前回は「年号並び替えの問題 1〜「年号丸暗記」から「流れ」を理解へ・出来事・事件の相互関係をつかむ・関係性が強い出来事・事件・「分からない」から「分かる」へ〜」の話でした。
年号並び替えの問題 1(再掲載):版籍奉還から廃藩置県の流れ
今回は(1)を考えます。
年号・年代並び替えの問題、「年号・年代を丸暗記」して対策する方が多いかもしれません。
ある程度、大きな出来事・事件は、年号・年代が頭に入っている必要があります。
例えば、明治維新後の明治初期の出来事・事件ならば、明治維新と西南戦争は非常に大事です。
廃藩置県・版籍奉還・廃刀令も大事ですが、このように考えると、
結局、何でも
大事じゃん・・・
やっぱり、
全部の年号を覚えなければ、ならないのかな・・・
年号から考える:まずは非常に大事な出来事・事件
・廃藩置県:1871年
・版籍奉還:1869年
・廃刀令:1876年
・西南戦争:1877年
まずは、年号をチェックしましょう。
以上から年号順に並べると、イ→ア→ウ→エが答えです。
廃刀令は知っていたけど、
年号間違えた・・・
一つ間違えたら、
✖️になってしまうのね・・・
こういう「年号順に並べる」問題は、大抵一つか二つが難しいことが多いです。
そして、「それを間違えると✖️になる」のが悩ましいところです。
そう、前にも「4つのうち3つは
分かった」のに、一つ間違えて✖️だった・・・
あ〜あ、もっと
年号を暗記しないと・・・
という気持ちになるのは良く分かります。
こういう「年号並び替え」は「年号丸暗記」や「年号語呂合わせ」のみで攻略するには、限界があります。
だって、
年号分からないと、年号順に出来ないでしょ。
そうなのですが、歴史は「流れが大事」です。
そして、「非常に大事な出来事・事件の年号」は覚えましょう。
何が「非常に大事か」は、様々な意見がありますが、この問題の場合は、下記になると思います。
・明治維新:1868年
・廃藩置県:1871年
・西南戦争:1877年
今回の問題では、「明治維新」は登場しませんが、この年号1868年は覚えておきましょう。
明治初期は、この「1868年を軸に流れを考える」ようにしましょう。
「丸暗記」「語呂合わせ」より流れを理解
年号を覚えていれば良いですが、「年号丸暗記」だけでなく、「流れ」や「内容」を理解しましょう。
学習マンガでも良いでしょう。
まず、版籍奉還と廃藩置県の流れは、以前にご紹介しました。
幕末維新(明治維新)の三傑である、西郷・大久保・木戸たち政府首脳。
西郷隆盛の考えは、大久保利通・木戸孝允の二人とは、少し異なっていました。
いずれにしても、新政府の中心人物たちが最も力を入れたのが、これらの政策です。
大政奉還した第十五代将軍・徳川慶喜に戦争を仕掛けて、戊辰戦争・会津戦争などの内戦となった幕末。
新しい世になったのは1868年で、この年に明治維新となります。
1868年は大事な年ですから、これは覚えておきましょう。
・戊辰戦争
・鳥羽・伏見の戦い
・江戸城明け渡し
・五箇条の御誓文
新しい世になったら、最初にしなければならないことは何でしょうか。
古い世界を
変えること、だね。
とにかく、
藩を廃止しないと、始まらない!
明治新政府は、最初に「藩をなくす」を実行したかったのですが、出来ませんでした。
300もあった江戸時代の藩。
今は「47都道府県」ですが、その6倍以上の数です。
すごく
多いね・・・
藩主の思い:圧倒的な薩摩
「藩主の考え・思い」は様々でした。
中でも、「明治維新を主導した薩長土肥」と言われますが、内実は薩摩主導です。
薩摩の力は、他の藩を圧倒していました。
その薩摩を率いていた国父(国主でないが、事実上国主)の島津久光は、
藩を廃止
だと?
一蔵(大久保)、お前
気が狂ったのか?
明治維新の主役の一人の大久保利通。
元々は、薩摩藩士で島津久光の家臣です。
眼光鋭く、他人を威圧した大久保ですが、
なんと言っても、
元は主人(主)だから・・・
島津久光の言うことを、むげには出来ません。
おい、
西郷!
はっ・・・
比較的「人情家」でもある西郷は、「旧主人」である島津久光の意向は無視できません。
明治新政府では、最高位の存在だった明治維新三傑の西郷・大久保。
元の主人である島津久光の前では、「ただの西郷吉之助と大久保一蔵」です。
西郷!
一蔵!
お前達、
身分・立場をわきまえろ!
・・・・・
これで、イ→アが分かり、これらが最優先なので「廃刀令・西南戦争より先」です。
一気に藩を
なくしたいが・・・
そんなことやったら、
反乱が起きかねない・・・
まずは、イ→アの流れを押さえて、残りのウ、エを考えましょう。
歴史の状況を「身近な例」でイメージ
廃刀令もまた、非常に重要な出来事です。
江戸時代は、士農工商の身分制度のような制度があり、「武士・侍が最上」でした。
江戸時代は、徳川家が日本政府のような役割でしたが、一種の共和制で、各藩が国のような存在でした。
武士・侍は、それぞれの藩・国を守っていたのです。
俺たちが
頑張っているから、藩があるのだ!
武士・侍たちは、日常で帯刀して(刀を帯びて)歩いていたのです。
今の世の中ではあり得ませんが、想像してみましょう。
刀・刃物を腰に帯びている人が、日常に街中を歩いているのです。
それは
怖い・・・
このように「歴史=過去」の状況を「身近な例」でイメージするのも良いでしょう。
武士・侍は、いきなり刀を振りかざしてくるかもしれません。
普通の人が、武士・侍に斬りかかられたら、どうなるでしょうか。
それは、
絶対勝てないね・・・
新しい世の中、当時の欧米(特に欧州)を見習うとき、非常にまずい状況です。
「日常に刀を帯びている」存在は消さなければなりません。
武士・侍が
刀を帯びるのは、言語道断!
刀は武士・侍の
心だ!
刀を
廃止するだと!
おい!
大久保!
誰のおかげで、
明治維新が出来たと思っているんだ!
明治維新の侍たちと西南戦争
西洋の革命と比較すると「かなり穏便だった」明治維新という革命。
「無血革命」と呼ぶ人もいますが、実態は戦争の連続でした。
そして、桐野利秋(中村半次郎)のような「前線で戦い続けた武士・侍」の武力が根幹でした。
実は彼らの武力によって、明治維新は成し遂げられたのです。
この意味では、穏便でもなんでもなく、「武力革命」だった明治維新。
・・・・・
対して、大久保は戦場では戦っていません。
お前、
戦ってもいないのに一体何様だ!
こう言われると、大久保といえども反論しずらいです。
廃刀は一刻も
早く実施したいが・・・
武士・侍たちが
反乱起こしては、政府がひっくり返るかも・・・
いわば、「薩長主導の反乱」で成し遂げた明治維新。
その反乱の中心である武力を有する武士・侍たちの存在は、非常に怖いです。
もう少し、
ゆっくりやろう・・・
超強気で、眼光光らせていた大久保。
その後、征韓論(明治6年の政変)で、西郷・桐野らが一斉に退職します。
明治新政府のボス・大久保といえども、元々は薩摩藩士です。
薩摩は
仕方ない・・・
そのため、薩摩藩への配慮と武士・侍への配慮はしなければなりません。
だが、そのうちには
なんとかしなければ・・・
明治政府は「新しい時代」目がけて猛突進します。
そして、武士・侍の階級の解体を徐々に行います。
おいどん達の
立場は・・・
徐々に押されてゆく旧武士・侍たち。
もう
良いだろう!
とタイミングを見計らっていた大久保達。
ついに、1876年に廃刀令に踏み切ったのです。
廃刀令!
大久保!
きっ、貴様!
それまでも、武士・侍の反乱が起きていましたが、この廃刀令もまた大きな爆発を呼びました。
さっ、
西郷先生!
大久保は、
大久保の野郎は・・・
奴は、維新を成し遂げた、
おいどん達の存在を消すつもりごわす!
・・・・・
おいどんの身は、
おはんらに預けもそ・・・
そして、西南戦争に至りました。
先に「イ→ア」で、後に「ウ→エ」となります。
答えはイ→ア→ウ→エです。
このように、歴史は年号丸暗記ではなく、流れをしっかり理解しましょう。
すると、このような「年号順」の問題も「年号を覚えてなくても出来る」ようになります。
次回は下記リンクです。