前回は「必死に帽を振る山口多聞〜小林飛行隊の米空母への攻撃・友永丈一隊長の密かな強い決意・「第二次攻撃の要あり」打電の責任・片道分の燃料と悲壮な覚悟〜」の話でした。
驚愕した戦艦大和の連合艦隊司令部:冷静な山本五十六長官
第一航空艦隊(機動部隊)が大打撃を受けた一報が、「遥か後方にいた」戦艦大和に入ります。
赤城・加賀が
炎上中です!!!
なんだって!!
と、とにかく、
山本長官へ知らせるんだ!
仰天した幕僚たちは、山本長官のもとに向かいました。
山本長官、南雲機動部隊の空母が
敵の攻撃で炎上しました!
なに?!!!
自らの精神集中のため、艦隊内で趣味の将棋をさしていた山本長官。
な、
なんだって!
そ、
そんな馬鹿な!
戦艦大和の幕僚たちは、慌てふためきます。
赤城・加賀が
大炎上なのか?!
蒼龍も
炎上中です!!!
それは
大変だ!!
「絶対に勝てるはず」の戦いで、味方の虎の子の空母のうち、三空母が大打撃を受けた報告。
それでは
飛龍はどうなっている!
飛龍の山口司令は
戦っている模様!
状況をよく確認して、
報告せよ!
ははっ!
「全くの想定外の事態」に慌てふためく旗艦・戦艦大和の連合艦隊司令部の幕僚たち。
この中、将棋をさしていた山本長官。
ほう・・・
またやられたか・・・
こう一言言って、「将棋をさしつづけた」と伝えられています。
これは山本長官の近くにいた人物の証言ですが、個人的には疑わしいと考えます。
「戦い、特に味方が困難な状況にある時、慌てずにドシっと構えている」事が求められた日本の大将。
しかし、これほどの「大非常事態」において「悠然と将棋を続ける」ことは「ドシっと構える」を超えています。
この日、体調不良だった山本長官でしたが、
早急に対策を練り、
反撃せよ!!
このくらいなことは、幕僚に命令したでしょう。
いずれにしても、連合艦隊司令部が「全く予期していなかった・完全な想定外の事態」が発生したのです。
戦闘帽を必死に振い航空隊を送り出す山口多聞:友永丈一隊長の果たすべき責任
空母飛龍では、まもなく友永隊長率いる攻撃隊が発艦します。
友永隊長・・・
友永隊長・・・
大丈夫だよ。
とりあえず、
応急処置をしました!
被弾して穴の空いていた左タンクに応急措置して、燃料がこぼれないようにしました。
両方のタンクに目一杯、
燃料入れました!
有難う!
行ってくるぜ!
部下に
迷惑はかけられない!
責任は、隊長の僕が
取るんだ!
数機の雷撃機と護衛戦闘機を伴い、友永隊は出撃します。
この間も、米軍機の猛烈な攻撃にさらされ続ける飛龍。
山口司令!
ご迷惑をお掛けしました。
「第二次攻撃の要あり」の責任感から、こう山口司令官へ叫ぶ友永隊長。
何を言うか!
こちらこそ、
感謝している!
最前線で攻撃に向かう友永隊長たち若者を激励する山口司令官。
本当に良い
若者たちだ・・・
この
若者たちを・・・
この若者たちを
死地へ出撃させるのか・・・
非常に強い心を持つ闘将であった山口司令官。
戦場であるからには「止むを得ない」状況ですが、「なんとも言いようのない」痛恨の極みの状況です。
・・・・・
存分に
働いてこい!
そして、
司令官も必ず
後からゆく!!!
こう友永隊長を激励して、出撃させる山口司令官。
友永隊長とも、
もう会えんだろうな・・・
山口司令にお目にかかるのも、
これで・・・
お互いが「今生の別れ」と考える中、
山口司令!
行って参ります!
頼むぞ!
隊員たちも見送ります。
帽を振れ!
友永隊長!
頼むぞ!
山口司令官はじめ、飛龍に残った将兵たちは精一杯帽子を振って、友永隊を送り出しました。
・帽子を省略して「帽を振れ!」の合図の中、長官・艦長含めた将兵が航空隊を送り出す
・航空隊を鼓舞し、出撃したら帰ってこない(戦死)可能性がある将兵への「お別れの意味」も含む
隊長、攻撃したら、
戻ってきてください!
頑張って、
敵空母を倒して、きっと戻るさ!
そう言って、遠い目をする友永隊長。
みんな、
じゃあな・・・
後は、
後は頼むぜ・・・
発艦!
飛龍の最後の出撃:日米の大きな科学力の差
友永隊長は悲壮な決意を胸に、友永隊は最後の攻撃に米空母へ向かいます。
その間、米軍は空母三隻とミッドウェー島を発艦した米航空隊が、たった一隻となった空母飛龍に襲い掛かります。
圧倒的劣勢の中、
なんとか米空母に
近づいてみせる!
そして、
必ず・・・
友永隊は米空母に大いに近づき、魚雷を二発当てます。
そして、
今だ!
意を決した友永隊長。
責任を
果たす!
友永隊長機は、決死の覚悟で米空母ヨークタウン艦橋付近へ突入しました。
別の敵空母へ
魚雷2発命中!
よし!
友永隊長、
よくやったぞ!
絶望の中、大いなる希望に沸く空母飛龍。
しかし、戻ってきた友永隊もまた、わずか数機。
友永隊長機は戻ってきませんでした。
友永隊長・・・
・・・・・
しかし、
これで米空母を二隻倒した!
残りは
一隻だ!
海軍兵学校卒業期 | 名前 | 役職 |
32 | 山本 五十六 | 連合艦隊司令長官 |
36 | 南雲 忠一 | 第一航空艦隊司令長官 |
40 | 山口 多聞 | 第二航空戦隊司令官 |
41 | 草鹿 龍之介 | 第一航空艦隊参謀長 |
42 | 加来 止男 | 飛龍艦長 |
52 | 源田 実 | 第一航空参謀 |
52 | 淵田 美津雄 | 第一航空艦隊飛行長 |
59 | 友永 丈一 | 新任・第一航空艦隊飛行長 |
62 | 小林 道雄 | 飛龍飛行中隊長 |
実は友永隊が攻撃した米空母は、ヨークタウンでした。
ヨークタウンは先ほど小林隊が攻撃した空母と同一であり、「別の空母」ではなかったのです。
日本軍よりも、遥かにダメージコントロールが優れていた米軍。
米軍の消火活動が、あまりに迅速だったため「別の空母」と誤認したのです。
科学力・工業力・技術力において日米の開きは山本長官の考えていた通り、非常に大きなものでした。
この事態は後に分かったことでした。
当時、戦闘中の山口司令官には分からなかったことです。
「米空母は残り一隻」と考えた山口司令官は、さらに奮起して、
引き続き、
攻撃だ!
敵空母は、
残る一隻だ!
飛龍が敵を
全滅させてみせよう!
勝ち目が全くない状況ながら、必死に陣頭指揮を取ります。
決意新たに、米軍に立ち向かう山口司令官でした。
そして、約束した場所へ
私も必ず行く!!!
次回は上記リンクです。