前回は「日本を見くびっていたスティムソン長官〜米国の日本への視線・格下の日本・第二次世界大戦の日本と世界・「ヒトラー一派」の日本〜」の話でした。
超ベテランのスティムソン陸軍長官:陸軍には疎かったルーズベルト大統領
民主党のルーズベルト大統領。
日本とは異なり、二大政党制の米国では、近年は常に「共和党か民主党か」で各種選挙がおこわれてきました。
ここで、ルーズベルト大統領は考えました。
歴史的に軍事は
共和党の方が強い・・・
陸海軍長官は、
共和党に任せよう・・・
この時、57歳で海軍次官経験者のルーズベルト。
私は31歳で海軍次官を
勤めた経験がある・・・
だから、米海軍のことは
誰よりも私は知っているのだが・・・
陸軍は
さっぱり分からん・・・
ルーズベルト大統領は「陸軍は門外漢」なので、よく分からない状況です。
ハーバード大学卒業で頭脳明晰なルーズベルト大統領は、
自分が分からないことは、
「分かる人間」に任せる方がよいのだ!
とハッキリと認識しました。
ルーズベルト大統領の公約と、米国内で厭戦気分が漂う中、
米国は英仏を救うべき!
ドイツと戦うべきだ!
と、ラジオ演説したスティムソン。
ヘンリーは
国務長官経験もあり、共和党の重鎮だ!
よしっ!
陸軍長官はヘンリーに決まり!
そして、信念貫くスチムソンに陸軍長官を任せました。
そして、超党派で
枢軸国に対抗する!
米国の対枢軸国の万全な体制:共和党の陸海軍長官
ヨーロッパ大陸の一部であるドイツ。
対独戦は、海軍よりも陸軍の方が出番が多そうです。
対して、海を隔てた島国の日本は当初は「海軍主体」となりそうです。
そして、
陸軍は
私にお任せを!
陸軍を押さえる人物として、経験豊富なスチムソンを陸軍長官に据えたルーズベルト大統領。
これで、陸軍はヘンリーに
任せておけばよし!
この時、72歳で大ベテランのスティムソンが陸軍を統括してくれるのは、
ヘンリーが陸軍を
おさえれば安心だ!
安心感が大きかったでしょう。
「京都大好き」のヘンリー・スティムソンは、実は政治面でも大日本帝国(日本)とは関わりが深かったのでした。
満州事変の時は、
私は国務長官だった・・・
あの時の、日本の軍部、
とりわけ陸軍の連中の独断専行は目に余った・・・
日本が傀儡政権を樹立した満州事変の時は、米国務長官として日本に厳しく当たりました。
さらに、海軍長官にも共和党のフランク・ノックスを据えます。
軍事は共和党に任せて、
万事OK!
政治は
民主党がやろう!
スティムソンのラジオ演説の翌日に「陸軍長官就任」を要請したルーズベルト大統領。
「翌日に陸軍長官就任要請」というのは、いかにも米国的な迅速さです。
正式決定は先になりますが、大事な人事を迅速に決定することは、非常に重要です。
こういう「人事を早急に決定する」姿勢は、米国ならでは。
米国は、陸海軍で万全の体制を取ります。
日本は歴史上、人事に関してこれまでずっとバタバタして、いつも時間がかかってきました。
日本と異なり、「二大政党制」の米国は共和党と民主党のカラーが全く異なります。
本来ならば、
我が民主党が
米国を勝利に導く!
共和党は
関係ない!
と考えるのが「普通」ですが、
陸海軍は共和党の
連中にお任せ!
枢軸国相手の戦争に
民主党も共和党も手を組むのだ!
民主党と共和党という巨大派閥を乗り越えて、一致団結体制を作り上げたルーズベルト大統領。
その優れた知性と卓越した発想こそが、日本の政府・軍首脳とは根本的に異なっていました。
「ヒトラーと組んだ」日本への複雑な思い
京都を「こよなく愛していた」スティムソン長官。
Japanは、よりによって、
なぜヒトラーと組んだのだ?
当時、欧州で暴れ回り、破竹の勢いだったドイツ軍を率いていたヒトラー総統。
元々米国は大英帝国の植民地であり、独立戦争を経て独立しました。
大英帝国とは利害が衝突することもありましたが、基本的には「同じ考え」です。
米国にとって友邦である大英帝国などを蹂躙しようとするドイツは、天敵です。
さらに、ヒトラーの考え方や行動は、民主主義を標榜する米国から見たら、
ヒトラーは
危険すぎる・・・
であり、西側陣営にとっては、「単なる敵」を超えて「人類の敵」であったヒトラー。
Japanには
「ヒトラーとは組むな」と忠告し続けたのだが・・・
ここは、
やむを得ませんな。
対日戦の準備を続けてきたスティムソン長官。
ここで、真珠湾奇襲攻撃の報告を受けます。
我がUS海軍が奇襲攻撃で、
大損害を受けただと!
なにかの
間違いではないのか!
日本を甘く見ていたスティムソン長官。
唇をかんで、米軍が受けた損害を想像し、亡くなった将兵に思いを馳せます。
・・・・・
そして、反撃を誓いました。
陸軍が、
日本を叩きつぶしてみせる!
陸軍長官として、日本との戦いに奮います。
次回は上記リンクです。