前回は「相似形を発見するコツ・ポイント〜全体を見渡して見えてくる解く鍵・同じ角度を探す・相似形と相似比・問題 13(4)解法〜」の話でした。
問題 13
相似形の性質と間違えやすいポイント:相似形の理由
(4)の緑色の部分の面積を求めるために、相似形を考えて必要な辺の長さを求めることを考えます。
今回の図形は「2つの正方形」から出来ているので、直角が沢山あります。
直角があると、同じ角度が沢山ある傾向があります。
・180度から直角を引くと直角:180-90=90
・直角は同一角度が見つけやすい→相似形が見つかりやすい
相対する平行な直線があると相似形が見えてきて、相似比がわかります。
すると一気に相似比が計算できると考えます。
一気に
出来るね!
相似形が次々に見つかり、それらの辺の長さが「1.5の倍数」なので、一気に連比を求めました。
この考え方は間違っています。
うん。
これが違うのは、すぐ分かるよ。
このように「間違っていることが分かる」方もいらっしゃるでしょう。
なんか、
合ってそうだけど・・・
なぜ、
違うのか分からない・・・
「分からない」という方は、もう一度、図形全体を見てみましょう。
うん。
見渡しているけど・・・
相似形の基本(定義)をもう一度確認しましょう。
図形同士が
「同じ形」だよね。
・ある形AとBが「相似」
→片方の図形を拡大・縮小すれば、もう一方の図形となる
・相似の条件
←→対応する角度が同一
←→対応する辺の比が同一
「同じ形」とは、何によって決まるでしょうか。
「平行な直線」だから、
「錯角」で同じ角度が、たくさんあるよね・・・
だから、みんな「同じ形」に
見えるけど・・・
でも、
違うのかな・・・
「同じ角度」を、しっかりと考えてみましょう。
「同じ角度」であることが、分かっているのは、今描きこまれています。
「描きこまれていない角度」は、まだ分からないのです。
「三つの直線が平行」である三角形の「全てが相似形同士」であれば、先ほどの「連比」でOKです。
ところが、上の図で矢印の先にある二つの三角形は「一見似ている」のですが、違うかもしれません。
この二つの三角形が「相似形」であるかは、まだ不明です。
確かに
そうだね!
テクニックより大事なこと:相似形は「お友達」
これは、「言われれば、当たり前」のことかもしれません。
今回、勘違いしやすいのは、「全ての辺の長さが1.5の倍数」であることです。
「1.5の倍数(15の倍数)」は、数ある倍数の中でも、比較的「見えやすい倍数」です。
そのため、こういう数字を見ると、
これで、
一気にわかりやすくなる!
こう勘違いしやすい数字です。
また、二つの三角形が「ほとんど似ている」ので「相似形である」と誤解しがちです。
「相似形」というのは、「図形のお友達」です。
酸性・アルカリ性・中性と同じように、「同じこと(性質)がある」からお友達なのです。
そこで、「お友達である=相似形である」かどうかの判断は、しっかり見てあげましょう。
図形問題でも、どんな問題でも、テクニック・コツはあります。
一方で、その「解法のテクニック」に走りすぎると「大事なこと」を見落としてしまうことがあります。
「大事なことは見落とさない」姿勢は、基本的で非常に大事なことです。
分かる辺の長さを計算:分数と少数の計算のコツ
「一気に解く」ではなく、順番にしっかり計算してゆきましょう。
二組の相似形があり、まずは「どちらの相似形に着目するか」が大事です。
共に「相対する辺の長さ」が分かり、辺の比が分かります。
・まずは相似比を考える(相対する辺の長さ・比)
・分かっている長さ(合計の長さ)を探す
直角三角形の場合、斜辺の長さは分からないことが多いです。
そこで、「直角を挟む二辺の長さ」に着目しましょう。
今、考えている「2組の相似形」を比較します。
・左側の水色の相似形:辺の長さ・合計ともに不明
・右側の青色の相似形:一つの辺の長さ=1.8cm
左側の「水色の相似形」は
分からないことが多い・・・
でも、右側の「青色の相似形」は、
一辺の長さと比が分かっていね!
「分かっていること」が多い「青色の相似形」を先に考えてみましょう。
これで、「右側の相似形の組」から、辺の長さ=1.2cmが計算できました。
すると、「右側の相似形の組」の「対応する辺の長さの合計=5.7-1.2=4.5cm」が分かります。
対応する辺の長さは、「片方か合計が分かる」ことが大事です。
これで計算できますが、小数点の計算と分数の計算です。
こういう時は、「両方分数に直して」計算するようにしましょう。
ここで、先ほど「相似形(同じ)かな?」と思った二つの三角形。
ちょっと
違う形だったね!
これらの三角形は「相似形ではない」ことが分かりました。
ここからは計算するだけですが、しっかりやりましょう。
こういう計算を、問題集の解答などで見て、
これは
出来るからいいや。
計算などは「飛ばさないで手を動かしてやる」ことが大事です。
計算だけでも、手を動かして実際にやってみましょう。
そういう姿勢が、「計算だけではなく、問題全体を理解する」姿勢につながります。
次回は下記リンクです。