前回は「速さと比・旅人算の問題が分かるコツ〜「同じもの」を比較・さらに未知数設定する考え方・「手が止まる」より「手を動かす」・問題15(1)(2)(3)解法B〜」の話でした。
場合の数の問題を解くコツ:問題文に条件がないとき
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今回は、場合の数の問題を考えましょう。
1989年(筆者が受験した前年)に武蔵中学で出題された問題です。
この問題は難しくはありませんが、記述で「満点を得る」答案を書くには、高い能力が必要です。
「答えのみ」などで、中堅校でも出題の可能性があるので、ぜひ多くの方に考えて欲しいです。
一郎さんから
五郎さんが並ぶんだね!
「二つの山のような
形」はイメージしやすいね!
早速考えてみましょう。
これは、「二つの山」を
描いて考えれば、すぐ分かりそう!
「二番目と四番目に背が高い人」がくるので、分かりそうです。
でも、ちょっと待って、
「背の高さ」が問題で決まってないけど・・・
えっ!
確かに書いてないね・・・
「背の高さが決まってない」なら、
考えようがないんじゃない・・・
普通に考えれば、上の図のように「背の高さは一郎から五郎の順」です。
でもさ、次男の次郎さんの方が
兄の一郎さんより背が高いかも・・・
上の図のように、「次郎が一郎より上で、四郎が三郎より上」の可能性もあります。
確かに、年齢の順序が
必ずしも背の高さとは一致しないかも・・・
問題文には、一郎から五郎に関して、何も条件が記載されていません。
ということは、
年齢の順序が一郎〜五郎の順序じゃないかもね・・・
上の図のように、年齢の順序が「四郎、五郎、一郎、次郎、三郎」の場合も考えられます。
そして、たまたま「背の高さの順序が、年齢の順序に一致」かもしれません。
子どもに「一郎〜五郎」の名前を付けるならば、普通は「一郎から」ですが、
私が三郎だから、
長男は続いて「四郎」だな・・・
次男は続いて五郎で、
三男は「六郎」ではなく「一郎」かな・・・
このように考える方が「いない」とは言い切れません。
若き頃、高野五十六という名前だった山本五十六(やまもと いそろく)連合艦隊司令長官。
僕の名前の「五十六(いそろく)」は
生まれた時に、父が五十六(ごじゅうろく)才だったからです!
誕生時の父親・貞吉の年齢が、「そのまま子どもの名前」になったのでした。
このように、名前の付け方には「決まり」はなく、いかようにでも考えられます。
一郎から五郎の順序が分からないなら、
解けないじゃん・・・
それじゃ、場合分けすれば
いいのかな?
例えば、背の高さの順が
「一郎、次郎、三郎、四郎、五郎」の場合と・・・
背の高さの順が
「次郎、一郎、四郎、三郎、五郎」の場合と・・・
あれ?
何通りあるんだろう?
それを樹形図で考えると、
5x4x3x2x1で120通りだよ・・・
「場合分け」を考える問題はあり得ますが、「ある」としても「120通り」は「ありえない」です。
困ったね・・・
何か方法はないかな・・・
背の高さの順序が
明確にわかれば良いんだけど・・・
「解く条件」は「上手く自分でつくる」:絵を描いて着実に解く
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一郎から五郎の背の高さが不明なので、「背の高さ」順にゼッケンを付けてもらいましょう。
そして、「一番背が高い人から順に、ゼッケン番号を1〜5」としましょう。
これなら、
問題が解けるね!
背の高さが、どんな場合でも、
ゼッケン番号で考えれば良いね!
「答えのみ」であれば頭の中で考えますが、記述の場合は上のように「ゼッケン」のことを書きましょう。
そして、こういう問題では「状況を絵に描く」ことが大事です。
「二つの山」くらい
描かなくても分かるよ!
確かに
描いた方が分かりやすいね!
絵を描いて所定の位置に「1,2,3などの番号」か「a,b,cなどのアルファベット」を振ると分かり易いです。
今回は「1,2,3などの番号」は「ゼッケンと混乱する」ので、a,b,c,d,eにしました。
これは、「A,B,C,D,E」の大文字でも、「イ、ロ、ハ、ニ、ホ」などでも分かれば良いです。
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この絵の並び方が、分かりました。
これで
出来たね!
ところが、この「12通り」では△か✖️です。
えっ!
間違っているの?
記述であれば△で部分点、答えのみなら✖️で0点です。
おかしいな・・・
出来ているはずなのに・・・
この問題は、この「12通り」を答えとする方が、意外と多いと思います。
「二つの山の形」になる場合を、もう少し考えてみましょう。
上で考えた形以外にないか、「頭の中」ではなく「絵を描いて着実に考える」ようにしましょう。
ちょっと
描いてみるね・・・
背が高いbとdは、
ゼッケン1と2とは限らないかも・・・
bにゼッケン1が来て、
その隣にゼッケン2の人が来たら・・・
あっ、他の場合が
あるね!
他の場合があるので、上で考えたことは記述では「(1)」など分けて記載するとわかり易いです。
そして、後で「別に考える場合の数と合算」することを念頭に、上のように番号を振ると良いでしょう。
続けて考えてみると、「ゼッケン1がb、ゼッケン2がa」でも「二つの山」になることがあります。
この場合は、「もう一つの山」が「ゼッケン3」に限られますが、2通りあります。
確かに
これも「二つの山」だね!
左右逆の
場合もあるね!
これは描かなくても、
分かる!
そして、(1)と(2)で考えた場合の数を足して、答えは16通りです。
16通り
なるほど・・・
まず、順序を決めることがポイントだね・・・
順序が分からないと、
全然解けないからね・・・
ゼッケンを付けてもらうのは、
わかり易いね・・・
「背の高さ」以外でも、
順序があったら、「ゼッケン」は使えそうだね!
今回の「ゼッケン」は、問題の条件に対して「自分で整理する」考えとして正しいです。
大事なことは「自分でつくる」際、問題文の条件と不一致等が生じないようにすることです。
あとは、やっぱり
ちゃんと図を描いた方がいいね・・・
図を描かないで、頭だけで
考えたら、12通りが答えと思うね・・・
ちゃんと描いて解いて、
一問ずつ考えるのが大事だね・・・
場合の数に限らず、描かないと「うっかり間違える」ことが多いのが算数です。
ぜひ、描いて「しっかり着実に」得点する姿勢で試験に臨みましょう。
・絵を描いて着実に解く:他の場合はないか?
・「解く条件」は上手く自分で設定:問題文の条件と不一致・不合理なところがないように
次回は上記リンクです。