前回は「場合の数の問題を上手く考える解法〜「背の高さの違い」と「ゼッケンの付け方」・「入れ替える」考え方・図は簡略化して表現・問題16記述解答〜」の話でした。
「問題の条件は全て使う」算数:「条件が不足」と感じた時
ms16_01ts
比較的シンプルな「場合の数」の問題の解法をご紹介しました。
この問題は「五人の子どもが並んだら二つの山の形」という、イメージしやすい問題です。
ms16_11mts
ところが、「五人の子どもの背の高さ」の設定がないので、ちょっと手が止まる人も多いでしょう。
塾の先生から、
「問題の条件は全て使うはず」って習ったよ!
算数の問題で、
条件が5つくらいある時あるね・・・
そういう時は、
「5つ全てを使う」と解けるはずで・・・
1つでも条件を
使わないと、答えが違うことがある・・・
算数の問題では「過不足なく全ての条件を考慮して解く」ことが大事です。
てんびん算、ニュートン算、図形、場合の数、など様々な問題がありますが、
こういう感じの
問題にしよう・・・
出題者は問題作成の際に「おおまかな方向性を決定」した後に、問題の構成を練っているはずです。
ここは、このような
表現にして・・・
いや、ここは、このような感じの方が
点差がつきそうだな・・・
試験は「学力に応じて適切に点差が付く」のが、最も望ましいです。
特に「問題文が長め」の問題は、色々と出題者が条件を考えていると思います。
それに対して、今回の「場合の数の問題」はサッパリしていて、「算数の問題」として良いです。
難問ではありませんが、算数の大事なポイントと基本が詰まっている問題です。
ms16_14mts
「背の高さが不明」なので、それぞれの子どもにゼッケンを付けてもらうと「分かる」ようになります。
ゼッケンもいいけどさ、
「シールに番号書いて貼る」でもいいの?
それでも、順序が
分かるから良さそうだね。
「シールに番号書いて貼る」でも、「手の甲にマジックで背の高さ順に番号振る」でも良いでしょう。
いずれにしても、「問題の条件に逆らわない程度に、自分で整理」する姿勢は、とても良いです。
ms16_101mts
あるいは、「一郎から五郎のまま」で解く方法も良いです。
「背の高さを一郎から五郎の順」
として良さそう・・・
「順序を仮定しても問題ない」と分かれば、下記のように進められます。
ms16_111mts中学受験算数の記述のポイント:「考える前提」は明確に
ms16_110mts
この問題は、「一見、二つの山は背が高い二人のみ」と思い込むと間違えるのもポイントです。
今回は、記述問題の時に「何をどの程度書くと良いか」を具体的にご紹介します。
この問題が「答えのみ」であれば、自分の頭の中で、
ゼッケン振れば
良さそう!
順番は一郎〜五郎と
して良さそう!
自分なりに「解答の方針」を決めて解いてゆきますが、記述の場合は説明が必要です。
ms16_118mts
「高さの順序が不明な一郎〜五郎」ではなく、「高さの順序が分かるように番号振って解く」とき。
僕は、一郎〜五郎に
背の高さ順にゼッケンつけてもらいます・・・
その時は、上記の通り、「背の高い順にゼッケンを付けて、ゼッケンで考える」の明記が必要です。
それは、「この考え方が二つの山を考える前提」だからです。
これを書かないで、突然「ゼッケン番号で話を進める」と、
ああ、背の高さ順に
並べているんだな・・・
採点者は「考え方は分かる」のですが、
ここは、ちゃんと一言
書いて欲しいな・・・
こう考えて、もし「高い順にゼッケンつける」が明記されていないと、
大事なポイントだから、
3点減点かな・・・
「何点か減点となる」でしょう。
ms16_119mts
もう一方の場合も、同様に「この考え方が二つの山を考える前提」なので、明記が必要です。
この解答例では、「なぜならば・・・」と理由も書きました。
ms16_117mts
この「理由」は、時間制限もあるので、書かなくても良いです。
一方で、この「理由」は非常に大事なことで、書いてあると、
うん・・・
よく分かっている・・・
これをきちんと
書く姿勢が好ましい・・・
この理由を明記すると、「この部分だけでも加点の可能性がある」と考えます。
仮に、答えまで至ってなくても、この「理由」が明記されていると、
この「理由」は大事だから、
3点加点かな・・・
何らかの考慮がされる可能性が高いでしょう。
ここで、こういう問題を解くときの注意点が一つあります。
背の高さは、名前の通り
一郎〜五郎の順に決まってんじゃん!
こう思い込んで、
早く解かなきゃならないから、
「決まっていること」は書かない!
上記の答案例の「背の高さが一郎から五郎の順と考えて良い」を書き飛ばすのは、良くないです。
この「背の高さの順序」は、「問題を解く前提」であるため、
勝手に、背の高さを一郎〜五郎の
順にしている・・・
これは、マズイな・・・
答えは合っているけど、減点・・・
その後の解答がバッチリで答えが合っていても、ほぼ確実に減点となります。
えっ!
そうなの?
算数・理科、あるいはサイエンスにおいて「勝手な思い込みで論を進める」のは「禁じ手」です。
そのため、「大事な前提は、きちんと書く」ようにしましょう。
「簡単で良い」ので、思考の流れを余さず書くのが良いでしょう。
・簡単でも上手でなくても、図や絵を描いて説明
・大事な前提条件などは、きちんと書く
・思考の流れを、端的に、簡単に書く
算数の記述の解答は、上のようなことを念頭に書くと良いでしょう。