前回は「理科の学力アップのラストスパート〜苦手分野は「出来るだけ」・知識増強と理解力アップの両方必要な理科・全く異なる理科四分野〜」の話でした。
暗記することが沢山ありすぎる社会:歴史と地理と公民と時事の四分野
今回は中学受験社会において、ラストスパートで学力をアップする具体的な話です。
とにかく「暗記しなければならないことが多い」社会。
何をどこまで
暗記すればいいの?
参考書に書いてあること
結構覚えたけど、まだ足りないのかな・・・
暗記すべきことが「多い」というよりも「多すぎる」のが中学受験社会です。
理科では物理・化学・生物・地学の四分野ありますが、社会も地理・歴史・公民・時事の四分野です。
理科の天体は物理的ですが地学的要素もあり、理科は比較的「満遍なく出題」の傾向があります。
対して、社会は地理・歴史に重点が置かれており、概ね下記のような感じです。
社会の分野 | 出題頻度(約〜%) |
地理 | 40 |
歴史 | 40 |
公民 | 10 |
時事 | 10 |
地理と歴史に大きく偏る傾向が強い社会。
上記の「出題頻度(約〜%)」は筆者のザッとした感覚であり、志望校によって異なるでしょう。
筆者の個人的感覚としては、小学生の社会の学びは「地理と歴史に集中すべき」と考えます。
時事や公民は、歴史や地理などの「広い社会(科目ではなく)や背景(歴史)」が基礎だからです。
時々、衆議院や国会などに関する出題が見られます。
筆者は、これらの憲政などの問題は、本来「小学生に尋ねることではない」気がします。
でもさ、
出題されるから、勉強しなきゃ!
地理と歴史で
手一杯だけど、時事もやらなきゃ・・・
受験生の思考としては、このようになるのは当然であり「全部勉強する」必要があります。
ところが、「全分野満遍なく勉強する」のは一部の優等生以外は不可能です。
そう・・・
無理だよ・・・
私、地理なら得意だけど、
歴史は時代によるかな・・・
「全分野満遍なく」でなく、「少し偏っても良い」くらいの気持ちが良いでしょう。
筆者が中学受験生だった時は、社会の勉強は「超偏っていた」のが実情でした。
僕は歴史は大好きで
とても自信がある!
今も歴史は好きですが、
保元の乱と平治の乱を
説明せよ。
このように言われたら今の筆者は答えるのは難しいですが、小学生の頃の筆者は、
歴史はどの時代でも、
どんなことでも説明できる!
このように歴史に関しては、完璧に近い自信を持っていました。
ところが、地理に関しては、
でも、地理は楽しくないし、
成績も良くない・・・
「学んでも楽しくない」科目・分野の成績が良いわけはなく、
成績が良くないから、
さらに楽しくない・・・
地理はずっと苦手分野であり、成績も全然良くなかった記憶があります。
成績が悪いと「さらに楽しくなくなる」傾向があり、悪循環になる傾向が苦手科目・分野にはあります。
社会の学力アップのラストスパート:得意分野を強化+苦手分野を補強
歴史一つとっても、概ね平安時代から戦後まで長い期間の間、実に様々な方が登場します。
そして、日本国内の山地・平野や川・山、様々な生産物の特産地が登場し、外国のことも出てくる地理。
ちょっと専門的要素が強い理科と比較すると、やや「常識的要素」も強い社会。
中学受験生を子どもに持つ親の方は、
社会は沢山の分野があって
大変だが、とにかく頑張れ!
このように激励する前に、ちょっと子どもたちが学んでいるテキストや問題集を見てみましょう。
少し読んで頂ければ、
こんなことまで
勉強しているのか・・・
このように「子どもたちが学ぶ範囲」に対しては、大いに驚くでしょう。
この記事を書いている10月は直前期ですが、受験生の学びを親も共有すると良いでしょう。
ちょっと大変だが、
出来るだけ学ぶようにしよう!
うん!
頑張ってみる!
このように、うまく激励するのが望ましいですが、
でも、地理が不得意でね、
あまり頭に入らないんだ・・・
歴史は、なんだか
暗記ばっかりで、年号とか大変・・・
公民や時事も大事ですが、なんといっても「根幹は地理と歴史」である社会。
受験生の学力や志望校の出題傾向にもよりますが、とにかく「まずは地理と歴史」です。
「概ね70%獲得すれば良い」受験においては、多少取捨選択することも重要な視点です。
この観点に立てば、「時事・公民は常識程度」に留めて「地理と歴史に重点」が正しい戦略です。
でもさ、時事問題も
勉強するテキストがあるよ・・・
最近、沢山の出来事が起きているので「時事は問題が作りやすい」傾向があります。
過去を扱う「歴史」に対して「現代歴史」とも言えるのが時事ですが、時事は歴史とつながっています。
そのため、「歴史を学ぶことが時事への理解につながる」傾向があります。
地理は好きだけど、
歴史はどこまでやればいいの?
そして、多くの方が「地理か歴史か、どちらかが好き」という傾向があります。
「好き」ならば「得意」につながる傾向がありますが、必ずしもそうではないこともあります。
まずは、得意分野でしっかり点数を固める視点が大事です。
歴史は流れが大事ですが、人物や国名など固有名詞でかなり細かな知識が登場することもあります。
上記リンクでは、選択肢の問題で「知識ばかりに頼らない」解き方をご紹介しています。
これらの選択肢問題において、「全て知識・暗記で対応する」のは不可能です。
歴史に関しては、「流れをしっかり理解して、固有名詞や年号はある程度」が最も望ましい姿勢です。
「歴史が得意で、地理が(やや)不得意」な方は、歴史をしっかり固めて地理は補強しましょう。
そして、「歴史で得点を稼いで、地理は点差をつけられない」が良いでしょう。
逆に、「地理が得意で、歴史が(やや)不得意」な方は、地理をしっかり固めて歴史は補強しましょう。
そして、「地理で得点を稼いで、歴史は点差をつけられない」程度が良いでしょう。
理科も同様ですが、直前期は「苦手科目・楽しくない科目」は無理にやりすぎない姿勢が良いです。
「全部出来るようになる」という「不可能な目標」を目指すのは避けるのが良いでしょう。
そして、「合格する力を着実につける」ことを目指すことが、社会のラストスパートでは最重要です。
・地理、歴史に重点を置いて、公民、時事は「常識程度」で余裕あれば学ぶ
・地理と歴史で「好きな(得意)分野」を強化して、苦手分野は補強