前回は「入試日程変更を考え始めた関西中学〜「関東と足並み揃える」か?・「上方」であり続けた関西中学のプライド・「関東に合わせない」選択〜」の話でした。
全体的に「上方」だった関西:大陸に「船で近い」=最先端の歴史

・1970年頃〜1990年頃:2月中旬〜下旬(?)
・1991年(?)〜現在:1月の第三土日
筆者が中学受験生だった35年前は、関西の中学受験日程が現在より「一ヶ月後」でした。
そのため、「合格実績を増強したい」塾の思惑により、精鋭の合格実績増強部隊が編成され、

関東の中学受験で
本命が合格した成績優秀の精鋭たちに・・・



関西の超難関校を受験してもらって、
合格すれば、合格実績増強!
塾の先生が、あたかも「軍団長」となった「合格実績づくり」の受験生たちが、



僕は、全部合格して、
中学受験完了!



塾の先生の依頼で、
関西の超難関校を受験に行こう!
関西に向かった事実があります。
毎年、「とてつもなく学力がある」受験生は、どこであろうと合格できる学力があるので、



関西の超難関校も
全部合格!



よしっ!
これで関西の超難関校の実績アップ!
このように、選抜された精鋭部隊は「ほぼ全て合格」して実績を上げたのでした。



関東中学と同一日程にすれば、
こういうことは起こらないか・・・
この状況を苦々しく思った関西中学は、当初は「関東中学との同一日程」への変更を考えたでしょう。
一方で、歴史的に「上方意識」が強い京・大阪周辺の学校は、



我が関西が「関東に合わせる」
必要はないな・・・
歴史的に、明治維新の1868年まで「天皇がずっといた京」は日本国の中心でした。



京・大阪が「上方」なのは
分かるけど・・・



九州や四国は、関東より
「上方」ではないんじゃない?



京と大阪(大坂)中心だから、歴史的に
関東と九州・四国は「同じくらい」と思うけど・・・


現代の「東京一極集中」の環境がだいぶ長く続いているので、このように感じる人も多いでしょう。
実は、歴史的には、「関東よりも九州・四国は先進エリア」でした。


昔の国名が「京中心」で名付けられていた話を、上記リンクでご紹介しています。
江戸時代末期までは、日本と最も関わりが大きかったのは中国や朝鮮などでした。
大陸側は陸地で続いているため、様々な国々とのつながりがあり、文明が進んでいました。
そして、飛行機がなかった当時は、「大陸との行き来」は船しかない時代でした。



そっか!すると、
アジア大陸に近いエリアは、有利だね!



九州や中国地方は、
中国や朝鮮に近いから、船で行きやすいね!
「アジア大陸との距離の近さ」により、江戸時代末期までは、関西は基本的に「上方」でした。
日本の正月と受験生たちの気持ち


日本海は比較的台風などが少なく、水深が小さいため、昔から大陸との行き来が豊富でした。
対して、関東は、江戸時代初期まで「後進エリア」であったのが歴史の事実です。



関西中学の入試日程を
変更するには・・・



すでに2月下旬だから、
「前倒し」しか選択肢にない・・・
「4月入学」を考えると、入試日程を「2月下旬から後ろ倒し」はあり得ません。
「前倒しにするしかない」中、「関東とは合わせない」方針とした関西中学は、



ならば、もっと早めて
1月中旬〜下旬などが良いのでは・・・
「1月中旬〜下旬の入試日程」を模索し始めたことでしょう。
ここで「1月下旬」の場合、「関東と1週間程度の差」となり、なんとなく「合わせた感」が出ます。



我が関西は「関東とは違う」のだから、
「合わせた」と誤解されたくないな・・・
この発想で考えると、「関東と二週間ほど違う」一月中旬しかありませんでした。
一方で、この入試日程変更のためには、「入試日程1ヶ月以上前倒し」の大改革が必要でした。
年間スケジュールの「一ヶ月以上の変更」は、最初の年にかなり影響が出ます。



もはや、「入試日程1ヶ月以上前倒し」して、
一月中旬しかないな・・・
おそらく、「一月中旬しかない」と関西中学は考えたのでしょう。
ここで、関東中学の「2月1日山場」のような「山場日程」をどうするか、が問題となりました。



関東は「2月1日が山場」と
しているが、我が関西は・・・
ここで気になってくるのが、大学受験の共通試験です。
筆者が大学受験生だった頃には、「センター試験」と呼ばれていました。
「マーク式共通試験」であり、国立大学の「足切り+点数の一部」、一部の私立大学の選考試験です。
日本では、



いよいよ
お正月ね!
欧米の「クリスマス重視」と異なり、日本は「新年のお正月」が最も大事な節目ですが、



いよいよ、
大学受験が近づいてきた!



もうすぐ、
高校受験!



もうすぐ、人生初の
大舞台の中学受験!



お正月だけど、
とにかく勉強!
中学受験生〜大学受験生にとっては、「正月どころではない」心境となります。
関西中学の「入試日程1ヶ月前倒し」の大改革





一月第二週は
センター試験だ・・・
中学入試で「生徒を選抜する」中学は、中高一貫の場合、「大学入試で生徒を送り込む」立場でもあり、



センター試験と
近くなると、大変だな・・・
関西中学で、関東中学のように「山場日程を組む」場合、



年度によっては、
センターと近くなるかもな・・・
センター試験(共通試験)と日程が近いと、様々な混乱をもたらす可能性がありました。



ならば、固定の「山場日程」は固定せずに、
センター試験の一週間後がちょうど良い・・・



関西中学の入試日程は、
「一月第三週の週末」とする!
おそらく、このような合理的発想によって、関西中学は「一月第三週の週末」を選んだと思われます。
そして、



関西のN中学などが、
大掛かりな入試日程の変更をしようとしている・・・



合理的発想だし、
よしっ、我が校も続け!
「変化が少ない」日本では、歴史的にも「変化が起こる」と「一斉に変化する」傾向があります。


明治維新後、まもなく断行された「廃藩置県」は、



まあ、肩の荷が
降りて、家族になるなら、いいか・・・



みんな、廃版するみたいだし、
うちも一緒にしようか・・・
海外から見れば、「信じられない程、容易に進んだ一大改革」でした。
廃藩置県に関する話を、上記リンクでご紹介しています。
関西のどの学校が「口火を切った」かは不明ですが、このような思考プロセスによって、



関西中学の入試日程は、当面は
「一月第三週の週末」とし・・・



具体的に日にちは毎年変動するが、
週末だと、受験生本人・親も良いだろう・・・
関西中学の入試日程は、「一月第三週の週末」が固定化したと思われます。
・関西中学:1月の第三土日
・関東中学:1月中旬から開始し、主に2月1日から山場
そして、現在の「関東中学と関西中学の入試日程のズレ」が固定化したと考えます。
「一月第三週の週末」の場合、「合格発表から入学手続き」まで概ね一月中に完了し、



中学受験が一月中に完了すれば、
二月の大学受験に全力注げる!
このような、関西中学の「合理的発想」が垣間見えると考えます。
関東中学と関西中学の入試日程の違いには、歴史的背景も含まれ、興味深いと考えます。