前回は「思わしくない合格判定を逆手に合格へ〜遼東半島返還金の巨大メリット・三国干渉と臥薪嘗胆・日清戦争大勝利と大日本帝国の躍進・ロシアの冷たい視線〜」の話でした。
時代を左右した「討幕の大義名分」:強力だった徳川幕府
現代では「幕末」と呼んでいる、1860年頃〜1868年の時代。
当時、徳川幕府は薩長などの諸勢力に「押されていた」状況でした。
おのれっ!
長州めが!
暴発し続けていた長州を「叩き潰す」つもりでいた徳川慶喜でしたが、
な、なにっ!
薩摩まで敵になったか・・・
薩摩も明確な「徳川の敵」となり、大変な状況となりました。
ところが、まだまだ徳川幕府は「バリバリの日本政府」であり、
ならば、薩摩もまとめて
討伐するまで!
将軍・徳川慶喜は、意気揚々、「薩長をまとめて潰す」つもりでした。
「討幕!」と思っていたものの、どう考えても「部が悪かった」のが薩長でした。
それは当然であり、かなりの底力を持っていた薩摩といえども、幕府相手では苦しいのが実情でした。
幕府と戦争して、
叩き潰したいごわすが・・・
もう少し、こちらに
強力で明白な大義名分が欲しいですな・・・
「強力で明白な大義名分」によって、状況を大きく変えようとしていた西郷や大久保たち。
岩倉さん、
何か強力な大義名分が欲しいですね・・・
ああ、大久保・・・
麿(私)もそう思っていた・・・
実はだな、「官軍の証」である
「錦の御旗」というものがある・・・
本当ですか!
それを手に入れれば、我らは官軍ですな!
ここで、大久保は「我が意を得たり」と大きく頷きました。
うむ・・・
だがな、朝廷を隅々まで探したが、ない・・・
「ない」のですか・・・
それでは、仕方ありませんね・・・
「ないならば、仕方ない」が、普通の考え方です。
ここで、岩倉の瞳が不気味に光りました。
大久保よ・・・
「ない」なら、作れば良いではないか・・・
えっ!
錦の御旗を作るのですか?!
そうだ・・・
錦の御旗がどういう図柄かは、麿は知っている・・・
「ないものは作る」というのは、とても進歩的な考え方です。
ところが、世の中には「作ってはならない」または「作ろうと考えてはならない」ものがあります。
天皇・朝廷に関わる「錦の御旗」は、普通の人が「作ろうと考えてはならない」ものです。
錦の御旗を作る、のですか・・・
さすがに、それは・・・
強気の大久保といえども、一藩士にすぎず、天皇は「雲の上のまた雲の上」の存在でした。
大久保・・・
腹くくれ・・・
ここまで
来たら、やるしかないだろう・・・
これが
「錦の御旗の図柄」だ・・・
・・・・・
分かりました・・・
こちらで準備しましょう・・・
錦の御旗を「勝手に作成した」岩倉具視と大久保利通
そして、大久保は、当時「馴染みの女性」であった「おゆう」に頼みました。
おゆう・・・
この旗の織物を買って、縫えるか?
私は、縫い物は
得意だから、任せてね!
おゆうは、後に大久保利通の正妻となる女性です。
これで
良いのかしら?
うむ・・・
綺麗に出来たな、有難う・・・
器用で一生懸命だった、おゆうは素早く「謎の織物」を作成しました。
あれは何に
使うのかしら?
おゆうは、まさか自分が「天皇の錦の御旗」を作成したとは、「考えもしなかった」でしょう。
岩倉様・・・
「錦の御旗」が完成しました・・・
大久保!
でかしたぞ!
これは、本物の
「錦の御旗」なのだ!
この世で、これしかない
「錦の御旗」なのだ!
はい・・・
これは、確かに「錦の御旗」です!
そして、当時、討幕軍の総司令官であった西郷隆盛の元へ、大久保は向かいました。
吉之助(西郷)さぁ・・・
これが、官軍の証である「錦の御旗」ごわす!
ああ、一蔵(大久保)どん・・・
これが「錦の御旗」ごわすか・・・
これで、我らは
官軍で、幕府は「賊軍」となる・・・
これは史上最強の
武器ごわすな・・・
そして、1868年正月に京付近で勃発した、鳥羽・伏見の戦いでは、
これは、官軍を示す
「錦の御旗」ごわす!
我らが官軍であり、
幕軍は賊軍だ!
私たちは
朝廷の敵である賊軍なのか・・・
賊となっては、
我らは・・・
誰も見たことがない「錦の御旗」を前に、「官軍と賊軍」に分かれた薩長軍と幕軍。
「錦の御旗」の影響力は絶大であり、一気に戦況を変えました。
勝った!
幕軍に勝ったぞ!
そして、この鳥羽・伏見の戦いを契機に、徳川幕府軍は大きく崩れてゆきました。
「合格する」という強い思い込みで「合格を勝ち取る」
「錦の御旗」に関しては、資料が少なく諸説あります。
実際に幕末当時、「誰も見たことがない」錦の御旗が、突如「降って湧いた」ように登場しました。
これは、本物の
「錦の御旗」なのだ!
これは、「錦の御旗」
である!
本物の「錦の御旗」があれば、
我らは勝つ!
これが、本物の「錦の御旗」か・・・
大義は我ら長州と薩摩にあり!
教養も高く、若い頃から、よく学んでいた木戸孝允(桂小五郎)は、内心、
本当に、これは「錦の御旗」
なのだろうか・・・
このように考えたかもしれませんが、「死と隣り合わせの人生」の中、
いや、良いのだ・・・
これは本物の「錦の御旗」なのだ!
このように「思い切った」と考えます。
「本物かどうか定かではない」にも関わらず、「本物だ」と思い込んだ討幕軍首脳たち。
ここで、西郷たちが少しでも、
これは
本物だろうか?
疑問に思っていたら、「鳥羽・伏見の大勝利」はなかったでしょう。
このように、何か大きなことを成し遂げる際には、「思い込み」も大事です。
この「思い込み」は「信念」にも類似している面があります。
僕は絶対に
第一志望のX中学に合格する!
私は絶対に
第一志望のY中学に合格する!
このように、自らの合格を「思い込む」こともまた、「合格を勝ち取る」ためには大事なことです。
ぜひ、「自分は合格できる」という「勝手な思い込み」を強くして、栄冠を勝ち取りましょう。