前回は「下水道施設親子見学ツアー・小平ふれあい下水道館〜下水道の歴史を知る・後藤新平と下水道整備・様々な下水道の現実を体験・大活躍の微生物たち・本物の下水道館に入る体験・便利な生活の裏側を知る体験〜」の話でした。
下水を体験後、下水を浄化するシステムを体験
小平ふれあい下水道館で「下水を体感」し、強烈な臭いを実際にかむ体験をしました。
その後、下水道施設親子見学ツアーはバスで有明に移動しました。
「本物の下水」を間近でみる体験をしたあとは、「どのように下水が浄化されるか」を体験します。
小平ふれあい下水管では、「下水の浄化」に関して説明の展示がありました。
沈澱池や反応タンクで「下水を浄化するシステム」の展示を見ました。
今回は「本物のシステム」を見学します。
展示や本で「知る」ことと「実際に見学・体験する」こと
「展示を見る」ことは、非常に大事なことです。
例えば、「恐竜の骨格」ならば、図鑑などを見れば、大体のことが分かります。
それに対して、「実際の恐竜の骨格」が展示されているのを「実際に見学する」ことは大きく異なります。
図鑑や本では、「大きさ」などが数字で描かれていますが、そのスケール感・大きさは分かりにくいです。
実際に「恐竜の骨格」を見れば、
こんなに
大きいんだ・・・
と、その恐竜の具体的な大きさ・スケールがすぐに分かります。
そして、実際に体感したら、
トリケラトプスの大きさは、
大体このくらいだった・・・
と「具体的なイメージ」が「実体験」として頭の中に残ります。
そして、この骨格などの立体物は、実物を見ることが非常に大事です。
どんなに良い写真でも「三次元の立体が二次元の写真になった」時、「立体感は減少する」のです。
そして、「大きさ・スケールが必ず異なる」ことも大事です。
「本や書籍に入る」サイズで表現されるため、「大きな骨格・模型などは小さく表現」されます。
影や奥行き感で「立体感」は感じることができますが、
ティラノサウルスのお腹の周りの
骨は、こんな感じなんだ・・・
というのは立体を見るからこそ、よく分かるでしょう。
難しく感じられる電気は、いくつかの回路を実際に実験してみると良いでしょう。
「回路の実験」は自宅では難しいので、学校の理科実験授業などで体験できれば、とても良いですね。
「実験したから、回路が解けるようになる」訳ではなく、「問題を解く力」は別かもしれません。
それでも、
あの回路の実験では、
この電球の光り方が、こんな感じだった・・・
回路をぐるっと電流がすぐに流れて、
パッパッと電球が光って、明るさが違った・・・
という「実体験を通したイメージ」があると、理解は進むでしょう。
算数・理科では「実際に体験すること」は、「手を動かして書く・描くこと」でもあります。
学力を上げるためには、「手を動かして書いて、描いて」みましょう。
下水道の現実を体験:有明水再生センター
そして、小平から有明までバスで一時間ほどかけて移動してきたツアー。
変わったデザインの有明水再生センターですが、
このデザインは、
宇宙船のイメージです。
宇宙船のような楕円形のデザインに、大きな排気口を「エンジンの排気口」に見立てているようです。
猛烈な臭気を放っている下水が大量にやってくるセンターですから、大型のダクトが必要です。
担当職員の方から、東京都23区の「水再生センター」の担当地区の説明です。
この有明水再生センターでは「砂町処理区」が担当で、隅田川と荒川に挟まれたエリアの下水を浄化します。
下水センターの主な施設は、全て地下にあります。
そして、地上は体育館などに解放されている建築です。
地下に入ってゆくと、巨大なダクト・配管が出てきました。
工場などで、大型のダクト・配管を見たことがありますが、ここまで大きなダクトは初めてです。
このダクトによって、
下水の臭気をきれいにして、放出しています。
先ほどの建物で、排気口がすごく高い位置にあったのは、
排気を丈夫にするためです。
排気は消臭していますが、出来るだけ
周囲に迷惑を掛けない配慮です。
「宇宙船のデザイン」であった排気口は、「高い位置に配置する」ためでもありました。
少し、
臭いね・・・
説明を受けている場所は、すでに水再生センター内なので、僕たちが歩いている下に大量の下水が流れています。
そのため、少し「下水らしい」臭いが立ち込めてきています。
流れてきた下水たちは、第一沈殿池・反応槽・第二沈殿池を通って、最終処理されて、川などに放流されます。
下水浄化のシステム:徐々に浄化
「第一沈殿池」という、最初に下水ないの汚泥・ゴミを除去する施設にやってきました。
ここで「任務達成率30%」となるイメージです。
こちらは、下水道内の
下水そのままです。
下水そのものが流れてくる第一沈殿池。
もちろん、「臭いも下水と同じ」ですから、結構な臭いです。
ねえ、
臭いんだけど・・・
子どもは「臭い」にちょっと困った顔をしています。
この汚れた下水を
この第一沈殿池で浄化します。
この第一沈殿池で、2~3時間かけて下水をゆっくり流し、大部分の汚泥・ゴミが除去されます。
汚泥・ゴミは除去されますが、「下水は下水のまま」で、次の反応槽に進みます。
「微生物たちが大活躍する」反応槽。
ここでは、
たくさんの空気を
下水の中に送り込みます。
「微生物を活性化する」ために大量の酸素が送られます。
上の写真は、微生物たちをイメージした小さなビーズに「大量の空気を送り込む」イメージの水槽です。
実際の「反応池」の内部の様子です。
たくさんの泡があるのは、「空気・酸素が送り込まれている」からです。
ここで、微生物たちが下水の様々な細かなゴミなどを食べて、一生懸命浄化します。
ここまでで、おおむね60〜70%程度「下水の浄化処理」が完了しました。
浄化された下水を体験:きれいになった下水の臭いを嗅ぐ体験
反応槽で微生物たちによって浄化された下水は、最後に第二沈殿池に来ます。
この第二沈殿池で処理された下水は、「ほぼ浄化されている」下水です。
この「ほぼ浄化された」下水が上の写真です。
あまり
臭くないね・・・
そうだね・・・
普通の臭いだね。
子どもも「臭いの違い」がハッキリわかるほど、この下水は臭いません。
第二沈殿池を通った水は、
魚も住める水になっています。
実際に、その処理された水を
みなさんにも体験していただきます。
職員の方が、処理された下水ないにポットを入れました。
そして、引き上げて、僕たちに見せてくれることになりました。
さあ、みなさん
実際に間近で臭いを感じてみてください。
まずは、子どもたちから「実際に匂いをかんでみる」と、
もう臭くないから、
大丈夫だね!
僕も臭いをかんでみましたが、
これは、
全然臭わないね。
まったく問題なく、おおむね透明な水です。
実際、この水であれば、東京湾や川に放流しても問題なさそうです。
あの臭った下水が、
ここまできれいになるんだね・・・
まあまあ
きれいな水になったね!
「浄化システムのおかげ」ですが、実際に目の当たりにすると、不思議な気持ちになります。
この下水を
最後に塩素処理して、きれいにして、東京湾に放流します。
そして、この「下水道処理センター」で最終処理された水の中で、熱帯魚たちが生活しています。
ここまで、「おおむね24時間ほど」の時間です。
つまり「約一日で、下水が東京湾に放流できるレベルに浄化される」ということになります。
マンションなどの集合住宅、幼稚園などの施設、個人邸など、全ての建築から排出される下水。
飲み水である上水も大事ですが、下水はもっと大事かもしれません。
とにかく、
病気の予防のためには、衛生であることが最優先!
不衛生な環境は、
絶対にダメだ!
一日でも早く
下水道を完備するのだ!
医師であった後藤新平が強力に推進した下水道の構築。
私たちの現代的な生活を支えている「不可欠であり、裏側である」下水道システム。
今回、下水道システムの全容を知り、下水の現実とその浄化システムを体感できたのは、大事な体験でした。
建築にとって、血液のような存在である配管などの建築設備。
それら「建築内部の配管」が「建築の外の配管」につながった後の世界を知る、大事な体験をしました。
「強烈な臭い」を嗅ぐ体験は、少々「想定外」でもありましたが、
この体験は、
子どもにとっても貴重だろう・・・
と思いました。
そして、あの「強烈な臭いを実際に嗅いだ」記憶は、子どもの頭脳の中に残るでしょう。
「知るだけではなく、実際に体験することの大事さ」を改めて感じる体験でした。
これらの沈殿池・反応槽などは、動画でも映像と解説が見られます。
小学校中学年〜中学生・高校生の方には、ぜひ実際に下水道館・水再生センターを訪れてみましょう。
良い「自由研究」にもなり、本質的な学びを体験できるでしょう。
次回は下記リンクです。