前回は「年号並び替え・記述問題 3〜流れを理解・年号は出来るだけ覚える姿勢・版籍奉還・江戸時代と明治時代の違い・廃藩置県・大名から華族へ版籍奉還と廃藩置県の違い・自分の言葉で簡潔に〜」の話でした。
社会 問題 2：鎌倉幕府の成立過程
年号並び替えと説明の問題 2を考えてみましょう。
鎌倉幕府成立期の出来事に関する、年号並び替えと説明の問題です。
比較的基本的な問題ではありますが、(2)の「守護と地頭の役割」も、しっかり理解しておきましょう。
平氏から源氏へ：「幕府」の名称と幕府成立時期
日本の歴史の重大なキーワードである「幕府」という言葉。
歴史上、幕府の数はどのくらいあるでしょうか。
男子小学生それは、鎌倉幕府・室町幕府・
江戸幕府の三つだね。
男子小学生考えてみたら、
三つしかないんだね！
女子小学生長い日本の歴史で、
三つの幕府だね！
鎌倉幕府・室町幕府・江戸幕府の三つに分けられ、それぞれ、源氏・足利氏・徳川氏が支配しました。
その支配の形態は「征夷大将軍となって、幕府を開き、諸大名の頂点に立つ武家政権」でした。
実は「幕府」という言葉自体は近代になって使われた言葉で、江戸時代までは「なかった」説があります。
男子小学生えっ？
それでは、何と読んでいたの？
徳川将軍家は、「大公議（おおこうぎ）」または「大樹（たいじゅ）」と呼ばれていました。
それぞれ「大」という字があり、「敬われていた存在」であることが名称に現れています。
そもそも、最初に「幕府の組織」を確立した源頼朝。
足利尊氏・徳川家康は、「源頼朝に倣って幕府を組織」したとも言えます。
源頼朝私が、日本歴史上
幕府を初めて作ったんだぞ！
足利尊氏次の室町幕府は
私が作った！
昔は「幕府」という言葉がなかった説がありますが、ここでは「幕府」で通します。
それぞれの幕府の存在期間を確認しましょう。
・鎌倉幕府：1192年（1185年）〜1333年
・室町幕府：1338年（1336年）〜1573年
・江戸幕府：1603年〜1867年
この中で、鎌倉幕府・室町幕府の成立時に年号が二つあることは、一つのポイントです。
それは、幕府成立時期に対して、下記の二つが考えられるからです。
源頼朝が「権力を握った時点」か「征夷大将軍となった時点」か。
・源頼朝が守護・地頭を設置：1185年
・源頼朝が征夷大将軍就任：1192年
足利尊氏が「権力を握った時点」か「征夷大将軍となった時点」か。
・足利尊氏が楠木正成破り、後醍醐天皇が比叡山退去：1136年
・足利尊氏が征夷大将軍就任：1138年
このように、幕府成立時期には「何をもって幕府成立と見做すか」で変わります。
女子小学生江戸時代だけが、
幕府成立時期が明確なのね！
基本的に、江戸幕府は成立時期が1603年ですが、これも同様に考えると微妙な点があります。
徳川家康が「権力を握った時点」か「征夷大将軍となった時点」か。
・徳川家康が関ヶ原の戦いで勝利：1600年（家康が最強権力を握るが、主人の豊臣家存続）
・徳川家康が征夷大将軍就任：1603年
・徳川家康・秀忠が豊臣家を滅ぼす：1615年（家康が名実ともに最強権力把握）
女子小学生成立が明確だと思った
江戸時代は、3つあるの？
これは「歴史に対する考え方」次第ですが、「徳川家が権力掌握」に対する認識によると思います。
徳川幕府の成立と権力：幕末の島津家の潜在パワー
関ヶ原の戦いで、石田三成ら西軍を倒し、「敵を一掃した」とも言える徳川家康。
徳川家康いよいよ、俺の
天下だぞ！
実態としては、この時点では島津家などが「反抗的態度」を取り続けていました。
島津義弘なぜ、我が島津が徳川に
従わなければならない？
島津義弘我が島津を従わせたければ、
弓矢で来い！
徳川家康島津か・・・
こやつら・・・
幕末に徳川幕府を倒す原動力となった薩摩藩・島津家。
それは、「幕末に突然、強力な倒幕（討幕）勢力となった」のでは、ありませんでした。
関ヶ原の戦いに「1,500名ほど」という「大勢力にも関わらず、少人数で戦った」島津。
この理由は、文禄・慶長の役と島津家の有力家臣の反乱などで、疲弊していたことでした。
島津義弘関ヶ原では、
お前たちに負けたかもしれんが・・・
島津義弘我が島津の領土を
削るなど、もってのほか！
島津義弘まだ島津の本拠地には、
多数の武士がいるのだ！
「関ヶ原」の時に少ない兵力だったことが幸いし、薩摩には多数の兵力が残っていました。
徳川家康島津を
滅ぼすかないか・・・
徳川家康今、島津を消しておかねば、
後に禍根を残す・・・
対して、島津家は領土を城塞化して、「合戦・戦争準備万端」となりました。
ところが、徳川家もそれほど安定感があるわけではありません。
徳川家康まだ、豊臣家も
残っており、島津は実に強い・・・
この時点、徳川家康と「野戦の戦闘力が互角」である数少ない人物の一人が、島津義弘でした。
そして、「家としての軍事力」はピカイチの島津。
徳川家といえども、
徳川家康島津か・・・
う〜む・・・
徳川家康やむを得ん・・・
島津の領土は削らないから、上手くやろう・・・
島津義弘よかよか！
ならば、我が島津は、無闇に敵対はしない！
家康は内心、
徳川家康本当にこれで
良かったのだろうか・・・
徳川家康後に禍根を残すことに
ならなければ良いが・・・
結果的に、この時の家康の「後に禍根を残す」懸念が現実となったのが、明治維新でした。
明治維新は「薩長土肥」と呼ばれますが、原動力は薩摩であり島津家でした。
天国で倒幕（討幕）を見た家康は、
徳川家康（架空）やはり、ワシの思った通り、
島津が徳川を倒したか・・・
徳川家康（架空）あの時、
もっと思い切れば・・・
「薩摩・島津家」への対処を後悔したでしょう。
徳川幕府と豊臣家：強力な潜在力持った豊臣
1600年の関ヶ原の合戦は、後世から見ると「明確に豊臣に敵対する徳川家康」です。
ところが、当時、徳川家康の立場は形式的には「豊臣家の家臣」でした。
徳川家康秀頼様の家臣である
この家康が、敵を倒します！
豊臣秀頼家康殿・・・
頼みますぞ・・・
そもそも、徳川家康は関ヶ原合戦の前哨戦となる「上杉討伐」において、
豊臣秀頼徳川殿・・・
このお金をお使いください・・・
徳川家康はは〜！
有難きことに御座います！
と秀頼から「軍事作戦に必要なお金」を頂戴している立場。
ところが、関ヶ原合戦の勝利の後、石田三成たちを罰する過程で、
徳川家康どさくさに紛れて、
豊臣家の力を削ごう！
こう考えた家康。
豊臣家の収入源である「220万石ほどのお米」を「直轄地の65万石のお米」に減らしました。
つまり、石高としては豊臣家は「1/3以下」となったのです。
これを「家康が、一体どのような権力で実行出来たのか」が不明です。
何と言っても「豊臣秀頼の家臣」の分際の家康が、なぜ「主人・秀頼の石高を削れたのか」が不明です。
どうやら、家康は「豊臣家の代官領」を削ったようです。
豊臣秀吉我が豊臣家の力の源泉は、
莫大な経済力にある！
戦国時代において、最も先端的な経済的思考を持っていた秀吉。
豊臣秀吉お金さえ握っていれば、
権力は保持できる！
秀吉は「金銭第一」で考え、「豊臣家の所領が減らされた」とはいえ、莫大な金銀は残っていました。
さらに、「経済力の源泉」は保有し続けた豊臣家。
当時の江戸は、現代の東京とは大きく異なり「一地方都市」に過ぎません。
関ヶ原合戦後、「徳川家が最強」になったものの、江戸よりも大坂（大阪）・京の方が大都市でした。
そして、様々なものの流通もまた「大坂・京中心」の時代。
徳川家康我が徳川が征夷大将軍に
なったところで、豊臣家は「目の上のたんこぶ」だ・・・
徳川家康豊臣は、もはや世を納める力がないので、
公家になって生き残っては？
徳川家康形だけでも、豊臣は徳川に
従ってもらいたい・・・
徳川家康そうでなければ、
世がまとまらない・・・
家康なりに一生懸命考えた上での「新たな時代への提案」でした。
この頃、「独裁者」ではなくても、圧倒的な力を持つ最高権力者の徳川家康。
ところが、この「圧倒的最高権力者」家康の提案に「激怒した」人物が一人。
そもそも、この時代に「家康に表立って激怒出来る人物」は、この方しかいませんでした。
淀殿はっ？
私の息子・秀頼が家康の家臣？
淀殿ちょっと待って！
私を誰だと思っているの？
淀殿私は、織田信長の
妹・市の娘で、秀吉の妻！
淀殿家康！お前は我が母の兄・信長の
家臣同然だったでしょう！
淀殿そして、お前は我が夫・秀吉に
臣従し、家臣だったではないか！
淀殿それを・・・・・
それを・・・・・
淀殿何を考えて、
そんなことが口にできるの！
「母の兄が信長、夫は秀吉」という「家康の目上の人物が二人」もいる淀殿。
そして、「天下一の美人」の誉れも高かった淀殿。
プライドの高さは天下一品であり、彼女以上のプライドを持つ人物は当時いなかったでしょう。
徳川家康もはや、
時代が変わったのだ・・・
徳川家康右府様（信長）が死んで、
もう30年あまり・・・
淀殿我が豊臣が徳川の下など、
絶対に嫌！
徳川家康やむを・・・
やむを得ないな・・・
こうして、1614年・1615年の大坂（当時は大阪を大坂と表記）の陣となり、豊臣家滅亡に至りました。
この意味では、「徳川家中心の徳川幕府成立は、1615年」とも考えられます。
次回は下記リンクです。
