前回は「対称性がある図形問題を解くコツ〜「正〜角形」の時は対称軸に着目・「思い込み」で問題を解かない・条件を整理して着実に・算数の記述のコツ・未知数や方針を明記〜」の話でした。
直前期に図形問題が解く力を上げるコツ:「直感的に明らか」を説明
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前回は、上記の「正三角形が二つ+それぞれの中心が一致」する問題を考えました。
この問題は一見簡単そうですが、きちんと解くには相応の学力が必要です。
答えを見たら分かるけど、
難しくて分からなかった・・・
正三角形や正方形の問題は
結構やったけど、解くキッカケが分からなかった・・・
図形問題は「見るからに複雑で難しそうな」問題があります。
一方で、「簡単そうに見える」問題ですが、考えてみると「なかなか分からない」問題もあります。
前者の「見るからに複雑で難しそうな」問題は、解いてみたら意外と解きやすい事があります。
後者の「簡単そうに見える」問題は、簡単であったり、意外と分からないことがあります。
図形問題って、中学受験の算数で
「一番深い分野」かもね・・・
今回は、直前期に図形問題を「どう学ぶのが良いか」の話です。
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この問題では、上の「正三角形アとウに着目」することが鍵でした。
このうち、「正三角形ア」は問題で与えられています。
この正三角形アとウは
全部同じなのは、なんとなく分かったけど・・・
あと、二つの正三角形の辺の比が
6:5は分かったけど・・・
その後、どうしようって、
困っちゃった・・・
「正三角形アとウは全て同じ(合同)」であることは、直感的に分かります。
算数や数学では「直感的に明らか」であることは大事ですが、それを説明できる姿勢が大事です。
前回は「折り返しても同じ直線=対称軸」を三本見つける話をしました。
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これら三本の「折り返しても同じ直線=対称軸」が、解く鍵となります。
この三本の
「折り返しても同じ直線=対称軸」で・・・
正三角形アとウの
ことが分かるね!
「折り返しても同じ直線=対称軸」から「正三角形アとウは全て同じ(合同)」を明確に意識しましょう。
基本的図形の性質を総復習
「正〜角形」が登場する図形問題は多いですが、中でも正三角形と正方形は頻出です。
それは、「正三角形と正方形が非常に強い性質を持っているから」です。
上の正三角形では「折り返しても同じ直線=対称軸」があり、向かい合う辺と直角に交わります。
この「折り返しても同じ直線=対称軸」は、他に二つあり、合計で三本あります。
・ある線で折り返すと、きれいに折り返せる(折り返したら同じ)
・対称性のある図形には、様々な特徴(辺の長さが等しい、角度が等しい)がある
「対称性」という言葉が難しければ、「折り返しても同じ」と理解しましょう。
算数の記述の時、「対称性」という言葉ではなく「折り返しても同じ」と記載しても良いです。
動く点と正三角形の問題を解くコツを、上記リンクでご紹介しています。
考えてみたら、今回の問題の
「折り返しても同じ直線=対称軸」って・・・
正三角形が一つの時と
全く同じだね・・・
言われてみたら、
「全く同じ」だから・・・
「正三角形が二つ」でも
「正三角形が一つ」と似ているのかな・・・
「正三角形二つ」と「正三角形一つ」で、「折り返しても同じ直線=対称軸」が同じ理由を考えましょう。
「同じ」理由は・・・
「中心が同じ」だからだ!
今回の問題で大きな特徴は、「二つの正三角形の中心と対称軸の向きが同一」であることです。
「中心と対称軸の向きが同じ」だから、
「対称軸」も同じだね!
この問題では、条件の設定のために「折り返しても同じ直線=対称軸」が描かれています。
・対称となる軸・中心・重心を描いて考える
・対称となる軸をいくつか考えてみる
「正〜角形」では、中心や対称軸がとても大事です。
特に「正〜角形」にとって「中心は図形のへそ」みたいな感じで、極めて重要です。
図形問題で「正〜角形」が登場したら、
この図形の中心は
ここだから・・・
必ず「図形の中心に着目」するようにしましょう。
このように、様々な問題を解いた直前期は、「基本的図形の性質を総復習」すると良いでしょう。
図形を多角的に考える姿勢:(2)解法B
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前回は、(2)のイの面積を求めるために、上のように「イ=ア+エ」で考えました。(解法A)
イの面積を求めるために、他の方法を考えてみましょう。
イの図形って、
変わった形しているけど・・・
何か特徴が
ありそうな感じがするね・・・
イの図形には、二つの正三角形の
「共通の中心」があるね!
「共通の中心」の周りは
対称だから、図形を別に分けたら出来そう!
問題の図形の大きな特徴である「二つの正三角形の共通の中心」に着目しましょう。
すると、上の図形のように「大きな(36cm2)正三角形の1/6の図形=オ」が見えてきます。
このオの図形は
風車みたいで、綺麗な図形だね!
オの図形は、直角と30度と60度だから、
三角定規の一つだね!
そこで、「イ=アの半分+オ」で解いてみましょう。
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まずは、「オの面積」を求めれば、(1)の面積の半分を加えれば「イの面積」が計算できます。
このように、別の視点から「イの面積」が求まりました。(解法B)
解法Aと解法Bは
どちらが良いの?
解法Aは「ダイレクトに(1)を利用して考えている」点で、やや素直です。
一方で、「正三角形の1/6」に着目する解法Bも良いので、どちらでも良いでしょう。
私は、解法Bも
結構好きかも・・・
図形問題は「複数の考え方・解法」があることが多いです。
直前期には、問題集などの解法を学ぶだけではなく、
こう考えたら、
どうなるかな・・・
「多角的に考える」姿勢で学ぶと、総合的な学力が上がるでしょう。
図形問題に限らず、
ちょっと違う視点で
考えると、どうなるかな・・・
様々な分野の問題で「少し違う視点」を考えると、色々な気づきが生まれます。
直前期は、総まとめで「多くの問題を解く」ことも大事かもしれません。
やっぱり、これまでの問題の
復習も大事だと思う!
解けなかった問題を
もう一度やってみよう!
「しっかり理解して復習」と「少し異なる視点で考える」姿勢で、総合力と瞬発力を高めましょう。
・解けなかった模試や問題集の問題を「しっかり理解して復習」
・「こう考えられるかな」と「少し異なる視点で考える」姿勢