前回は「歴史の舞台を実感・「聖地」比叡山延暦寺〜歴史の流れ・ストーリーを楽しむ姿勢・歴史の舞台を実感する体験・僧侶の講和から歴史を学ぶ・質問する大事さ〜」の話でした。
日本の精神の故郷・延暦寺を体験:東塔=現在・西塔=過去・横川=未来
延暦寺を訪れるほとんどの方が、まず最初に訪れる東塔エリア。
この大講堂で、お坊さんの話を聞く貴重な体験ができました。
皆さん・・・
延暦寺の説明をしますから、座ってください・・・
延暦寺は伝教大師・最澄によって建てられましたが、
大勢の方が関わっています・・・
延暦寺に関する説明を一通りして頂きました。
子どもたちも分からないなりに一緒に話を聞きました。
そして、
ここ東塔は、
「現在を体現」する地です・・・
ぜひ、現在に関する
お祈りをして下さい・・・
そして、西塔は過去を、
横川は未来を体現しています・・・
多くの方は、この東塔のみ訪問して
帰られますが・・・
ぜひ、西塔と横川にも
お立ち寄り担って、過去と未来にお祈りをして下さい・・・
エリアそれぞれに、現在・過去・未来を体現する意味があることを、ここで初めて知りました。
東塔(とうどう):現在
西塔(さいとう):過去
横川(よかわ):未来
僕たちも当初は「東塔のみ」の予定でしたが、
他のところにも
行ってみる?
面白そうだけど、
どのくらい遠いの?
子どもたちは「どのくらい遠いのか」とか「どのくらい時間がかかるのか」が気になります。
車だから、
そんなに時間かからないよ。
でも、あまり遠かったら
疲れるよ・・・
東塔エリアだけでも、結構歩きました。
お坊さんのお勧めもあるし、
他のエリアにも行ってみようよ!
過去と未来にも
お祈りしよう!
予定を変更して西塔と横川に行くことにしました。
このように、旅先でちょっと予定変更することもまた楽しいことです。
旅に行くときは、大抵は
この日はここに行って、
この日はここへ・・・
と予定を立てますが、自分達が興味を持ったことへ変更することも、楽しくて意義深いと思います。
この日、延暦寺は「午前中のみ」の予定でしたが、「丸一日程度」に予定変更です。
疲れたし、
お腹すいたよ・・・
子どもは「お腹がすく」と、急激にテンションが下がります。
東塔をゆっくり回り昼ご飯の時間になりました。
あそこに
お蕎麦屋さんがあるね・・・
お蕎麦は
どう?
お蕎麦も
いいね!
そこで、延暦寺会館内のお蕎麦屋さんで、お昼ご飯を食べました。
このお蕎麦
美味しいね!
延暦寺で食べるお蕎麦は格別な感じがあり、素朴な味がとても美味しかったです。
日本独特の美意識・枯山水:西塔・浄土院における掃除地獄と侍真
西塔エリアに来ました。
東塔エリアではかなり霧が強い天候でしたが、この辺りから明るくなり、日が差し込んできました。
西塔には浄土院があり、美しい枯山水を見ることができます。
この「たくさん樹木があるのに、落ち葉ひとつない」極めて美しい庭。
この庭を毎日掃除している修行僧の方がいらっしゃいます。
最下鈍(さいげどん)の者も十二年を経れば
必ず一験を得ん・・・
という最澄の言葉に基づく「十二年籠山行(ろうざんぎょう)」があります。
これは文字通り、「十二年比叡山に籠り続ける修行」です。
そして、浄土院を徹底して清める修行があり、「掃除地獄」と例えられます。
浄土院に詰めて、勤行などを行う僧侶は「侍真(じしん)」と呼ばれます。
「侍真」というのは、
「真の侍」ということかな?
延暦寺に侍は関係なさそうですが、そうとも取れる名称です。
侍真は「最澄が存命している」として仕え、外部との関係を絶って修行を続けます。
道を修めようととする心を
持つ人こそ、国の宝・・・
と最澄が記していますが、この「国の宝」を目指して毎日修行している方々がいます。
どこからみても実に美しい枯山水です。
水を一切使わずに、砂や石だけで山や水の景色を表現・具現化した日本庭園
枯山水は日本の美的意識が込められた独特の日本庭園です。
京都の龍安寺などが有名ですが、中学生以降の方は、ぜひ一度枯山水を見に行って下さい。
こういうのは、写真を見れば雰囲気はわかりますが「その場だから分かる空気」があります。
日本人として「日本独特の美意識」は、ネットの画像や本だけでなく現地に足を運んで理解しましょう。
前の侍真であった方の話では、
人間は一つのことを
10年、12年と続けて・・・
ようやく半歩か
一歩進めるとわかった・・・
と仰っています。
この方は、入行資格を得る修行を含めて二十年間籠山しました。
白い石が実に美しく配されており、美しい砂紋が描かれています。
この時は、浄土院内部には修行僧の方はいませんでしたが、周辺を掃除している修行僧の方がいました。
ああやって、とにかく徹底的に美しく
掃除することを毎日やって修行しているだよ・・・
ふ〜ん、
すごいね・・・
これを「十二年やる」ことは、想像を絶するような体験です。
普通の大人でも「全く理解できない」ことなので、子どもが「分かる」はずもありません。
分からなくても、こういう自国の文化の一つの側面を、「なんとなく」でも知ること・体験することは大事だと思います。
とにかく、
すごいことだね・・・
この「普通の人間では成し遂げられないこと」を、修行として行う方々に大いなる尊敬の念を感じました。
美しい枯山水を眺めながら、「過去に対するお祈り」を心の中でしました。
近くには「親鸞聖人ご修行の地」もあり、大いなる歴史を感じます。
広大で深淵な「山全体が寺」の延暦寺
西塔エリアから最後の横川エリアに移動しました。
東塔エリアと比較すると、西塔エリアは非常に人が少なくなりました。
そして、横川エリアになると更に人を見かけることが少なくなります。
朱色が際立つ横川中堂を参拝して、「未来に対するお祈り」をしました。
これで、過去・現在・未来に対する
全てのお祈りが出来た・・・
天候もだいぶ晴れてきて、実に晴れ晴れした気持ちになりました。
ただ、もうこの頃になると子どもたちは、
もう疲れたよ・・・
歩くの大変だよ・・・
「早く帰りたい」という感じになっていますが、結構歩いたので仕方ない面もあります。
観光客がほとんどいない横川エリアは、さらに崇高な雰囲気を感じさせます。
半日の予定が丸一日近くになった延暦寺の訪問でした。
大講堂でのお坊さんの話で、
延暦寺は、
山全体が寺です・・・
という話がありました。
普通の寺院は「このエリア」と決まっていますが、延暦寺は例外的に「山全体が寺」です。
この意味でも別格とも言える存在です。
歴史が好きな僕としては、「織田信長の延暦寺焼き討ち」に関して尋ねました。
あの時は、「不滅の法灯」は
消えてしまいました・・・
ところが、その約30年前に、山形に立石寺建立の際に、
「不滅の法灯」を分けていたのです・・・
そこで、山形・立石寺から「不滅の法灯」を
再度分けて頂き、「不滅の法灯」は続いたのです。
信長の延暦寺焼き討ちと「不滅の法灯」の話も大変興味深かったです。
日本人の心・精神の故郷とも言える延暦寺。
子連れの場合は、東塔・西塔・横川全てを回ることは、かなり大変です。
東塔だけでも、延暦寺の雰囲気は十分にわかります。
ぜひ一度、延暦寺に行ってみましょう。
次回は下記リンクです。