前回は「子どもの創造力を伸ばす教育〜「自ら学び自ら考える」学び・海軍兵学校教育の「自学自習」教育の大失敗〜」の話でした。
「撃墜王」と必修科目の単位:甘い教育空間の日本の大学

一般的に、日本の大学教育は、海外の大学教育よりも「遥かに甘い」と言われます。
本来ならば、大学は「教育機関の最高峰(大学院は別格)」なので、

僕は、物理の道を
とことん追求して、新たな発見をしたい!



私は英語に磨きをかけて、
海外で働きたい!
このように「何らかの学びへの高い意識」を持つ人が「自ら進学する」機関ですが、現実は、



まあ、みんなが大学
行くし、働くのも、なんだし・・・



周りの人も
みんな大学行くみたいだから・・・
「みんなが大学行く」という傾向が昭和後期から強くなり、大学進学率は60%ほどになります。


そして、「大学に入って猛勉強する」人は、少なくとも日本の大学では「少数派」であり、



日本の大学は
「レジャーランド」みたいなもんだからな・・・
ついには「レジャーランド」と呼ばれる存在になっているのが、日本の大学です。
教育空間としては、一般的に「甘い空間」と言えそうです。
もちろん、大学生の中には、



とにかく
勉強するんだ!
「とにかく勉強!」と猛勉強を続ける人もいますが、それほど多くないのが現実です。
日本の大学で、



X大学は、超スパルタ式で、
卒業するのが大変らしい・・・
「スパルタ式」教育は聞いたことがなく、そもそも大学生は「自主性」を強く持つべきです。
時々、必修(必ず単位を取る、合格しなければならない科目)で、



O教授の構造力学は、超難しくて、
大変だよな・・・



ああ、O教授って、
「撃墜王」だからな・・・
現在の大学生でも使われているか不明ですが、かつては「撃墜王」の教授がいました。


「撃墜王」の語源は、戦争で主に戦闘機のパイロット・士官で、「敵を多数撃ち落とした」人に対して、



Y大尉は
撃墜王だな・・・
「ある種の敬意」を込めて、「敵を多数撃墜する人物=撃墜王」と呼びました。
大学の「撃墜王教授」は、「敵」ならぬ「学生」を「多数撃墜する教授」であり、



昨年も、O教授の
必修で単位落とした人がいたらしい・・・



あの科目で3人留年した、
って聞いたぞ・・・
選択科目ならば単位を落としてもOKですが、必修の単位を落とすと「先に進めない」状況になります。
「先に進めない=留年」であり、ある意味では「撃墜王の授業=スパルタ式」とも言えます。
「超スパルタ教育」の権化=海軍兵学校:恐怖の「弾圧注入教育」


概して「甘い」教育の日本の大学ですが、かつて「超スパルタ教育」の大学〜高校がありました。
海軍兵学校や陸軍士官学校などの「エリート軍人養成機関」は「超スパルタ教育」でした。
海軍兵学校の採用年齢は、当時「16歳〜19歳」だったため、高校〜大学相当になります。
「16歳〜19歳」は「4年の幅」があるため、かなり広いです。



我が海軍兵学校は、極めて優秀で、
身体頑健な人物のみ入学を許可する・・・



入学試験は、最初に
身体検査、運動機能検査を行う・・・



その合格者のみが
学術試験受験に進むことを認める・・・
軍人たるもの、「成績優秀」だけではダメで、まずは「一定の運動能力」が前提でした。



続く学術試験受験は
5日行う!
しかも、その後の学術試験受験は「5日もある」大変な試験でした。
現在の大学受験は「概ね1日〜2日」なので、「極めて異常な試験」と言えそうです。
そもそも「入口=入学試験」からして、「スパルタ教育」の色が強すぎた海軍兵学校(海兵)。
軍人養成機関であったこともあり、「鉄拳が飛ぶ」ことも日常茶飯事でした。
「鉄拳」は現代の教育から見れば「論外」ですが、「軍人は別」かもしれません。
この「鉄拳」は別としても、海兵の教育は「スパルタ」を遥かに超えた「超スパルタ」教育でした。





海兵の教育、
懐かしいな・・・
若い頃から優等生で、海軍航空本部長・海軍次官・連合艦隊司令長官になった山本五十六。



あの教育は、いわば
「弾圧注入教育」だからな・・・
山本は、海兵の教育を「弾圧注入教育」と表現しました。
誠実な性格ながら、諧謔を好んだ山本五十六。
山本は数々の名言を残していますが、「弾圧注入教育」は言い得て妙です。
現代ではあり得ない「弾圧注入教育」海軍兵学校を卒業した人物たちが、



大日本帝国海軍の
ために!
大日本帝国海軍の中心となり、全体を引っ張っていました。
現在では、大日本帝国陸海軍の廃止に伴い「存在を消した」海軍兵学校。
海兵の代わりに、自衛隊の育成機関である防衛大学が存在しています。
次回は「現代のスパルタ教育」を考えてゆきます。
次回は上記リンクです。