前回は「武蔵中学校に向いてる子〜「考えることが好き」な子・武蔵中高に向いていないかもしれない子・武蔵中高と御三家・似ている教育理念と大学進学実績〜」の話でした。
「公園の中の学びの舎」:「のびのび自ら考える」教育の総本山
今回は、武蔵高校を1996年に卒業した筆者の目から、現在の武蔵中高に関する話です。
小学校6年生の男の子で、
僕は、武蔵中学が
第一志望!
「武蔵が第一志望」という方や、小学校5年生以下の男の子を持つ家庭で、
うちの子には、
武蔵中学が合いそう・・・
「うちの子には武蔵が良さそう」と考えている親もいらっしゃるでしょう。
筆者が在籍していた頃は、「バリバリの御三家の一角」だった武蔵中学・高校。
御三家に関する話を上記リンクでご紹介しています。
筆者が在籍していた1991年には、
いよいよ、武蔵から
首相を出した!
宮澤喜一首相の就任に、武蔵中高が「大いに沸いた」のは事実でした。
なんと言っても「初の武蔵出身の総理大臣就任」で、「男子御三家初の総理・首相」でした。
御三家で最初の
首相を出したのは武蔵だ!
この頃は平成の時代に入っていましたが、まだまだ「昭和感」が残っていた時代でした。
スマホもなければネットも全く一般的ではなく、周囲で使っていた人はいませんでした。
スマホとネットがないって、
どんな生活?
現在の小学生には、当時の生活は「想像しにくい」かもしれません。
現在の武蔵中高の校地・校舎は、新校舎建築が建築され、筆者が在籍していた頃とは少し異なります。
新校舎建築に伴い、
旧校舎の理科棟などがなくなりました。
今の武蔵中高は、中高門から入ると広大な広場が広がりますが、当時は少し進むと校舎がありました。
そして、新校舎付近はテニスコートなどが広がっていました。
六年間過ごした立場からすると「大分違う」と感じますが、もちろん「雰囲気は同じ」です。
教育方針に多少の変更はあると思われますが、学校の「雰囲気や香り」は全く同一です。
様々な学校の中でも、「公園の中の学びの舎」のような雰囲気の武蔵中高。
日本における「のびのび自ら考える」教育の総本山とも言える存在が、武蔵中高です。
武蔵中の偏差値上昇傾向:大幅に低下した大学進学実績
現在の武蔵中高が筆者が在籍した頃と大きく変わる点が、いくつか考えらえます。
そして、その「大きく変わる」点の一つが「大学進学実績の急落」です。
最近、武蔵の進学実績は
少し持ち直したかな・・・
「少し持ち直した」という声もあるようですが、筆者から見れば、
筆者の時代と比較すると、
「大幅に低下」が実感です。
「少子化」に伴い各大学で合格者が減少しており、各中高の入学者数・在校者数は大きく変わっていません。
そのため、筆者の頃よりも「全体的に旧帝大などの合格者は、やや少ない」傾向があります。
一方で、1990年代と比較して「大きく進学実績を伸ばした学校」もあり、様々です。
最近、武蔵中の偏差値が
上がってきた・・・
筆者は「母体によって変わる、曖昧な数値」である偏差値は、あまり好きではありません。
それでも、「武蔵中の偏差値上昇傾向」は、「評価の上昇」と考えれば好ましいことです。
筆者が在籍していた頃の武蔵中は「偏差値など気にする必要がない存在」でした。
我が武蔵中の偏差値が
トップ層なのは当然だから・・・
偏差値は気にしないし、
データを見てもない・・・
このような考えが、当時の武蔵中高教員の「本音」だったでしょう。
実際、筆者が武蔵中高に在籍していた頃、同級生との会話含め「偏差値」という言葉は「なかった」感じでした。
塾などの模試などもありますが、校内で「偏差値」という言葉を聞いた記憶がありません。
そして、「自ら考える」という「我が道を突き進む教育」を推進していた武蔵中高でした。
時代や状況は変わりましたが、「教育の根幹」は不変と考えます。
武蔵中学校のカラーに向いている子:「自分で考えたい」子
このように、現代と1990年代で「色々と変わった」面と「同じ」面がある武蔵中高。
中学受験生にとって「高校生は遠い存在」かも知れません。
高校生って、
だいぶ先だね・・・
そこで、まずは「武蔵中学校のカラーに向いている子」を考えてみましょう。
・とにかく「考えること」が大好きな子
・趣味や好きなことに集中して、没頭する子
・自分で何かを勝手に考えることが好きな子
武蔵中学にフィットする思考生の方は、上記のような「少し変わった人」です。
理科とかで
新しいこと知ると、楽しい!
そして、こんなこと出来たら
いいな、と思う。
新しいことを知ると「楽しい」だけではなく、「こんなことは?」と考える人は合うでしょう。
インド初代首相ネルーの「親が子に語る世界歴史」を題材とする問題をご紹介しました。(上記リンク)
この問題は筆者が武蔵中高を受験した1990年の出題ですが、現在でも十分すぎるほど通用するでしょう。
歴史の問題としては、
極めて本質的出題と考えます。
この問題は、「かつての武蔵中ど真ん中」の問題です。
「現在の武蔵中ど真ん中」かどうかは、現在の先生方の考え方、教育の風景によります。
この問題を見ると、後に武蔵中高の教育を受けた筆者は、
この問題の出題者は、
O先生か、K先生しか考えられないけど・・・
出題の仕方から見て、
おそらくO先生だろう・・・
当時、社会・世界史の名物教師にO先生、K先生がいました。
とにかく個性的な授業で、「極めて狭い範囲をとても深く掘る」授業で、歴史が好きな筆者は、
このあたりのことは
あまり知らないけど・・・
こういう歴史があって、
こんな解釈があるんだ・・・
「解釈」や「考え方」を軸とする、筆者は世界史の講義がとても好きでした。
「歴史好き」の生徒にとっては「たまらない授業」でしたが、全く「受験向け」ではありませんでした。
おそらく「O先生作」のこの問題は、当時も現代も「いわゆる中学受験の問題ではない」とも言えます。
「もう30年以上前」の問題ですが、武蔵中学志望の小学6年生方には、ぜひ解いて欲しいです。
うちの子は、
武蔵中受験するかも・・・
「武蔵中を受けるかも」という小学校5年生の方にも、ちらりと見て欲しいです。
比較的難しいので「出来なくて当然」という姿勢で、「問題の雰囲気」を感じて欲しいです。
なんか
面白そうな問題だね・・・
「面白いかも」と思う方は、「武蔵中に合う」でしょう。
ちょっとピンとこない
問題かな・・・
「ピンとこない」方は、「武蔵中に合わない」可能性があります。
いずれにしても、受験生本人の個性に合う志望校を選ぶことを、お薦めします。
他の学校を志望する方も「入試問題は教育理念を表している」ので、入試問題との相性は重視しましょう。