前回は「子どもが合格に向かう親の姿勢〜最大の支援者は親・「成績が上がらない」受験生と親の思い・国家と死闘演じた後藤新平〜」の話でした。
合格目指す子どもと親の気持ち:「明治維新の十傑」の一人・横井小楠
今回は、中学受験・高校受験・大学受験に向かう受験生を持つ親の考え方の話です。
なんとか、息子には
第一志望校に合格してもらいたいが・・・
偏差値がなかなか
上がらない・・・
日本で中学受験〜大学受験するとき、基本的に「偏差値を上げる」姿勢にならざるをえません。
合格するために、偏差値や点数を上げる考え方を上記リンクでご紹介しています。
若き頃に「逆賊」となったものの、その後は医師となり順風満帆な人生だった後藤新平。
相馬事件に関与し、後藤なりの強い正義感から突如、
なぜ、俺が
こんな目に・・・
大きな地獄に突き落とされることになった後藤。
華族であった相馬家は「体制側」とも言える存在で、さらに東大と衆議院議長・星亨と敵対しました。
苦しい・・・
さすがに、この俺もダメか・・・
牢獄に入れられた後藤が、こう感じないはずはなく「心が折れる寸前」まで行ったはずでした。
私は後藤を
徹底的に応援し続ける!
ここで、後藤を徹底的に超強力バックしたのが、義父である有力者・安場保和でした。
安場は、明治維新に巨大な影響力を与えた横井小楠の門下生です。
新たな国家の
グランドデザインは、これです!
熊本藩士であった横井は、越前藩主・松平春嶽に見出され、多数の人物に影響を与えました。
明治新政府で参与(幹部)となりましたが、維新成立直後の1869年に、
横井は
逆賊だ!
・・・・・
早々に暗殺されてしまったため、能力は未知数の点があります。
西郷・大久保・木戸をまとめて「維新の三傑」と呼びます。
これに、筆者は岩倉を加えた「維新の四傑」が良いと考えます。
・薩摩:西郷隆盛・大久保利通
・長州:木戸孝允
・公家:岩倉具視
明治期に山脇之人「維新元勲十傑論」によってまとめられた「明治維新の十傑」があります。
・薩摩:西郷隆盛・大久保利通・小松帯刀
・長州:木戸孝允・大村益次郎・前原一誠・広沢真臣
・肥前:江藤新平
・肥後:横井小楠
・公家:岩倉具視
ここでは、上の「維新の四傑」以外に、前原・江藤達と並んで横井小楠が選ばれています。
それほど、影響力が強かった横井の門下生であった安場もまた、順調に人生を過ごしました。
当時、超有名だった横井小楠門下で、エリートコースを「ひたむきに走ってきた」安場保和。
エリート官僚でもあった安場は、岩倉使節団にも加わっています。
岩倉使節団に関するオリジナル問題を、上記リンクでご紹介しています。
若きエリート安場保和の自信喪失体験
米国に到着した岩倉使節団は、大変な大歓迎を受けました。
この建物は、
4階建てか・・・
このような高い建物が
たくさんあるのか・・・
当時、城など特殊な建物以外は、平屋(1階建)がほとんどだった日本。
4階建など高い建物が「普通に沢山ある」米国で、岩倉使節団一行は特大の衝撃を受けました。
文明においては、
我が国とは比較の対象にはならんな・・・
欧米と我が国の間には、
「巨大な格差」があるな・・・
この時、若き安場も同行して、ホテルで一休みしました。
いやはや・・・
米国というのは、とてつもない国だ・・・
こんな国と我が国は
対等に渡り合えるのか?
「巨大すぎる米国」を前に、ちょっと愕然とした安場。
ちょっと、
コーヒーを飲んでみようか・・・
洋学は十分学んだから、
英語で話してみよう!
ここで、英語の実践を目論んだ安場。
すみません、
Sugar(砂糖)下さい・・・
Yes, sir.
(分かりました。直ちに)
英語で頼んでみて、
ちゃんと通じて良かった・・・
私の英語力も、
なかなかのものだな・・・
ホッとしていた安場は部屋を見渡して、窓の外の風景を見て文明を感じていました。
しかし、この街の光景は
この世のものとは思えんな・・・
遠い目をしている安場のもとに、ウェイトレスさんが戻ってきました。
Sir, here is a cigar.
(葉巻でございます。)
砂糖(sugar)を頼んだはずでしたが、葉巻(cigar)が来てしまった安場。
「シュガー(sugar)」の発音が、米国の方には「シガー(cigar)」に聞こえたようです。
・・・・・
私が頼んだのは、
シュガー(sugar)だったのだが・・・
ここで、もう一度丁寧に説明すれば「砂糖=sugar 」を受け取れたでしょう。
ところが、安場は、
Thank you very much.
(どうも有難うございます)
こう言ってニコッと笑いながら、
私の英語力は
こんな程度か・・・
気持ちは落ち込んでいました。
大いなるショックを受けてしまった安場は、茫然自失となりました。
「もう一回砂糖を頼めば良かっただけ」ですが、一気に自信をなくしてしまった安場。
なんだ・・・私は
砂糖一つ頼めない程度なのか・・・
この程度の学力の私が、
欧米に追いつこうとする我が国を引っ張れるのか?
それまで順風満帆だっただけに、強烈な挫折感を感じた安場。
すみません・・・
ちょっと体調が悪いので・・・
結果的に2年ほどの長期に渡った「岩倉使節団の大洋行」を、安場は途中で離脱してしまいました。
この時の「苦過ぎる経験」を持っている安場は、
何事も、自信を持つことが
最も重要なのだ!
「自信を持つこと」の大事さを強く実感していました。
後藤よ!
裁判は辛いが、自信持ってゆけ!
自分自身の「自信を喪失してしまった」体験から、「国家相手に裁判する」後藤を鼓舞し続けた安場。
とにかく、自信もって
自分の道を貫くのだ!
はいっ!
頑張ります!
安場の「若き頃の大挫折」もまた、後藤を上手く鼓舞する事に役立ったでしょう。
健全な自信持って合格へ:「かつての当事者」の親の優しい視線
この視点に立ったとき、子どもに自信を持ってもらうように話すのが良いでしょう。
パパも理科は
結構苦労したよ・・・
覚えることも多いし、
電気とか結構難しいよな・・・
パパも
苦労したんだ・・・
じゃ、僕も難しいのは
仕方ないかも・・・
電気の回路って
簡単そうで難しいよな・・・
もうちょっと頑張れば
分かるようになるかも!
誰しも「学びのプロセス」で苦労した経験があります。
その苦労を思い出すと、受験生・子どもたちの「本人の苦労」も理解出来るでしょう。
・自身の過去の上手くいかなかったことを元に考える
・「どの科目や分野がどのように難しい」事を具体的に話して共感を持つ
「かつての当事者」であった親の「優しい視線」。
それこそが、子どもたちにポジティブな自信をもたらすでしょう。