前回は「逃げ惑う日本空母〜祈る思いで発艦を急がせる山口司令官・大混乱の各空母・狭い飛行甲板に着艦する航空機と発艦準備の攻撃隊・攻撃から防御へ回った機動部隊・あべこべの状況に追い込まれた空母たち〜」の話でした。
飛龍の独自行動:加来止男艦長の戦場で磨き上げた勘
なんとか、
早く発艦するのだ!
祈る思いで必死に発艦を急がせていた山口司令官。
おい、
魚雷をこっちだ!
やっと、
爆弾を外したぞ!
爆弾は、その辺に置いて、
魚雷を早く!
そうだな。
とにかく、魚雷だ!
およそ800kgもある重たい魚雷を一生懸命取り付けてゆきます。
よしっ!
装着完了!
次の
飛行機だ!
完全に読み違えた責任者である草鹿参謀長。
飛行場、
急げ!
ベスト
尽くしております!
早く!
早くするのだ!
自分の判断ミスから発生した非常事態。
草鹿参謀長は飛行場にハッパ掛けて、なんとか事態を収集しようと図ります。
早く
なんとかしろ!
あと少し
・・・・
あと少し
お待ちを!
整然と隊列を組んでミッドウェー島に向かって攻撃していた連合艦隊の艦船たち。
いまや、完全にバラバラになってしまい、艦隊としての意思統一がままならない非常事態です。
山口司令。
空母がまとまりすぎです。
大変
危険です。
飛龍は、
少し距離を取ります・・・
この「危険だ」というのは、ベテランの加来飛龍艦長の戦場で磨き上げた勘だったのでしょう。
操艦は
任せた!
面舵一杯!
輪形陣を組んでいた日本の四空母のうち、飛龍のみ距離を取ります。
本来、赤城の司令部の命令に従わねばならない飛龍の動き。
この緊急時には、艦長の意思決定が優先されます。
飛龍に
万一の時は・・・
「飛龍と一心同体」の加来艦長。
必死な思いで、飛龍を操艦します。
右前方から魚雷、
向かってくる!
取舵一杯!
回避成功!
うむ・・・
逃げ惑っていた空母機動部隊の反撃
なんとか、
もってくれ!
祈るような気持ちの山口司令官。
零戦が懸命に向かってくる米軍機を撃ち落とし、空母を護衛します。
敵機来襲!
当時は能力が高く、百戦錬磨の達人たちが操縦する零戦で、米戦闘機を次々と撃墜します。
やったぞ!
米軍の航空機を
零戦が全部叩き落としてくれれば良いのだが・・・
零戦の大活躍に期待するしかない状況が続きます。
そして、「ただの時間のロス」が続きます。
飛行場!
急げ!
あと五分で、
完了です!
よし!
ちらりと南雲長官をみる草鹿参謀長。
「了解」の手を、少し挙げる南雲長官。
うむ・・・
各空母へ!
準備出来次第、
全機発艦せよ!
発艦だ!
逃げ惑っていた空母機動部隊の反撃が、いよいよ始まります。
運命の瞬間:空母に襲い掛かる米軍急降下爆撃隊
すぐに
発艦しろ!
ははっ!
直ちに!
発艦します!
全機
発艦せよ!
直ちに
発艦します!
いよいよ、逃げ惑っていた日本の空母機動部隊から一斉に雷撃隊が発艦します。
キラリ・・・
この時、はるか上空で「キラリ」と鈍い鉄の光が見えました。
あれは
一体何だ?
てっ、
敵機だ!
米軍の急降下爆撃機でした。
空母の真上から、急降下爆撃機が急降下してきます。
敵機直上!!!!!!
急降下!!!!!!!!!
敵機、
急降下!!!!!!!!!
悲鳴・絶叫・咆哮・叫喚・怒号。
その全てが混ざったような、つんざくような凄まじい声が各空母で上がりました。
撃ち落とせ!
空母を
守れ!
!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!
この瞬間、山口司令官・南雲司令長官・草鹿参謀長は何を思っただろうか。
次回は上記リンクです。