それぞれ考えました。
すると、「男子生徒は16の倍数、女子生徒は15の倍数」となります。
この考え方を軸にしても解けますが、ポイントは「全校生徒を考える」ことでした。(上記リンク)
倍数を考える:対象を絞ってゆく
この時、男子生徒と女子生徒に分けないで、全校生徒で考えることがポイントです
つまり、「男子・女子に別れている」のを「和をとって全校生徒」で考えるです。
この「和を考えて、考えるかたまりを大きくする」点が、大きなポイントです。
倍数を考えることは、対象を絞ってゆくことになります。
16の倍数である男子生徒の数は、16、32、48・・・と「16の倍数」に限定されます。
同様に、15の倍数である女子生徒の数は、15、30、45・・・と「15の倍数」に限定されます。
男子生徒と女子生徒の人数が
分かるね!
男子と女子を別々に考えても、対象を絞れますが、「全校生徒=和の倍数」は一気に対象を絞れます。
別々に分かるのも良いけど、
全校生徒を考えると、一気に分かるね。
16:15なので、「全校生徒数は16+15=31の倍数」である必要があります。
確かに、16:15ということは、
全体は31の倍数だね!
さらに、15,16に比較すると31は素数(約数が整数)なので、「馴染みのない数字」です。
「和を取って、大きなかたまりをつくる」と、「より大きな数の倍数となる」はずです。
これで、「全校生徒の人数」を3通りに絞りこむことができました。
考える対象が
減るっていいね!
こうなると、
問題が解ける気がする!
これは、問題を解く上で「大きな進展」となります。
そして、残った3つのパターンを個別に考えて、答えに至ります。(解法A)
「全校生徒2000人以下」の中で、まずは「31の倍数」だけでも、大きく解答に近づけます。
全校生徒数が、バスの台数21台の倍数になることも大事です。
すると、全校生徒数は「31の倍数であり、さらに21の倍数である」ことになります。
31は約数なので、「31の倍数であり、21の倍数」は「31×21の倍数」となり、かなり限定されます。
解法Aと大きな流れは同一ですが、解法Bでは、「全校生徒が6の倍数になる」ことに着目しました。
解法Bの解き方は、上記リンクでご紹介しています。
31と21と6の倍数なら、
かなり限定されるね!
こういう風に、様々な
倍数に着目するのがポイントだね!
解法Bは「スマートな解き方」ですが、解法Aで着実に解く姿勢も大事です。
いずれにしても、このような整数問題は「未知数を置き過ぎない」視点が大事です。
そして、約数や倍数に着目して、文章題の中の数字と意味を考えましょう。
1.「整数だ」とすぐに気づく
→(実数もありえる)①など未知数をすぐに置かない
2. 約数や倍数に着目
→31などの「約数がない整数(素数)」が出てきたら、着目
3. 全体像を考え、全体的を考える
→この場合は「各学年の人数」ではなく「全学年の人数」を考えます。
全体を見渡す考え方:俯瞰して考えると分かること
算数実践問題5解法Bでは、表を作成して「全体の数から、部分的な数を考える」方法で考えました。
解法Aのように、分かりやすい5:3から未知数をおいて解いてゆくのも良いです。(上記リンク)
対して、解法Bは、19:17という「少し大きな比」に着目しています。
そして、比が出るということは、全体の数はその比の和の倍数であるはずです。
問題6の「全校生徒数とバスの数」と同じ考え方です。
Bはこの19+17=36という「大きなかたまり」から表で逆算するように解きました。
36は2,3の倍数なので「馴染みのある数字」ですから、色々と扱いやすいです。
36は6×6だし、
なんとなく分かりやすいね!
約数も沢山あるし、
分かりやすいかも!
出題者は、このような「分かりやすい」数字を分割することがあります。
36は6×6であり、
2の倍数、3の倍数、6の倍数で扱いやすい・・・
ならば、36を分割して、19と17にすれば、
それぞれ素数となり、特徴的な数字となる・・・
36=19+17なので、19と17に分けられます。
すると、少し分かりにくい(この場合19、17)にすることがあります。
このように、出題者は問題を少しひねっているのです。
他にも、36=23+13なども考えられるので、
36を分割して、23と13にすれば、
それぞれ素数となる・・・
このように考える出題者もいるかもしれません。
整数問題の文章題では、全体を見渡して「大きなかたまり」を考えると分かりやすいです。
問題で比などの数字が出たら○で囲って、
これは
重要!
この条件は
使うはず!
このように「数字は強く意識」しましょう。
算数・数学は「解くために必要かつ十分な条件」が与えられているはずです。
この数字は
使わなかったけど解けた・・・
このように「ある数字・条件を使わずに解けた」時は「間違っている」可能性が高いです。
確かに、「問題の条件」は
全部使うね!
問題6のように「6学年」という「問題に出てこない数字」に気づいた時。
小学校の学年は
必ず6学年のはず・・・
「6」と脇に書いておくと、解く条件が明確になります。
そのように「地道にしっかり考える姿勢」は、算数の学力上昇につながってゆくでしょう。
秋から直前期にかけて、沢山の問題を解いたり模試を受ける人が多いです。
その時に、「解けるか解けないか」で一喜一憂するのではなく、
この問題の解き方は、
この視点が大事・・・
解くポイントや視点を強く意識して、手を動かしながら「着実に一題ずつ理解」する姿勢が大事です。
次回は下記リンクです。