抜本的変化を遂げた米アイビーリーグの大学受験〜世界トップ大学の「学力テスト不要」の姿勢・ペーパー試験の大学受験・小学校から高校の教育と受験に大きな影響〜|世界の大学受験と教育

前回は「中学入試の新潮流と教育 3〜大学進学実績と中学受験・教育理念とカラーを具体的に表現・特徴的な入試形式を試みる学校と大学進学実績が高い学校〜」の話でした。

目次

抜本的変化を遂げた米アイビーリーグの大学受験

新教育紀行
イェール大学(Wikipedia)

世界の大学でトップ校に並ぶ、ハーバード大学・イエール大学などのアイビーリーグ校。

米アイビーリーグの大学受験の記事が興味深いので、ご紹介します。

米国、英国などで世界大学ランキングが毎年公表されますが、ベスト10に入る学校も多いです。

アイビーリーグで「入試が急激に難化した」とのことです。

米メディアX

アイビーリーグで、
入試が大幅に難化!

記事によると、ハーバード大学の合格率3.2%、イエール大学合格率4.5%などです。

世界的視野では、ハーバード大学、イエール大学よりも東大・京大の方が遥かに劣ります。

比較することにあまり意味がないのですが、我が国の最高峰=東大と比較してみましょう。

2022年のデータで、東大は全体で倍率が3.2倍、合格率は31%ほどです。

最難関の理科三類で倍率が4.3倍、合格率は23%ほどです。

合格率の単純比較にどこまで意味があるかは不明瞭ですが、一定の比較にはなります。

合格率を比較しただけでも、アイビーリーグ校と東大では「全然難易度が違う」事が分かります。

しかも、アイビーリーグ校は「全米から」ではなく「世界から」志願者が訪れます。

対して、東大や京大は目指す方は「ほぼ全員日本人」です。

これだけでも全く状況は異なりますが、ハーバード大学の「合格率3.2%」は凄まじい倍率です。

世界トップ大学の「学力テスト不要」の姿勢

新教育紀行
ハーバード大学(Wikipedia)

出願者数が急増したことには、大きな理由があります。

それは、「3/4以上で学力テストが必須でなくなったこと」です。

非常に大きな変化です。

そのため、様々な成績や背景をもつ学生が、

高校生P

よしっ!
俺もアイビーリーグ目指すぞ!

意欲的にトップ校に出願しました。

高校生Q

私もひょっとしたら、
アイビーリーグ合格できるかも!

その結果、アイビーリーグなどの名門校の「志願者が急激に増加した」のでした。

具体的に「どのように入試で判断されているのか」は、各校のカラーが強く打ち出されています。

考えようによっては、「ペーパーテストの出来がそれほど高くない」学生が、

高校生P

入試の判断基準が変わった以上、
僕も合格できるかも・・・

高校生Q

色々な活動を積極的に
やってきた実績があるから・・・

高校生Q

テストの点数がそれほど高くない私でも、
そこが評価されて、イエール合格するかも

「色々な要素で判断される」ので、

高校生P

思い切って、
ハーバードに出願してみよう!

高校生Q

ちょっとハードル高いけど、
私はイエールに出願してみよう!

こう考えて「高めを狙った」学生が、沢山いたのでしょう。

ハーバード大学は、「様々な背景をもつ学生同士が協調して欲しい」という姿勢を強く打ち出しています。

これは、非常に米国らしい非常に進歩的なスタンスです。

イノベーションにおいて、世界で群を抜く存在であり続ける源泉とも言えます。

ペーパー試験の大学受験:小学校から高校の教育と受験に大きな影響

新教育紀行
東京大学(Wikipedia)

世界トップ大学のアイビーリーグ校で発生した、この大きな変化。

日本は一部で推薦入試やAO入試があるとはいえ、基本的には単なる「ペーパーテストの能力」のみです。

学生の優劣をほぼ「ペーパーテストの点数」のみで決定・合否判断する、我が国日本の大学入試。

世界の各大学の合格率は、母体が異なる以上「一定の目安」にしか過ぎません。

例えば、東大を志願する学生は第一次選抜で、

男子高校生

マーク式試験で、
「ある程度の点数」が取れる・・・

「ある程度の点数確保」の自信がなければ、そもそも志願しないでしょう。

そうでなければ、第一次選抜で落ちてしまい、第二次選抜の本試験に進めないからです。

ならば、東大志願者は「一定以上のテストの点数を獲得する能力を持つ」方とも言えます。

今回、急増したハーバード大学等の志願者数と比較、あるいは合格率を比較は無意味な面もあります。

入試の手法が異なりすぎて、「実像はつかみきれない」とも言えます。

この「テスト以外の面を評価する」軸を強く打ち出した米国トップ校に対して、

東京大学

ペーパーテストの
点数が大事!

「昭和から大して変わらないペーパーテスト重視」の我が国・日本の大学受験事情。

大学受験の内容・実情は、中学受験・高校受験に非常に大きな影響を与えます。

さらに日本の受験界のみならず、教育界にも極めて甚大な(悪)影響を与えていると考えます。

日本の大学受験もそろそろ、大きな変革を行わなければ、教育改革にはつながらないと考えます。

米国の大学がこのような変化を明確に打ち出した今、子ども〜青少年の教育も再考の必要がありそうです。

次回は上記リンクです。

新教育紀行

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