前回は「東京の中心部でのびのび成長できる芝〜気さくな芝中高生・「大らかな知性」を生み出す都心の歴史・「芝の地名」の由来と江戸大改造〜」の話でした。
標本作りを実演する生物部:子ども向けの展示とお兄さんの説明
今年2024年9月14日〜15日に開催された駒場東邦中学校・高校の文化祭を訪問しました。
駒場東邦中高の文化祭を訪問するのは、初めてです。
「駒場」の名称通り、東京大学教養学部がある「駒場東大前」駅から向かいました。
大学一年〜二年生の頃に「駒場」と呼ぶ東大教養学部に通っていた筆者は、
駒場東大前に来るのも
久しぶりだな・・・
ちょっと懐かしい気持ちになりました。
「駒場」に駒場東邦中高と筑波大附属駒場中高があることは知っていましたが、訪問するのは初めてです。
駒場東大前駅から閑静な住宅街を通ると、駒場東邦中高に到着しました。
校門に至る道には、様々な部活の展示パネルが置かれていて、文化祭の全容が分かります。
最初に
生物部に行ってみたい!
子どもは生物部が気に入っているようで、早速向かいました。
駒東の生物部もまた、部員たちが採集した昆虫や魚などが中心に展示されています。
この標本、とても
綺麗だね。
この標本は〜で
採集したのを標本にしたんだよ。
隣の部屋では、生物部員の方が「標本制作を実演」していました。
あっ、標本作って
いるね!
こうやって、昆虫ピンを
差して、標本を作ります。
標本を作っている方は、非常に気を遣いながら、一生懸命ピンを刺していました。
上記リンクでは、福島県に行って昆虫採集して標本を制作した話をご紹介しています。
つい最近、たまたま昆虫の標本を制作する機会があった子どもにとっては、
お兄さんたちも
同じように作るんだね。
自分が最近経験したことなので、とても親近感を持って見ていました。
「標本を見る」ことはあっても「標本を作る」機会は、なかなかないのが現実です。
子どもと一緒に、初めて「昆虫の標本づくり」を経験した筆者は、
このように標本作りを
実演するのは、とても良い姿勢だな・・・
来校者の方に実演を見てもらいながら、一生懸命標本作りに励んでいる学生に好感を持ちました。
ここは、慎重に
丁寧にピンを刺そう・・・
標本を制作している生物部員の「生物への熱意」が強く伝わってきました。
次は物理部か地学部に
行きたい!
博物館の展示は「子どもから大人まで分かりやすく」ですが、主眼は「大人向け」です。
対して、中高の文化祭は、メインターゲットが「子どもから中高生」であることが大きな違いです。
そもそも、展示を構成している中高生の発想は、子どもの年齢と近いために似ています。
さらに、「大人」である博物館の学芸員や研究者に対して、「お兄さん」の中高生が説明してくれます。
この「展示の分かりやすさ」と「お兄さんたちの解説」が、子どもは気に入ったようです。
文化祭訪問は、中高の校風や雰囲気を知るためでしたが、
文化部の展示に
興味を持つのはとても良いな・・・
子どもが楽しそうに文化部の展示を見ているのが、好ましく思いました。
文化部員たちが熱くて楽しい駒場東邦:白眉の物理部のステージ講演
ついで物理部や地学部に向かい、様々な実験を実演したり展示も、とても良かったです。
文化部が元気な中高が多いですが、駒東は文化部員たちが「熱くて楽しく活動」しています。
展示や実験が大変良かったですが、特に駒東の物理部は他の学校と大きく異なる「巨大な特徴」がありました。
それは、物理部が「講堂で講演しながら、実験を行う」ということです。
パンフレットを読んで、
物理部がステージで
実験するの?
武蔵中高物理部出身の筆者としては、「物理部員が考えそうなこと」は大体想像できます。
講堂や中央ステージでは様々な催し物が行われ、多くの学校ではいわゆる「ステージらしいこと」です。
駒東でも「ステージらしいこと」が行われていましたが、「講堂で物理部の実験」を見て、
物理部がステージで実験するのは、
ぜひ行ってみたい!
後で、お兄さんたちが
講堂で実験するから行こう!
このように、子どもよりも筆者の方が乗り気になって、早めに講堂へ。
皆さん、物理部の実験に
ようこそ!
これから実験しますが、
どなたか協力してくれますか?
はーい!
はーい!
それではジャンケンして・・・
そちらの方、こちらへどうぞ!
最初から小学生たちをステージに呼んで、「一緒に実験してみせる」講演です。
このように観客を巻き込むのは常套手段ですが、特に子どもたちを巻き込むのは文化祭として、とても良いです。
僕が乗ったボートを動かすのは、
部員たちでも数人がかりですが・・・
僕が乗ったボートに空気を
入れると、このように子どもでも動かせます!
原理は空気を入れると
〜だからです!
子どもも大人も大興奮で、とても楽しい実験でした。
とても
不思議ね!
次は空気砲を
出す実験です!
駒東生がダンボール箱を持ってきて、ボンッと押すと丸い空気砲が出てきました。
これだけでも十分面白いのですが、
僕たち駒東生と
勝負する方はいるかな?
はーい!
はーい!
じゃ、数が多いので、
またジャンケンね!
では、皆さん、
こちらへ来て、僕達と勝負しましょう!
空気砲を出して「駒東生と勝負する」趣向は、とても面白いです。
子どもたちにとって「勝負する」のは興奮することで、しかも「お兄さんたちと勝負」は最高でしょう。
次は、風船に
空気を噴射して浮かせる実験です。
このように浮かせますが、
やってみたい人?
はーい!
はーい!
じゃ、数が多いので、
またジャンケンね!
それでは、勝ったあなたは
ちょっとこちらへ来てくれますか?
はーい!
こうして、ジャンケンで勝ち残った子が壇上に上がって、実際に実験をしてみせます。
これで
いいの?
あっ、そこは
ちょっと、こうすると良いよ・・・
慣れない子どもたちをきちんとサポートして、実験成功に導く姿勢も、とても良いです。
皆さん、駒東物理部のステージ実験に
お越しいただき、有難うございます!
あ〜、
楽しかった!
とっても
面白かった!
子どもだけでなく、大人も楽しめる意外な「物理部のステージ講演」は大変良かったです。
そもそも、物理部が「講堂でステージ講演」する発想すらなかった筆者は、
とても良いステージ
講演だった・・・
マイクを握って、子どもたちと一生懸命ジャンケンしたりしていた物理部員の方にも好感を持ちました。
「ステージで話すのが得意」なタイプの方はいますが、多くは運動部や委員会関係者であることが多いです。
どちらかというと、「ステージで話すのは、あまり得意ではない」方が多い文化部員たち。
笑いをとりながら一生懸命実験して原理を説明するのは、なかなか出来ないことです。
この点で「ステージ実験」を大成功させた、駒東物理部員の方達には大喝采を送りたいと思います。
まさに「文化祭の白眉」と言っても良い、駒東物理部の「ステージ実験・講演」でした。
他の展示も面白かった駒東の文化祭の話は、次回に続きます。
次回は上記リンクです。